県民共済住宅はZEHビルダーではありませんが、オプションで太陽光発電システムを導入することが可能です。2021年5月時点で県民共済住宅が取り扱う太陽光パネルのメーカーはパナソニックと長州産業の2社でした。この2社は両社とも太陽光パネルと蓄電池の組み合わせのオプションもあります。

県民共済住宅のオプションで取扱があるパナソニックと長州産業のパネルの性能を比較してみてどちらのパネルを導入すべきかを計算してみました。また、セットでオプションの蓄電池を入れた場合の計算も行っています。

結論としては太陽光発電は大体10年〜13年で元が取れる感じでメーカーは長州産業の方がパナソニックよりもkW単価が安くて太陽光パネルも高効率でした。蓄電池に関しては県民共済住宅で導入出来る蓄電池の保証期間内に高額なオプション価格の元を取る事は難しいのでFIT期間が終わって買取単価が下がる10年後に蓄電池の導入を検討するのが現状良いと思います。

【追記】2021年度のFIT価格19円と2022年度のFIT単価17円と2023年度のFIT単価16円で自家消費する電気代の単価を30円として保証期間が切れる15年の損益を求めるように再計算しました。

パナソニックの太陽光パネル(HIT243SS)

県民共済住宅オプションのパナソニックの太陽光パネル(HIT243SS)
県民共済住宅オプションのパナソニックの太陽光パネル(HIT243SS)

パナソニックの太陽光発電はHIT243SSという型番のパネルが使われています。

このパネルは厄介なことにパナソニックの太陽光発電システムのカタログには掲載されていません。県民共済住宅オリジナルの商品のようです。

ですが、型番の243という数値や20枚で4.86kW発電することを考えると4.86kW÷20=243Wとなるので1枚で最大243W発電するパネルということがわかってきました。パナソニックの太陽光発電システムのWEBサイトを見ると変換効率は下記のように計算できるとありました。

※1.太陽電池モジュールの変換効率(%)は{モジュール公称最大出力(W)×100}÷{モジュール面積(m2)×1,000W/m2}の計算式を用いて算出しています。変換効率とは、太陽エネルギーから電気エネルギーに変換したときの割合を表します。

パナソニックのWEBサイト:太陽電池モジュール ラインアップより引用

この場合、モジュール公称最大出力が243Wで20枚の4.86kWプランから逆算すると1枚分のモジュール面積が7900mm×3308mm÷20枚で1.3067m2になり、上記の計算式に当てはめて計算すると(243×100)÷(1.3067×1000)=18.5965となり約18.6%の変換効率になることがわかりました。

変換効率が18.6%というのはパナソニックのカタログに載っている多くのモデルよりも性能が悪いです。243LPという同じ様なパネルがパナソニックのWEBサイトで確認出来ましたがこちらは変換効率が18.9%になっています。243SSと243LPだと同じ243Wの出力のパネルでも243LPの方が縦幅が小さい(面積が小さい)ので別のパネルだと思います。

保証は無償でモジュールが25年、機器瑕疵が15年、自然災害が15年と長期保証がついているので導入から数年で機器の故障や台風等の災害時に被害があって導入費用の元が取れないというリスクは回避できそうですね。

長州産業の太陽光パネル(CS-284B61)

県民共済住宅オプションの長州産業の太陽光パネル(CS-284B61)
県民共済住宅オプションの長州産業の太陽光パネル(CS-284B61)

長州産業の太陽光パネルはCS-284B61という型番のパネルが使われていてこのパネルは長州産業のWEBサイトに掲載されていました。

このパネルは公称最大出力が284Wでモジュール変換効率が19.1%となります。数値を見る限りパナソニックよりも発電効率が良いパネルということが判断出来ます。

保証もパナソニック同様に無償でモジュールが25年、機器瑕疵が15年、自然災害が15年と長期保証がついてくるので安心ですね。

オプション価格も踏まえて両社の太陽光パネルを比較

太陽光パネルの性能

メーカーパネル
型番
公称最大出力
(W)
変換効率
(%)
横幅
(mm)
縦幅
(mm)
パナソニックHIT243SS24318.61,580827
長州産業CS-284B6128419.11,4831,020
県民共済住宅のオプションで導入出来る太陽光パネルの性能

