オール電化でエコキュートを使っている皆様、燃料費調整額が10円を突破している今月(2022年12月)の電気代が凄いことになっていませんか?

できるだけ節電したくても給湯はお湯の使用量を減らす位しか節電出来ませんが、冬こそお湯を使いたい季節という事もあり中々削減するのが難しい部分ではあります。

そんな中どうにかして快適性を損なわずにエコキュートの電力消費量を下げられないか考えてみました。

CO2排出量が少ないエコハウスを建てようとしている施主さんは既にご存知の方もいるかと思いますが、一般住宅の一次消費エネルギー消費量の給湯に占める割合は何と全体の約3割と暖房よりも多くのエネルギーを使っている部分なのでここをどうにか出来れば光熱費に与えるインパクトは大きいはずです。

エコキュートは深夜にお湯を沸き上げて日中は保温して夜にお湯を使う様な感じになりますが、深夜早朝にお湯が出来てから夜にお湯を使うまでにお湯が冷めてしまいもったいなくないのかと、空気から熱を採取するヒートポンプ方式でお湯を沸かすと言うことは外気温が低い深夜早朝に動かすよりも外気温が高い日中の時間帯に動かした方が効率良くお湯を沸かせるのではないか?という発想に至りました。

そもそも脱オール電化した方が得?

最近は電気代が高いのでオール電化を止めてガス給湯器にした方が得なんじゃないかと思った方もいると思います。ですが今オール電化を止めてガスに移行するのは愚策かもしれません。

というのも電気代が高騰している裏でガス代もしっかり値上がりしているので、電気代だけ安くなっても電気代+ガス代のトータルコストで見たら節約に繋がらない可能性があるのと、一次エネルギー消費量で比較すると給湯器の熱効率はガスで沸かすエコジョーズよりも電気で沸かすエコキュートの方が高効率になるので電気代は下がってもガス代がそれ以上にかかって節約には繋がらない可能性があります。

エコキュートとエコジョーズの熱効率の違いは過去記事の「県民共済住宅で選べる給湯器の年間電気代とガス代をシミュレーション」で検証しているので興味があればそちらの記事も読んでみてください。

例外的にエコキュートではない普通の電気給湯器を使っている家庭では電気給湯器の消費電力が物凄いことになっていると思うので、今すぐ熱効率が良いエコキュートに変えるか、ガス給湯器にすると月1万円以上光熱費が安くなる可能性があります。

オール電化向けの深夜帯のkWh単価が安いプランの場合

東京電力のスマートライフSの様なオール電化向けの深夜帯の電力単価が安い料金プランで自宅に太陽光発電がない場合は普通に深夜帯に沸き上げるのが電気代が最も安くなると考えられます。

沸き上げ終了からお風呂のお湯を張る時間までの保温時間を考えると、なるべく遅い時間に沸き上がるのがベストなので深夜電力に切り替わった瞬間に沸かすのではなく、ちょっと遅めに沸かすようにすると若干得になると思います。

三菱電機のエコキュートだと夜間動作のパターンが設定できますが、夜間終了時刻を目標に沸き上げるパターンRにするのが一番節約になると思います。

時間帯でkWh単価が変わらない電力プランの場合

エコキュートがあるオール電化住宅で時間帯で電力単価が変わらない料金プランに入っている人は少ないとは思いますが、そういう人は今すぐエコキュートの沸き上げ時間を深夜から昼間にすると節約に繋がります。

と言うか、時間帯で電力単価が変わらない料金プランならわざわざ深夜にエコキュートを動かすメリットが全くありません

エコキュートの沸き上げ時間を考えるなら時間帯別の気温は考慮すべき

気象庁のWEBサイトから抜粋した2022年12月27日のさいたま市の気温
気象庁のWEBサイトから抜粋した2022年12月27日のさいたま市の気温

エコキュートはヒートポンプ方式でお湯を沸かしていますが、ヒートポンプで利用する熱は空気から採熱しているため1日の中で最も気温が低い深夜早朝にお湯を沸かすよりも、気温が高い午後の時間帯にお湯を沸かす方が効率的にお湯を作り出すことが出来るのは容易に想像出来ると思います。

気象庁の12月のさいたま市の時間別の平均気温データを見ると1日の内で一番気温が高いのが14時頃で、12時〜16時位の時間帯が1日の中で最も気温が高い時間帯になります。

