数日前に「2階の個室が暑いのでサーモグラフィーで原因を調査しました」という記事をアップしましたが、ようやく注文した脚立が届いたので屋根裏が暑くない深夜に屋根裏に入って断熱欠損部分を手直ししました。
数日前にサーモグラフィーで明らかに断熱の穴になっていた箇所が2箇所あり、それ以外にも分電盤周りや天井点検口周りも断熱の穴になっていたのでその部分を直すため天井点検口から屋根裏へと入りました。
断熱欠損を埋める為の断熱材は大工さんと監督にお願いして屋根裏に余っていた天井用の断熱材を回収せずに置いておいて貰ったので余った天井用の袋入りグラスウール断熱材を使用して見つけた隙間を埋めました。
そして断熱と気密の弱点の天井点検口周りも処置を施しました。特に室内側から天井点検口の隙間をマスキングテープで塞ぐのは簡単な割に効果が大きいので県民共済住宅の家に限らず高気密タイプの天井点検口を使っていない全ての天井断熱の家で行うべきです。
【追記】「続・屋根裏に入り天井断熱の断熱欠損を手直ししました」という記事で冬にもう一度天井裏に入って細かい断熱欠損を直しました。
直したい箇所
2階の書斎の天井
以前の記事で2階の書斎の天井をサーモグラフィーで見てみたら断熱欠損があるように見受けられたので天井裏に入って怪しい所を探します。
天井裏に入って怪しそうな箇所まで進むと断熱欠損の原因となる隙間がありました。一見大したことのない隙間に見えますが、サーモグラフィーで見る限り結構天井裏からの熱が漏れているのでこの位の隙間でもきちんと塞ぐ必要があります。
こういう梁の横に木が出っ張っている箇所は横に隙間が出来やすいです。本来こういう部分はグラスウール断熱材にカッターナイフで切り込みを入れて出っ張った部分にフィットするように施工するのが基本ですが、天井裏の断熱施工は想像以上に大変なのでそこまで出来ていない現場が多いと思います。
この部分はカッターで切り込みを入れてフィットさせるよりもグラスウールの端材を隙間に詰めた方が簡単だったので端材を詰めて隙間を塞ぎました。
これで天井裏からの熱の漏れがある程度改善してくれれば良いと思います。
断熱欠損を直した後の変化
後日書斎の天井をサーモグラフィーで再撮影してみると熱の漏れがあった箇所が見事に消えており、天井全体の温度が一定になっていました。やはりあの断熱材と木材の僅かな隙間が問題だったみたいです。
そして以前の「2階の個室が暑いのでサーモグラフィーで原因を調査しました」の記事でハニカムシェードがあると窓の断熱性能が高まる事がサーモグラフィーで計測してみて判ったので今まで何も付けていなかった書斎の窓にもハニカムシェードを設置しました。
3帖の洋室の天井
3帖の洋室の天井にも断熱欠損がありました。サーモグラフィーで見るとかなりの熱の漏れがあるので何とかしたい箇所です。
こちらも天井裏に隙間があったので隙間にグラスウールの端材を入れて処置しました。サーモグラフィーで見る限り意外とこの程度の隙間でも結構熱が漏れてくる事が判ったので天井断熱はこういう細かい部分まできっちり隙間を埋める事が大切でした。
断熱欠損部分をグラスウールの端材で埋めた後の変化
書斎と同じ様に3帖の個室も再度サーモグラフィーで天井部分を撮影した所、見事に天井からの熱の漏れが無くなっていました。サーモグラフィーで写した範囲はMAX29.7℃、MIN28.0℃とこの範囲の温度差が1.7℃しか無くなったので随分良くなりました。
広い部屋だとあの程度の熱の漏れだと気にならない可能性が大きいですが、狭い部屋の場合熱源があるとすぐに暖まってしまうのできちんと直せて良かったです。
天井裏に入る際の注意点