県民共済住宅のオプションで導入出来る太陽光パネルはパナソニックと長州産業の2種類です。性能を見る限り長州産業の方が高効率ですね。

導入時のオプション価格とkW単価

メーカーパネル
型番
枚数合計
kW
横幅
(mm)
縦幅
(mm)
年間推定発電量
(kWh)
オプション価格
(税込)
kW単価
(税込)
パナソニックHIT243SS163.886,3203,3084,7111,164,900300,232
パナソニックHIT243SS184.379,4802,4815,2741,306,800299,039
パナソニックHIT243SS204.867,9003,3085,8911,448,700298,086
パナソニックHIT243SS245.839,4803,3087,0691,732,500297,170
長州産業CS-284B61164.5445,9324,0125,4801,241,900273,305
長州産業CS-284B61185.1128,8983,0096,1651,392,600272,418
長州産業CS-284B61205.6807,4154,0126,8391,544,400271,901
長州産業CS-284B61246.8168,8984,0128,0691,846,900270,965
県民共済住宅のオプションで導入出来る太陽光パネルの価格

2021年5月時点での県民共済住宅のオプションファイルのkw数とオプション価格別に表にしてみました。kW単価はオプション価格÷合計kWで算出しています。

こうして見るとパナソニックの方が発電量が少ないにも関わらずkW単価が高い事が伺えます。長州産業の方がパナソニックよりも変換効率が良いのにkW単価だと大体27,000円位安いので両社で迷ったら性能面でも価格面でもパナソニックを上回っている長州産業を選ぶべきでしょう。

オプションの太陽光発電だと屋根上に設置できるサイズが決まっていますが、屋根をフルに使いたい場合は個別見積りの様な形で割高にはなりますが上記の表のサイズよりも広げることが出来るようです。

私は南北の切妻屋根なので南側にのみパネルを載せる予定ですが、もし太陽光パネルをとにかく沢山載せたければ追加費用を払って片流れ屋根にするか南北の切妻屋根ではなく東西の切妻屋根にして東西両面に載せたり、寄棟にして南と東西面に載せるというやり方もありかもしれません。ただ、太陽光パネルは南向きに設置するのが一番発電効率が良いので基本的には南面に設置するのがベターです。

FIT制度の売電価格で元を取るのに何年かかるか

県民共済住宅のオプションで太陽光発電を導入した場合、固定価格買取制度(FIT制度)を使うと何年で元が取れるか計算してみました。

注意点ですが、この年間推定発電量は地域差を考慮していません。埼玉県は比較的晴天率が高い地域なのでこの年間推定発電量を下回ることは無いと思いますが、正確な計算をする場合は設置する地域の日照データを基に計算したほうが確実です。

なお、これらの計算では当然ながら太陽光パネルの経年劣化も考慮していません。両社とも太陽光モジュールの保証が25年あるので急激な発電効率の低下は無いと思いますが年数が経過するにつれ発電効率が徐々に落ちていく可能性はあります。

2021年度のFIT価格19円で仮に全量売電する場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間売電価格
(19円)
10年後の
合計売電価格
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の
合計売電価格
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71189,509895,090-269,81040,0441,095,308-65,59216.7年
パナソニック4.371,306,8005,274100,2061,002,060-304,74044,8291,226,205-80,59516.8年
パナソニック4.861,448,7005,891111,9291,119,290-329,41050,0741,369,658-79,04216.6年
パナソニック5.831,732,5007,069134,3111,343,110-389,39060,0871,643,543-88,95716.5年
長州産業4.5441,241,9005,480104,1201,041,200-200,70046,5801,274,10032,20014.3年
長州産業5.1121,392,6006,165117,1351,171,350-221,25052,4031,433,36340,76314.2年
長州産業5.6801,544,4006,839129,9411,299,410-244,99058,1321,590,06845,66814.2年
長州産業6.8161,846,9008,069153,3111,533,110-313,79068,5871,876,04329,14314.6年
仮にFIT価格19円で全額売電する前提で損益を計算