これらの要素を踏まえて保温時間の短さと熱効率の良さを考えると昼の12時にエコキュートが動いて気温が下がり始める17時頃には湧き上がっている様な感じの設定がベストだと思います。

沸き上げ完了からお湯を使い始めるまでの保温時間は短い方が良い

エコキュートの貯湯タンクは断熱されているのでお湯が入っていてもすぐに冷める事はありませんが、それでも保温時間が長くなればなるほど少しずつお湯が冷めていくのは避けられないので保温時間は短ければ短いほど熱損失が少なくなります

家庭でお湯を使うのは夕方から夜にかけてだと思うので、エコキュートを午後に沸きあげて夕方には沸き上げが終わっているような設定にすると保温時間が最小限で済みますが、普通に深夜に沸き上げる設定だと保温時間が最長化してその分お湯が冷めてしまうので保温の熱損失が大きくなります。

水温も考慮すべき?

東京都水道局から転載した気温と水温のグラフ
東京都水道局から転載した気温と水温のグラフ

気温も大事なら水温も高い時間に沸き上げるのが良いのでは?と思い時間帯別の水温データも調べてみましたが、水温は気温と異なり1日を通してほぼ一定なので何時にお湯を沸き上げてもそんなに変わらないと思います。

屋根に太陽光発電がある場合

ZEH住宅の様なオール電化で太陽光発電がある場合は太陽光発電の電力を売るよりも発電した電力を自分で使った方が得になるケースがあります。

目安としては「売電単価<(深夜帯の電気代単価+再エネ賦課金+燃料費調整額)」で、売電単価よりも再エネ賦課金と燃料費調整額を合わせた電気代のkWh単価が高ければ昼間に発電した電気を売るよりも自家消費した方が得と言えます。

特に最近太陽光発電を載せた家を建てた場合は売電単価が17円とか19円とかなので迷わず自家消費しましょう。

さいたま市で南側の屋根上に5.1kWの太陽光発電がある私の家の2022年12月27日の時間帯別発電状況
さいたま市で南側の屋根上に5.1kWの太陽光発電がある私の家の2022年12月27日の時間帯別発電状況
気象庁のWEBサイトから抜粋した2022年12月27日のさいたま市の気温
気象庁のWEBサイトから抜粋した2022年12月27日のさいたま市の気温

太陽光発電の電力を使ってエコキュートを昼間に動かす場合は、外気温がまだ低いもののそれなりに発電し始める朝8時からエコキュートを動かすよりもある程度外気温が上昇していて発電のピークを迎えつつある朝10時位から沸き上げを開始するのがおすすめです。

なるべく遅く沸き上げる事を推奨するのは2つ理由があり、エコキュートはヒートポンプ方式で空気の熱を利用してお湯を沸き上げるので、外気温が低い時間帯に動かすよりも外気温が高い時間帯に動かした方が効率良くお湯を作れて電気代の節約になるのと、沸き上げ終了からお湯を使うまでの保温時間は短ければ短いほど保温時の熱損失が無くなり節電になると考えられます。

時間別の太陽光の発電グラフと時間別の気温グラフを見比べてみると概ね発電し始める時間と気温が上がり始める時間は比例しているように見えますが、良くグラフを見てみると太陽光発電が発電し始める時間よりも1~2時間位遅れて気温が上昇してくる傾向にあることがわかります。

エコキュートは昼間に動かせない?

エコキュートの機種によっては昼間にお湯を沸き上げたくてもそもそも沸き上げ時間を昼間の時間帯に設定出来ない縛りがあるクソ仕様の機種があります。

私の家で使っている三菱電機のエコキュート(SRT-S465U)も昼間の時間に沸き上げが設定出来ないタイプですが、ある方法を使えば誰でも簡単にエコキュートを昼間に動かすことが可能です。

エコキュートの時刻設定を半日遅らせると昼間にお湯が沸かせます

夜にしか沸き上げ設定が出来ないエコキュートですが、「今何時か」を判断しているのはエコキュート本体の内蔵時計になります。

エコキュート本体の内蔵時計の時刻設定はユーザー自身でリモコンから時刻を何時何分という風に合わせているので、もし現在の本当の時刻が23時でも、エコキュートの時刻設定を12時間ずらして朝の11時に設定すればエコキュートは朝の11時と認識します。