屋根裏は梁以外の部分は非常に弱いので梁以外の所に体重をかけると天井を踏み抜いてしまうので天井裏に入る際はくれぐれも慎重に作業しましょう。また、屋根の至る所から釘の先端が突き出ているので頭上にも注意が必要です。そして屋根裏は真っ暗なので頭に取り付けるタイプの懐中電灯があると捗ります。
天井裏に入る際は懐中電灯は必須で断熱材を切るためのカッターナイフと気密テープも用意しておきましょう。断熱材の余りが天井裏に無い場合は容易に千切れるグラスウール断熱材または現場発泡タイプの断熱材も必要です。スタイロフォーム等の床断熱に使うようなボード状の断熱材は細かい隙間を埋めるのには向いていません。
グラスウールの断熱材はホームセンターでも買えますが、ホームセンターで買える市販のグラスウール断熱材は県民共済住宅の標準仕様の断熱材よりも性能が悪いので可能なら家の建設時に余った断熱材を捨てずに屋根裏に置いていって貰った方が良いと思います。
服装に関しては肌の露出部分があるとグラスウールでチクチクする事もあるのでつなぎがベストです。後は手袋もつけておいたほうが良いと思います。屋根裏の空気は埃っぽい上グラスウールを千切ったりすると細かいグラスウールの破片が舞い上がるのでマスクも必要です。
夏の晴れた日の昼間〜夕方の屋根裏は文字通り灼熱なので雨の日もしくは夜間に作業すると暑さが和らぎます。
脚立は150cmだと若干足りない(屋根裏から降りるときが怖い)ので180cmや2m位あるタイプがベストです。
その他問題がありそうだった箇所
上の写真の様なちょっと出っ張っている様な部分は隙間がある事が多いです。この箇所はサーモグラフィーで天井を見た時はそこまで熱の漏れが無かった箇所ですが一応隙間をグラスウールの端材で埋めておきました。
分電盤の上の配線周りも隙間が出来やすい箇所です。家の引き渡し前に監督と一緒に天井裏に入った時にグラスウールの端材を隙間に埋めていたのですが、それでもまだ熱の漏れがあったので更に端材をケーブルと梁の間にもきちんと充填し直しました。
桁や梁の間隔が細い箇所は袋入りグラスウールの中身だけを充填していた箇所があり、その中で厚みが足りなさそうな部分があったのでその部分にグラスウールの端材を追加して厚みを持たせました。
天井のグラスウールは布団を並べて敷くような感じで袋入りグラスウールを単に上に置いているだけなので場所によってはズレがあったり隙間があります。
そういう部分もグラスウールの端材で隙間を埋めました。
グラスウールの端材は袋入りグラスウールの袋を破って中身を手で千切ってから取り出して隙間に突っ込んでいきます。グラスウールはふかふかな状態がベストですが、こういう隙間部分はどうしてもグラスウールを押しつぶした状態になってしまい本来のグラスウールの性能を発揮できないので可能なら袋入りグラスウールにカッターで切り込みを入れて凹凸部分にフィットさせた方が断熱効果は出ると思います。
今回屋根裏にカッターを持参せずに入ってしまったので端材を隙間に突っ込みました。完璧ではない処置ですが何もしないよりは遥かにマシだと思います。
角周りも要注意ポイントなので怪しそうな所はグラスウールの端材を突っ込んで隙間を埋めておきました。
天井点検口付近は要注意
今回天井裏に入って一番断熱欠損が大きかったのは天井点検口の周辺でした。天井点検口は出入りの際に点検口の上においた断熱材を動かして出入りするので隙間が出来やすい箇所です。
私の場合は見て分かる位の断熱欠損があったのでこの部分にグラスウール断熱材の端材を詰めて対処しました。
ダクトやCD管、電気配線がある所も断熱欠損になっている可能性が高いです。上の写真の部分に普通に袋入りグラスウール断熱材を置いても絶対に隙間が出来るのでここは袋入りグラスウールの中身を取り出して隙間になる箇所に詰めていきます。