2022年度のFIT価格17円で仮に全量売電する場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間売電価格
(17円)
10年後の
合計売電価格
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の
合計売電価格
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71180,087800,870-364,03040,0441,001,088-163,81219.1年
パナソニック4.371,306,8005,27489,658896,580-410,22044,8291,120,725-186,07519.2年
パナソニック4.861,448,7005,891100,1471,001,470-447,23050,0741,251,838-196,86218.9年
パナソニック5.831,732,5007,069120,1731,201,730-530,77060,0871,502,163-230,33718.8年
長州産業4.5441,241,9005,48093,160931,600-310,30046,5801,164,500-77,40016.7年
長州産業5.1121,392,6006,165104,8051,048,050-344,55052,4031,310,063-82,53716.6年
長州産業5.6801,544,4006,839116,2631,162,630-381,77058,1321,453,288-91,11216.6年
長州産業6.8161,846,9008,069137,1731,371,730-475,17068,5871,714,663-132,23716.9年
仮にFIT価格17円で全額売電する前提で損益を計算

2023年度のFIT価格16円で仮に全量売電する場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間売電価格
(16円)
10年後の
合計売電価格
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の
合計売電価格
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71175,376735,760-411,14040,044953,978-210,92220.3年
パナソニック4.371,306,8005,27484,384843,840-462,96044,8291,067,985-238,81520.3年
パナソニック4.861,448,7005,89194,256942,560-506,14050,0741,192,928-255,77220.1年
パナソニック5.831,732,5007,069113,1041,131,040-601,46060,0871,431,473-301,02720年
長州産業4.5441,241,9005,48087,680876,800-365,10046,5801,109,700-132,20017.8年
長州産業5.1121,392,6006,16598,640986,400-406,20052,4031,248,413-144,18717.8年
長州産業5.6801,544,4006,839109,4241,094,240-450,16058,1321,384,898-159,50217.7年
長州産業6.8161,846,9008,069129,1041,291,040-555,86068,5871,633,973-212,92718.1年
仮にFIT価格16円で全額売電する前提で損益を計算

この表では参考までに自家消費分を一切考慮せずに仮に全量を売電に回す前提で損益を計算しました。実際は10kW未満の太陽光発電なので自家消費分を引いた余剰電力のみ買取対象となることからこの表の様に全額売電することは出来ません。

全量売電出来ないならシミュレーションする意味がないと思いますが、現状だと「売電価格<買電価格」なので自家消費分を考慮しない売電価格だけで見積もっておけばこれを下回ることはないという最低ラインの目安として参考になります。

FIT単価19円で全額売電する前提だと長州産業の太陽光パネルを導入してもFIT制度が終了する10年後には20万円〜40万円位の範囲で赤字になることが判明しました。FIT価格が17円や16円になると赤字幅が更に拡大していきます。固定買取単価が年々下がっている影響で投資目的の太陽光パネルは儲からない時代になった事がよく分かる結果となっています。

10年後にFIT制度が終わって11年目からは東京電力の買取単価の8.5円で計算してみると、機器の保証期間が切れる15年後でも2021年度のFIT価格が19円で長州産業のパネルを採用した場合のみ僅かに黒字化しますが、FIT価格が17円以下になるとどの太陽光発電を採用しても赤字になります。

自家消費を考慮してより現実的な条件で試算してみます

ただ、現実的に全量を売電に回す訳ではないので自家消費分を考慮した計算をしてみます。4.5kWのパネルで大体自家消費分が3割と言われているので売電分が7割、自家使用分が3割として改めて計算してみます。厳密には3.88kWのパネルの3割と6.816kWの3割とでは大きく異なるので割合で比較するよりも昼間の時間帯に使用する電力量を計算してシミュレーションすべきですが、それだとあまりにも大変なので割合で計算しています。

当然発電容量が大きいパネルの方が売電に回す量が増えて自家消費分は少なくなる可能性が高いですが、下記の表では容量を問わずに全ての合計kW数で売電7:自家消費3の割合で計算しました。