それを利用すれば夜にしか沸き上げ出来ない従来機種でも最近出てきた「おひさまエコキュート」と同じように昼間にお湯を沸かすことが可能になります。

時刻設定を中途半端に9時間とか10時間遅らせた場合は入浴中に給湯リモコンの時計を見て本当の時間は今何時だっけ?と一瞬混乱しますが、12時間ズレていた場合は混乱しないので時刻設定は12時間遅らせるのが色々使いやすいと思います。

時刻を12時間遅らせた上で、沸き上げ時間を12時間ズレている前提でマニュアル設定で何時から沸き上げするかを設定するのが一番良いと思います。

エコキュートと太陽光発電がある私の家の場合

さいたま市で南側の屋根上に5.1kWの太陽光発電がある私の家の2022年12月27日の時間帯別発電状況
さいたま市で南側の屋根上に5.1kWの太陽光発電がある私の家の2022年12月27日の時間帯別発電状況
2022年12月27日の私の家の電力仕様状況(エコキュートは朝10時に沸き上げ開始)
2022年12月27日の私の家の電力仕様状況(エコキュートは朝10時に沸き上げ開始)

オール電化で太陽光発電がある私の家では朝10時にエコキュートの沸き上げを開始させています。私の家のエコキュートは三菱電機のSRT-S465Uという460リットルの貯湯タンクがある機種を導入しました。

最初は発電し始める朝8時からエコキュートを動かして昼過ぎに沸き上がる様な設定にしていましたが、太陽光発電の発電時間のグラフと一日の時間帯別の気温のグラフを見比べてみると外気温と発電開始する時間とで差異があったので何時から沸かすのが一番得なのかを再考してみて朝10時から沸かし始めるのが発電時間内で沸き上げが完了するので一番コスパが高いと判断しました。

1年で一番日照時間が短い冬至が2022年だと12月22日ですが、この記事では冬至から5日後の12月27日の気温、発電、消費電力のデータで検証しているので晴れた日の太陽光発電の条件としては最悪に近い条件です。

消費電力のグラフの赤線で囲っている部分がエコキュートで使っている電力消費分になります。グラフから見る限り1日の湯沸かしに6kWh位使っていることになるので大雑把に電気代に換算すると1日の給湯費は250円位になると思いますが、晴れた日は太陽光発電のおかげで僅か数円位に収まっている様な感じです。

もし私の家がオール電化住宅向けの東京電力のスマートライフSを契約していて、深夜電力でお湯を沸かしていたとしたら、「夜間のkWh単価17.78円+再エネ賦課金3.45円+2023年1月の燃料費調整額12.99円=34.22円/kWh」×「エコキュート分の6kWh」=「205.32円」が給湯にかかる電気代になります。

夜間にエコキュートを動かしたので昼間使うはずだった6kWhの電力は使わずに余剰電力として売電した事を考慮すると、「2022年度のFIT価格17円×6kWh=102円」となり、給湯費の205円から売電分の102円を差し引いても103円かかることになりますが、昼間にエコキュートを動かせば太陽光発電でほぼ全量カバー出来るので102円分がゼロになるので1日100円は得をしている感じになります。

この試算では保温時間の熱損失と沸き上げ中の外気温差は考慮していないので実際は昼間に沸かした方がもう少し節約につながると思います。

最後に

契約している電力プランと太陽光発電の有無でエコキュートは深夜に動かすよりも昼間に動かした方が得になるケースがあるということがわかりました。

実際に私の家では朝10時からエコキュートの沸き上げをスタートさせていて、晴れた日はほぼ全て太陽光発電で発電している電力だけで給湯分を賄えているので電気代が高騰している今の時期でも給湯費用がかなり削減出来ています。

太陽光発電があるZEH住宅を最近新築したような家では昼間発電した電力を売電するよりも自家消費した方が得になるケースが多いのでエコキュートの使い方を最適化すると「我慢しない節電」が出来ると思います。

得に埼玉県の様な関東地方では冬は晴天日が多いので昼間の太陽光発電で発電した電力を使ってお湯を沸かすと太陽光発電の自家消費率を高めつつ給湯費用が削減できるのでメリットが非常に大きくなります。