当サイトの県民共済住宅に関する情報は2021年9月契約、2022年4月引き渡し時点での情報を元に記載されています。

当時と現在とで仕様やルール、価格などの前提条件が異なり、記事の内容が間違っている可能性があるのでご注意ください。

今年の冬は例年よりも寒かった上、燃料費が高騰して更に急激な円安が進んだこともあり、電気代に加算される燃料費調整額の金額が10円/kWhを突破して再エネ賦課金を足すと1kWh辺りの電気代単価が45円以上とか凄い事になっていました。

そんなわけで例年よりも電気代が確実に高くなった今年の冬ですが、県民共済住宅で断熱性能と省エネ性能をある程度両立させて新築した私の家の電気代はギリギリ月3万円に届かない位でした。

私の家は4人家族、オール電化に加えて車が電気自動車(BEV)と普通の家より確実に電力消費が多い家庭になります。

家のスペックはUA値0.41でC値1.02、地域区分は6地域なのでHEAT20 G2レベル(断熱等級6)で5.1kWの太陽光発電を屋根に載せています。

暖房器具は過去記事で何度か触れていますがエアコンのみで、1階の寒冷地仕様の6畳用エアコン1台と2階の8畳用エアコン1台を併用して35.7坪(118.2m2)の総二階の家中仕切りなしで全館暖房しているので、玄関ホール以外は家中どこでも寒くない状態(LDKは普段22〜23℃、最低でも20℃以上、一番寒い部屋でも最低17℃以上)を保った上での電気代になります。

2022年11月〜2023年3月までの電気代

私の家の2022年度の電気使用量(棒グラフ)と電気代(折れ線グラフ)
私の家の2022年度の電気使用量(棒グラフ)と電気代(折れ線グラフ)

私が契約している電力プランはまちエネの毎晩充電し放題!プラン(2022年8月〜11月)と毎日充電し放題プラン(2022年12月〜2023年2月)というEVオーナー専用の料金プランで、特定の時間帯のEV充電に使用した分の電気代が無料(再エネ賦課金と燃料費調整額はかかります)になりますが、単価設定は東京電力のスタンダードSと同等です。

2023年1月の電気代の明細
2023年1月の電気代の明細

この冬で一番電気代が高かったのは2023年1月の29,802円でやはり寒い時期は電気代が高くなりました。

年月
[A]
電力
使用量
(kWh)
[B]
燃料費
調整額
(円/kWh)
[C]
再エネ
賦課金
(円/kWh)
[D]
電気代
(円)
[E]
売電量
(kWh)
[F]
売電収入
(円)
[G]
実質電気代
(円)
[H=E-G]
電力会社
料金プラン
2022年11月5849.723.4518,0254347,37810,647まちエネ
毎晩充電し放題!プラン
2022年12月68711.923.4529,3921592,70326,689まちエネ
毎日充電し放題プラン
2023年1月68412.993.4529,8022183,70626,096まちエネ
毎日充電し放題プラン
2023年2月6686.043.4525,4652914,94720,518まちエネ
毎日充電し放題プラン
2023年3月5844.693.4515,6694507,6508,019まちエネ
毎晩充電し放題!プラン
2022年11月〜2023年3月の電気代と太陽光発電の売電収入

今年は例年と比較して異常に電気代が高騰していたので、月3万円は超えるかなと覚悟していましたが、12月、1月共に29,000円台でギリギリ3万円に届きませんでした。

太陽光発電の自家消費分は電気代に含まれていて、売電分を差し引いたのが実質電気代になります。

私の家はオール電化で車もEVで暖房もエアコンのみなので、家のガス代も車のガソリン代も灯油代も0円で上記の表の電気代がそのまま光熱費+ガソリン代になります。

エアコンの温度設定は21℃で、晴れた日の昼間は無暖房で窓から日射熱を取り込むことで室温を上げつつも節電しました。

私の家では意外とエコキュートの消費電力が大きく、1日6〜10kWh位お湯を沸き上げるためだけに使っているようでした。

給湯は家庭の一次エネルギー消費の3割を占めるだけあり、住宅が高気密高断熱化で暖房エネルギーが少なくなったらその分給湯エネルギーの割合は増えるので、高気密高断熱住宅で電気代を本気で減らしたいなら「給湯」をどうするかと言うのは大きな課題だと思います。