2021年度のFIT価格19円の場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間自家消費分
(30円)
年間売電価格
(19円)
10年後の売電
+自家消費分
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の売電
+自家消費分
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71142,39962,6561,050,553-114,34728,0301,402,700237,80011.6年
パナソニック4.371,306,8005,27447,46670,1441,176,102-130,69831,3801,570,334266,53411.7年
パナソニック4.861,448,7005,89153,01978,3501,313,693-135,00735,0511,754,045305,34511.5年
パナソニック5.831,732,5007,06963,62194,0181,576,387-156,11342,0612,104,795372,29511.5年
長州産業4.5441,241,9005,48049,32072,8841,222,040-19,86032,6061,631,670389,77010.2年
長州産業5.1121,392,6006,16555,48581,9951,374,795-17,80536,6821,835,629443,02910.2年
長州産業5.6801,544,4006,83961,55190,9591,525,097-19,30340,6922,036,312491,91210.2年
長州産業6.8161,846,9008,06972,621107,3181,799,387-47,51348,0112,402,545555,64510.4年
2021年度のFIT単価19円で自家消費分が30%、売電分が70%という前提で損益を計算

2022年度のFIT価格17円の場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間自家消費分
(30円)
年間売電価格
(17円)
10年後の売電
+自家消費分
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の売電
+自家消費分
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71142,39956,061984,599-180,30128,0301,336,746171,84612.6年
パナソニック4.371,306,8005,27447,46662,7611,102,266-204,53431,3801,496,498189,69812.6年
パナソニック4.861,448,7005,89153,01970,1031,231,219-217,48135,0511,671,571222,87112.5年
パナソニック5.831,732,5007,06963,62184,1211,477,421-255,07942,0612,005,829273,32912.4年
長州産業4.5441,241,9005,48049,32065,2121,145,320-96,58032,6061,554,950313,05011.2年
長州産業5.1121,392,6006,16555,48573,3641,288,485-104,11536,6821,749,319356,71911.1年
長州産業5.6801,544,4006,83961,55181,3841,429,351-115,04940,6921,940,566396,16611.1年
長州産業6.8161,846,9008,06972,62196,0211,686,421-160,47948,0112,289,579442,67911.3年
2022年度のFIT単価17円で自家消費分が30%、売電分が70%という前提で損益を計算

2023年度のFIT価格16円の場合

メーカー合計
kW
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間自家消費分
(30円)
年間売電価格
(16円)
10年後の売電
+自家消費分
10年後の
損益
FIT後年間売電価格
(8.5円)
15年後の売電
+自家消費分
15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.881,164,9004,71142,39952,763951,622-213,27828,0301,303,769138,86913年
パナソニック4.371,306,8005,27447,46659,0691,065,348-241,45231,3801,459,580152,78013.1年
パナソニック4.861,448,7005,89153,01965,9791,189,982-258,71835,0511,630,334181,63412.9年
パナソニック5.831,732,5007,06963,62179,1731,427,938-304,56242,0611,956,346223,84612.9年
長州産業4.5441,241,9005,48049,32061,3761,106,960-134,94032,6061,516,590274,69011.6年
長州産業5.1121,392,6006,16555,48569,0481,245,330-147,27036,6821,706,164313,56411.6年
長州産業5.6801,544,4006,83961,55176,5971,381,478-162,92240,6921,892,693348,29311.6年
長州産業6.8161,846,9008,06972,62190,3731,629,938-216,96248,0112,233,096386,19611.8年
2023年度のFIT単価16円で自家消費分が30%、売電分が70%という前提で損益を計算

自家消費の電気代をkW単価30円と想定して自家消費分3割を考慮するだけで全量売電する時よりも損益分岐点が5年程度短くなり全体的に11年〜13年で元が取れるようになり、機器の保証期間の15年以内に利益が出ることがわかってきました。これなら現実的に損をしないと言える水準になったと思います。