配管同士の間や後ろの梁との隙間をグラスウールで埋めて、それ以外の部分は袋入りグラスウールを置きました。天井点検口の上には袋入りグラスウールで蓋をしますが、袋入りグラスウールの幅が天井点検口よりも微妙に足りないので密閉させるように2袋分のグラスウールを使いました。
余談ですが150cmの脚立を購入して使いましたが150cmだと天井裏に入る時は何とかなっても天井裏から降りる時が結構怖いです。点検口周りの木材は梁ではなく、ここに体重をかけると天井が壊れてしまうので特に注意が必要です。
幸いクローゼット用のポールにある程度体重をかけてみても大丈夫そうだったので片足を出来るだけ体重をかけないように気をつけつつポールの上に乗せてから脚立まで降りました。
この脚立ははしごにもなるタイプだったので脚立よりもはしごの方が点検口近くまで行けたので良かったかもしれません。
脚立が150cmの高さしか無かったので天井点検口から出る時は結構怖かったです。無事脱出出来て一安心ですが、袋入りグラスウールで天井点検口の上に蓋をしても隙間風が結構あったので気密テープを貼って隙間風が入らないように処置しました。
これで隙間風はかなり少なくなりましたが残念ながら完璧に隙間を無くすことは出来ませんでした。天井点検口自体に隙間があるので出来れば天井裏で気密を完璧に取れたら良かったのですが、仕方ないので天井点検口の隙間自体を剥がしやすくて見た目も良いマスキングテープで塞ごうと思います。
天井点検口周りのビフォーアフター
天井点検口の箇所は前々から弱点だと分かっていたので今回屋根裏に入る前にサーモグラフィーで写真を撮り損ねていました。4月のそこまで暑くない日でも周囲の天井と点検口の枠の部分との温度差が4℃位ありました。
天井点検口周囲の断熱材をきちんと敷き詰めて、更に気密テープで気密処理を行った事もあり天井点検口のフレーム部分からの熱の漏れが大分改善しました。
天井点検口は気密の穴なのでマスキングテープで塞ぎました
県民共済住宅の天井点検口は高気密タイプでも高断熱タイプでもない普通の点検口なので点検口自体に断熱性能も無ければ気密も全く取れていません。2021年時点では高断熱仕様のオプションを入れても天井点検口は普通の物が使われています。
天井裏に入る前にこの隙間に手をかざすと隙間風を結構感じたので天井裏から出た後は天井点検口周囲のグラスウールを気密テープでガッチガチに止めましたがそれでも天井点検口の蓋を閉めた時に点検口の隙間から多少隙間風を感じました。
天井部分に気密の穴があると屋根裏の熱気が直接室内に流れ込んでくるのでこの隙間は小さいですが影響は大きいです。熱気だけならともかく屋根裏の空気は埃っぽいので室内に入れたくありません。
天井点検口は普段開閉することはほぼ無いと思いますが一応開閉する可能性がある場所なので粘着性が高いテープだと剥がしにくかったり、テープを貼った際に枠の外の天井部分にテープが着いて天井の壁紙が剥がれたとかなるとテープを貼ったこと自体を後悔すると思うので剥がしやすく見た目が良いマスキングテープが最適です。
県民共済住宅に限らず天井断熱工法の家では天井点検口は気密の穴なので天井点検口の隙間はテープで塞ぐことをオススメします。
実際に室内側の天井点検口を白いマスキングテープで塞いでみました。使用したマスキングテープはカモ井加工紙のmtシリーズのMT01P208Rというオフホワイト色の15mm幅で7m巻のマスキングテープです。このテープは安価で見た目も悪くないし剥がしやすいのでおすすめです。
コツとしては手でマステを切らずにきちんとハサミでテープを切ると仕上がりが綺麗になります。マステがちょっとズレても貼り直しが出来るので作業の難易度は高くありません。