実施した節電対策

エコキュートを昼間に沸き上げて太陽光発電の電力を自家消費

濃紺の棒グラフは太陽光発電の自家消費分で電力会社からの買電が発生していません
濃紺の棒グラフは太陽光発電の自家消費分で電力会社からの買電が発生していません

過去記事「【節電対策】エコキュートは何時にお湯を沸き上げるのが最も得か?」でも紹介していますが、太陽光発電とエコキュートの組み合わせは太陽光で発電した電力を効率良く自家消費出来るので太陽光発電のFIT価格(売電単価)が安い場合は非常に効果的な組み合わせです。

エコキュートは基本的に夜間にしか沸き上げ時間を設定できない縛りがありますが、エコキュートの内蔵時計の時刻設定を12時間ずらす事で昼間に沸き上げることができます。

2023年1月の太陽光発電のモニター(消費量-買電量=太陽光発電の自家消費分)
2023年1月の太陽光発電のモニター(消費量-買電量=太陽光発電の自家消費分)

2023年1月分の太陽光発電での発電量と私の家の電力消費量です。

太陽光発電の自家消費分の計算方法は消費量の1,134kWh-買電量の710kWh=424kWhで、電気代に換算すると2万円位になるのでかなりの節約になることがわかります。

もし太陽光発電が無かったら12〜2月の電気使用量が1,100kWh位になっているので電気代が4〜5万円コースでした。

太陽光発電は自然を破壊して作られたメガソーラーの印象の悪さで色々叩かれがちですが、建物の屋根上に載せる分には素晴らしい設備だと思います。

そもそも屋根の上なんて太陽光発電を載せるか、太陽熱温水器を載せるか、テレビのアンテナを載せる位しか使い道がないデッドスペースなので、基本放置で勝手に電気を作って家計を助けてくれる太陽光発電は偉大です。

見ての通り電力消費量が多い私の家だと太陽光発電の採算性も意外と悪くなく、自家消費分と売電分を考慮すると8〜9年位で初期費用を回収出来そうな感じです。

晴れた日の日中は窓から太陽光の日射熱を取り入れる

窓の遮蔽物を取り除いて太陽光(直射日光)を室内へ最大限取り込みます
窓の遮蔽物を取り除いて太陽光(直射日光)を室内へ最大限取り込みます

冬の晴れた日の太陽光は偉大です。

冬の時期には何も役に立たない網戸を外し、更にカーテンを全開にして窓から入る日射を妨げる障害物を撤去すると日当たりが良い(窓に直射日光が当たる時間が長い)南側の窓から太陽の日射熱を存分に取り込むことが出来ます。

私の家の立地条件は旗竿地で建物南側から3m位に2階建ての隣家があるので1階の日射は当たりませんが、2階の日射は確保出来る立地で、窓ガラスは樹脂サッシ(APW330)の遮熱Low-eペアガラスで、窓からの日射熱は4割しか取得出来ないのであまり日射取得の条件としてはそれほど良くはありません。

それでも最大限日射を取り込めるように家の設計時にパッシブデザインを考慮して間取りや窓の取り方を工夫しました。

無暖房でも晴れていれば窓から入る日射熱で室温は上がる

日射熱だけで2月上旬の昼間でも3.5℃も室温が上昇しました
日射熱だけで2月上旬の昼間でも3.5℃も室温が上昇しました

そんな立地条件と遮熱タイプの窓ガラスなので日射取得の条件としてはあまり良い方ではない環境ですが、驚いたのが昼間エアコンを切っても室温が下がるどころか逆に上がります。

1月2月の厳冬期でエアコンを止めていても晴れていれば2階の昼間の室温は22〜23℃台になるので、24時間エアコンを連続稼働させるよりも1日の電力消費量が3〜5kWh位節約出来たので電気代にすると1日100〜200円位の節約が出来ました。

最大限日射熱を取り込む上で重要なのは網戸を外すことと、カーテンを開けることです。

レースカーテンも含めてカーテンを閉めたままだと窓とカーテンの間は暖かくなりますが、肝心の居住空間まで暖かさが伝わりにくくなるので窓から直射日光が入る時間帯だけカーテンを全開にしておき、日が当たらなくなったら即カーテンを閉めると窓から取り入れる日射熱が最大化されつつ、窓から失われる熱が最小化されます。