年度別に3パターン計算してみましたが、大体FIT価格が1円値下がりすると損益分岐点が0.5年程延びるような感じになりました。

私は長州産業の5.112kWのオプションを入れましたが、売電価格は2022年度のFIT価格17円が適用になると思います。そうすると機器の保証期間内の11年で元が取れるので後は保証期間外にパワコンや太陽光パネルが故障しない限り利益が出続ける感じになります。

県民共済住宅で導入可能なパナソニックと長州産業の蓄電池

次に太陽光パネルとセットで蓄電池の導入についても考慮してみます。

パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(最小容量の組み合わせ)
パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(最小容量の組み合わせ)
パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(蓄電池の容量別)
パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(蓄電池の容量別)
パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(太陽光パネル5.83kW+蓄電池7.0kWh)
パナソニックのオプションの太陽光発電と蓄電池(太陽光パネル5.83kW+蓄電池7.0kWh)

県民共済住宅のオプションで設定があるパナソニックの蓄電池は創蓄連携システムS+というシリーズで容量が3.5kWh、5.6kWh、7.0kWh、9.1kWh、11.2kWhの5種類の設定があります。

蓄電池の保証期間は無償で10年、有償で15年となっていて蓄電池の容量が60%を下回った時に保証が適用されます。

気になるのがサイクル寿命の回数がWEBサイトを見てもどこにも書いていないことと、無償で10年という保証期間の短さです。サイクル寿命が記載されていない上、保証期間が短いとなると蓄電容量が劣化しやすいのでは?と勘ぐってしまいます。

長州産業の太陽光パネルと蓄電池の組み合わせ(太陽光パネル5.68kW+蓄電池7.04kWh)
長州産業の太陽光パネルと蓄電池の組み合わせ(太陽光パネル5.68kW+蓄電池7.04kWh)
長州産業の蓄電池システム
長州産業の蓄電池システム

長州産業の蓄電池はスマートPV plusという商品で7.04kWhの設定があり、1台設置か2台設置で14.08kWhとして使う設定があります。蓄電池の保証は15年で蓄電池の容量が60%を下回った際に保証されます。

サイクル寿命が12,000というのも劣化にそこそこ強そうで良いと思います。

蓄電池の価格一覧

メーカー型番蓄電容量
(kWh)
オプション価格
(税込)
kWh単価
パナソニックLJB12353.5759,000216,857
パナソニックLJB12565.6974,600174,036
パナソニックLJB1235 ×27.01,455,300207,900
パナソニックLJB1235 + LJB12569.11,669,800183,495
パナソニックLJB1256 ×211.21,885,400168,339
長州産業CB-LKT70A7.041,265,000179,688
長州産業CB-LKT70A ×214.082,277,000161,719
県民共済住宅のオプションで導入可能な蓄電池の価格

導入可能な蓄電池の価格を表にまとめてみました。kWh単価だけならパナソニックは5.6kWhと11.2kWhが比較的割安感があります。長州産業は2台入れた方が割安になりますが、オプション価格が230万円近いのでかなり高額になってしまいます。

蓄電池は蓄電容量が少ないと数時間から半日程度で蓄電容量を使い切ってしまうので実用性を考えると蓄電容量が大きければ大きいほど有利です。また、蓄電容量が大きければ大きいほどリチウムイオンバッテリーの劣化が起こりにくいというメリットもあるので可能ならオプション費用は高額になりますが最大容量の蓄電池を入れるのが実用性も耐久性も両立できて良いと思います。

太陽光発電と蓄電池をセットで入れた場合の損益

FITの買取単価が自家消費分よりも安くなったことで、これなら売電せずに蓄電池を導入して自宅で全量消費した方が得なのではという考えが浮かぶ人もいるかと思います。

蓄電池は2021年現在ではかなり高額で気軽に導入出来るオプションではありませんが一応どんな感じになるかをシミュレーションしてみます。とりあえず両社とも7kWhの蓄電池の設定があるのでそれを入れる前提で計算しました。