上の写真のように天井点検口の枠の内側全体を塞ぐと7m巻のマスキングテープの半分近くを使ってしまいました。最初に溝の中心部分をマステで貼って、その後に内側、外側と貼っていくとスムーズかつ綺麗になります。こういう風に溝部分、内側、外側と貼る場合は7m巻のマステ1個で天井点検口2箇所分にギリギリ足りない位でした。天井点検口が2箇所ならマステ2個、3箇所もマステ2個、4箇所ならマステ3個と言う感じです。
2階建ての1階の天井点検口の隙間からも隙間風が吹き込んで来ていたのでマステで塞ぎました。これで気密性能が若干改善されたと思います。
天井点検口の枠全体を貼らずに真ん中の溝部分だけマステで貼る場合は1.5cm幅7m巻のマステ1個で天井点検口5箇所は行けます。6箇所だと微妙にマステが足りなくなるのでもう1巻必要になります。
溝部分だけ貼る場合は近くで見ると枠全体を貼るよりも見た目が悪いですが、遠くから見るとそれほど気にならないので面倒なら溝部分だけ貼って終わらせても良いと思います。それに溝部分だけマステを貼っておけばもし点検口に出入りする時も簡単に剥がせるし貼り直しの手間もそんなにかからないので目立つ所以外は枠全体をマステで貼る必要も無いのかなと思います。
改善したか微妙な箇所
天井点検口近くの壁
この壁の真上に何枚か上の写真の天井点検口付近のダクトが2本とCD管が2本と玄関のインターホン用の電気配線が1本入っていた箇所があります。その箇所にグラスウール断熱材の端材を詰めたのでこの部分の改善も期待していました。
こちらに関しては天井点検口周囲の断熱欠損を直した後にサーモグラフィーで見てみると若干改善していますがまだ温度ムラがあるのでこの箇所に関しては断熱欠損以前に桁上部分での気流止めが上手く出来ていないせいで熱気が壁裏に入り込んでしまっている可能性があります。
その場合は気流止めをきちんとやり直す必要があるのでまた天井点検口から屋根裏に入る必要がありますが、天井点検口の入口付近の断熱材を気密テープで処理してしまった事もありとりあえず様子見してみて35℃を超えるような猛暑日に熱が漏れていなければこのままで行こうと思います。
分電盤の上
上の写真は4月のまだ暑くない時期にサーモグラフィー撮影した画像です。
分電盤の上の配線が沢山ある部分も前々から断熱の弱点だと認識していてある程度対策済みでしたが、それでも今回更にグラスウールの端材を追加で充填しました。
今回対策した後にサーモグラフィーで見てみると若干改善したかしていないか微妙な感じですが、一応MAX30℃以下で収まっているので許容範囲内です。
最後に
家の引き渡し後に初めて天井裏に入ってみましたが意外と細かい部分の断熱欠損がありました。断熱欠損があった部分の大半はこの位の隙間なら大丈夫だろうと思ってしまう位の隙間ですが、サーモグラフィーで見ると結構熱が漏れていたので小さな隙間でもきちんと処理する大切さを再認識させられました。
今回実際に手直ししてみて天井断熱材の隙間にグラスウールの端材を詰める事で熱の漏れが改善できるということが分かったのは収穫でした。
今回は一番熱が漏れていた箇所とその途中で目に付いた箇所だけグラスウールの端材を詰めましたが、全ての天井断熱材の隙間を埋めたわけではないので次回屋根裏に入った時はきちんと全ての隙間を埋めて気密処理も行いたいと思います。
今回のもう一つの収穫は天井点検口からの漏気(隙間風)が結構あったのでそれに気づけたのも良かったです。天井点検口の隙間にマステを貼って気密性を確保しましたがこの隙間は結構盲点だったので既に家を建てたブログ読者の皆様も全ての階の天井点検口の隙間に手をかざしてみて隙間風があればマステで隙間を塞ぐことをオススメします。
【追記】冬に再度天井裏に入り天井断熱材の隙間を埋めました。「続・屋根裏に入り天井断熱の断熱欠損を手直ししました」という記事も合わせてご覧ください。