日射熱を上手く室内に取り込めると快適性を保ったまま苦労しない節約が出来るのでおすすめです。

これから家を建てるならパッシブデザインは考慮すべき

これから家を建てる人は冬の南側の窓から最大限日射熱を取り込める様なパッシブ設計(パッシブデザイン)を心がけると電気代が安くなる家になると思います。

ちなみに南側の窓の上に適切な長さの庇や軒を設置すると、太陽高度が低い冬の間は庇や軒に太陽光が遮られずに窓から直射日光が入り暖かくなりますが、太陽高度が高くなる夏は軒や庇で太陽光が遮られ、窓が日陰になり直射日光が入らず涼しくなります。

窓のとり方一つで家の冷暖房費と快適度が断然変わってくるのでこれから家を建てる人は「パッシブデザイン」を松尾先生の書籍やYouTubeで勉強して設計に取り込んでみてください。

パッシブデザインはあくまでもデザインなので、断熱材や太陽光発電とは異なりパッシブデザインを取り入れてもせいぜい南側の窓の庇の追加費用が若干かかる程度で収まると思うので快適性を得るためのコスパは非常に高いと思います。

EV専用の電力プランだとEV充電代は月1,000円以下

EV+自宅駐車場+自宅充電は最強の組み合わせ
EV+自宅駐車場+自宅充電は最強の組み合わせ

私の電気自動車(三菱アイミーブ)がEV充電で使用している電力は月に60kWh程度で、まちエネの毎日充電し放題プランに当てはめると電気代単価0円+燃料費調整額+再エネ賦課金で充電単価は大体15円/kWh位になり、EVにかかる電気代は60kWh×15円=900円位と実は非常に安価です。

アイミーブの電費は8km/kWh位あるので、月に60kWh×8km=480km位走行している事を考えて実費ベースでガソリン車での燃費に換算すると、480km÷(900円÷ガソリン代150円)=リッター80km相当ととんでもない燃費換算になります。

更に言えば太陽光発電が稼働している昼間に充電すると正真正銘の0円/kWhでEVの充電が出来るので、その時点でガソリン車では不可能な燃費換算になります。

もし電費を東京電力のスタンダードSの単価+燃料費調整額+再エネ賦課金の45円/kWh換算で計算すると、月の電気代が60kWh×45円で2,700円位になり、ガソリン車の燃費に換算すると480km÷(2,700円÷ガソリン代150円)=リッター26.6kmで燃費の良いガソリン車と同等程度になります。

EVにすると電気代が跳ね上がりそうな印象がありますが、EV用の電力プランに加入すれば実はそれほど電気代は増えません。

最後に

4人家族で35.7坪の太陽光発電を載せたUA値0.41のHEAT20 G2レベル(断熱等級6)のオール電化住宅でも全館暖房を行えば月3万円近くかかる家があるという事で、参考になれば幸いです。

これを高いと見るか安いと見るかは判断が分かれる所ですが、家中の快適性を保った上でこの電気代で、オール電化に加えて車がEVなので、電気代にガス代、灯油代に加えてガソリン代までもが含まれていてこの金額と考えるとまずまずだと思います。

私の家では消費電力が高くないLED照明を細かく消したり、電源ケーブルをコンセントから抜いて余剰電力をカットしたりみたいな面倒な割にあまり効果が高くない節電対策は一切していません。

繰り返しますが、無理な節約はせずに市販のエアコンでの全館暖房で快適な状態を24時間保った上での電気代というか、光熱費の総額なので月3万円近い電気代は決して安いとは思いませんが、得られた快適性は大きいのである程度の満足はしています。

一応太陽光発電の売電分を考慮すると月の実質電気代が26,000円位にはなるので多少安くはなりますが、実質電気代が15,000円位だったら完璧でした。

この家は県民共済住宅で坪単価49万円台のローコスト住宅でありながら家の快適性はそれなりに高いレベルで担保出来ているので、初期費用とランニングコストと快適性のバランスと言うかコスパという意味では非常に優秀だと思いますが、欲を言えばもう少し電気代が安く済んで快適性が更に向上した方が良いので、もしまた家を立て直すとして県民共済住宅縛りを抜きにするなら、金額にもよりますが壁の付加断熱と窓のトリプルガラスでUA値0.2台を目指してみたいです。