メーカー合計kW
(太陽光+蓄電池)
オプション価格
(税込)
年間推定発電量
(kWh)
年間自家消費分
(30円)
10年後の自家消費分10年後の
損益
15年後の自家消費分15年後の
損益
損益
分岐点
パナソニック3.88+7.02,620,2004,711141,3301,413,300-1,206,9002,119,950-500,25018.5年
パナソニック4.37+7.02,762,1005,274158,2201,582,200-1,179,9002,373,300-388,80017.5年
パナソニック4.86+7.02,904,0005,891176,7301,767,300-1,136,7002,650,950-253,05016.4年
パナソニック5.83+7.03,187,8007,069212,0702,120,700-1,067,1003,181,050-6,75015年
長州産業4.544+7.042,506,9005,480164,4001,664,000-862,9002,466,000-40,90015.2年
長州産業5.112+7.042,650,9006,165184,9501,849,500-801,4002,774,250123,35014.3年
長州産業5.680+7.042,809,4006,839205,1702,051,700-757,7003,077,550268,15013.7年
長州産業6.816+7.043,111,9008,069242,0702,420,700-691,2003,631,050519,15012.9年
7kWの蓄電池をオプションで導入し、全発電量を自家消費出来る前提で損益を計算

7kWhの蓄電池を考慮するとこうなります。とりあえず太陽光パネルで発電した分の全ての電力が7kWの蓄電池に収まって余剰電力の売電が発生せずに全て自家消費できるという前提での計算です。実際、全ての電力を自家消費するならもっと多くの蓄電容量が必要とも言われていますが、とりあえず両社で設定のある共通の容量が7kWhなので7kWhで蓄電池の容量を合わせています。

結果はどの組み合わせでも太陽光パネルとセットで蓄電池を入れると損益分岐点が太陽光パネルのみの時よりも悪化するということが見えてきました。パナソニックの場合はkWh単価が高くコスパが良くない7kWHの蓄電池を入れた想定で計算しているので特に厳しい数値になっています。

パナソニックの太陽光発電と蓄電池の場合、保証期間が無償だと10年、有償だと15年になるので保証期間中に元が取れない計算になりました。長州産業の場合は太陽光発電の容量が5.112kW以上だと15年の無償での保証期間内に元が取れる計算になります。

注意点としては蓄電池の容量以上に発電した場合は余剰電力を売電する事になるのでこの表の数値よりも収益性は悪化します。この表はその事を考慮して計算していないので実際の損益はもっと悪くなると考えて下さい。また、蓄電池の容量の劣化も考慮していません。

一応計算上ではそのうち元が取れそうな感じになっていますが、蓄電池の場合はリチウムイオンバッテリーの特性上容量をフルに使えない事や経年劣化で実際に使える容量が減る事も考慮すべきです。特に蓄電池の保証期間の15年以内に元が取れるようにならないと厳しいですね。

また、蓄電池を選ぶ際に重要なのが蓄電池に搭載されているリチウムイオンバッテリーのサイクル寿命です。これは蓄電容量が劣化しやすいかしにくいかを判断する上で重要な指標になります。サイクル寿命が長くて蓄電容量が大きいほど劣化に強くなります。

災害時のことを考えれば蓄電池はあるに越したことはありませんが、蓄電池を太陽光パネルとセットで新築時に導入するよりはFIT価格での買取が終わる10年後に再度設置を検討するのが現状良いのではないでしょうか。10年後なら技術革新が起きていてより高性能な蓄電池が低価格で手に入る可能性も出てきます。

電気自動車があればV2Hで蓄電池代わりにする選択肢もあり

電気自動車があれば蓄電池を入れるのではなくV2Hを導入するという選択肢もあります。V2H(Vehicle to Home)は電気自動車に充電された電気を蓄電池の様に車から家へと供給する為の機器です。2021年現在だと普通に蓄電池を入れるよりもV2Hと中古の安い電気自動車を買って蓄電池代わりにした方が大容量かつ安くなります。

オプションファイルを見る限り県民共済住宅でV2Hの取扱はしていない様ですが、私は電気自動車を既に持っているので2021年現在で蓄電池を入れるならV2Hを使ったこの方法を取ると思います。

建築士さんにV2Hの導入が出来るかどうか聞いてみましたが、パナソニックか三菱電機製なら個別見積りで入れられるとの事でした。ただ、現在両社共V2Hの製品を作っていないので県民共済住宅経由でV2Hを入れるのは難しそうです。

注意点としてはV2Hで電気自動車のバッテリーを蓄電池代わりに日常的に使用すると純粋に自動車としてだけ運用する時よりもバッテリーの劣化が早まると思うのでその辺のリスクも考慮してV2Hを入れるかどうかを判断すると良いと思います。

特に中古の安い電気自動車を購入して乗り潰すつもりならV2Hの選択は多いにありだと思います。

太陽光パネルを有効活用するために

蓄電池を入れると太陽光パネルのみの場合よりもオプション金額分を回収するのが長くなってしまいました。

では太陽光パネルを導入して自家消費分を増やすのにどうすればよいかと言うとエコキュートの炊き上げを昼間に行ったり食洗機を昼間に動かしたりすることが現実的ではないでしょうか。ただ、夫婦共働きの場合食洗機を昼間に動かすのは中々ハードルが高そうではあります。普通のエコキュートはHEMSがないと昼間の焚き上げが出来ませんが、エコキュートの内蔵時計を12時間ずらすという裏技で深夜電力を使わずに昼間に焚き上げる方法があります。

後は晴れた日の昼間はエアコンをつけっぱなしにして室内を常に快適な温度に保つというのもありですね。

その他に電気自動車に乗り換えるというのも選択肢としてあります。太陽光発電の電気を昼間EVに充電すれば自家消費分を有効活用できますが、EVに乗り換える場合は自宅に駐車スペースと充電用のコンセントがないと意味がないので注意しましょう。EV充電用のコンセントは県民共済住宅でも取り付け可能だし、後付も安い業者なら3万円程度で可能です。

また、昼間は車を使うから充電できないという人もいるのでEV導入は自分のライフスタイルに合っているかをまず確認する必要がありますね。EVを上手く活用できれば毎月のガソリン代をゼロにする事が出来るので人によってはかなりの節約になると思います。

私は現在EVに乗っているのでオプションで太陽光パネルの設置を決めました。太陽光発電で作った電気を使って電気自動車で無料で移動できるのは夢がありますね。

太陽光発電や蓄電池の購入に使える補助金

太陽光発電や家庭用蓄電池の設置をすると補助金が出る自治体があります。調べてみた所埼玉県の蓄電池やV2Hの導入に使える補助金制度がありましたが、令和3年度の内容を見る限り新築住宅は対象外の様でした。補助金の金額も5万円と少ないです。

自治体によっては独自の補助金制度があったりするので太陽光発電や蓄電池を導入しようと思っている人は補助金制度も忘れずに調べてみて下さい。国や地方自治体の政策次第ではこの先新たな補助金制度が追加されることもあれば逆に補助金制度が廃止される事もあるので定期的に補助金の有無はチェックしましょう。

例えばさいたま市の場合、「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金という自治体独自の補助金がありました。太陽光パネル4kW未満で3万円、4kW以上で5万円、HEMS機器に5千円の補助金が出るのと、県民共済住宅はさいたま市に本店登記があるので市内事業者加算の1万円が加算されます。私はさいたま市内に家を建てるのでこの補助金を受け取れたら良いと思います。私の場合は工事完了日が令和4年度になるので来年も同じ様な補助金があれば良いなと思います。

【家の引き渡し後に追記】さいたま市の「「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金」を申請しました

さいたま市の補助金制度が令和4年度も実施されることになり、私はさいたま市に家を建てて令和4年4月に家の引き渡しを受けたので補助金制度の対象になりました。

補助対象

市民が、自ら居住する住宅に、省エネ対策(下記参照)を実施するために要する費用の一部を補助します。
(市民とは、実績報告書提出時点でさいたま市内に住民票を有する方です。)
・集合住宅に高遮熱塗装を実施する場合のみ、管理組合が申請者となることも可能です。
・省エネ対策の工事完了日が、令和4年3月16日(水曜日)から令和5年3月15日(水曜日)までのものが対象となります。
・市税に滞納がないことを条件に、補助金を交付します。
※令和5年3月15日(水曜日)までに、実績報告書を提出することが必要です。
※実績報告書提出時点で、申請者本人が省エネ対策の実施場所に住民票を有することが必要です。

さいたま市「《補助金》【令和4年度実施について】「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金」より抜粋

この補助金制度はさいたま市在住で工事完了日(検査済証の日付)が令和4年3月16日〜令和5年3月15日までなら対象に入るので、私みたいに昨年度に契約した人も対象に入ります。

補助金の金額は太陽光パネルが4kW未満なら30,000円、4kW以上だと50,000円で、更に県民共済住宅はさいたま市内に本店登記があるので市内事業者加算でプラス10,000円の補助金が受け取れます。蓄電池があれば蓄電容量1kWにつき20,000円で上限120,000円(6kW分)まで補助金が加算されます。

私は県民共済住宅オプションにある長州産業の5.1kWの太陽光パネルを載せて蓄電池は導入しなかったので4kW以上の太陽光パネルと市内事業者加算で60,000円が受け取れると思います。

補助金の申請方法

県民共済住宅の太陽光発電オプションを導入した場合、この補助金の申請手続きは現場監督にこの補助金を受けたい旨を伝える必要があります。そうすると現場監督経由で県民共済住宅提携の太陽光屋の提携の行政書士から連絡が来ると思うのでその指示に従って補助金を申請する必要がありました。行政書士側で必要書類は集めてくれる上、申請書の記入方法まで付箋でメモしてくれたので申請の難易度は低かったです。

県民共済住宅から太陽光屋へは補助金の申請も含めた業務を委託しているとの事なので補助金を申請する為の手数料等の追加費用は一切発生しませんでした。施主側で用意する必要がある書類は「前年度の市民税納税証明書」です。これはマイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機で発行出来ます。

県民共済住宅で太陽光パネルを入れるメリット

太陽光パネルは後付するという選択肢もありますが、新築時に県民共済住宅で入れることで雨漏り等の屋根の保証を保ったまま太陽光パネルを設置できるという事が一番のメリットです。逆に、このメリットが大して重要ではないと思うならもっと安いパネルを別の業者から入れた方が恐らくコスパは高くなります。

無料太陽光という選択肢もありか

また、県民共済住宅で太陽光パネルを入れても元を取るのに10年はかかりそうなのでそれなら10年後に自分のものになる無料太陽光を導入するのも多いにありだと思っています。

無料太陽光は各社様々な契約内容になっているので単純にどれが良いとは中々言えませんが、軽く調べてみた限りlooopと京セラの無料太陽光は10年後に所有権が移って契約の縛りが無くなるので割と良さそうでした。

結論

県民共済住宅で太陽光パネルを入れるなら蓄電池は入れずに太陽光パネルのみで長州産業のパネルを選ぶとkW単価が安く性能も高いです。太陽光発電の容量は自家消費分が賄えて多少売電に回せる程度の5kW台のパネルを導入するのが良いと思います。

売電価格のシミュレーション結果を見ても太陽光発電の容量を増やしても劇的に収益性が上がるわけではないので太陽光パネルを沢山載せるためだけに屋根の形状を片流れ屋根にするのは県民共済住宅の場合オプション代が発生するので屋根の形を変えてまで太陽光パネルを沢山載せるのはあまりオススメしません。片流れ屋根にする主な目的が太陽光発電ではなくロフトや小屋裏収納を広げたかったり、外観の見た目上の理由だったりで太陽光発電を載せても載せなくても片流れ屋根にしたいならついでに太陽光発電をより多く載せるのは良いアイディアだと思います。

蓄電池は高額なオプションなので計算して元が取れそうかを出してみましたが、蓄電池とセットで太陽光発電を載せるよりも単独で太陽光発電だけ載せた方が初期費用も安く収益性も良いので私は蓄電池のオプションは採用しませんでした。発電した電気を蓄電池で電気のまま貯めておくという発想をちょっと変えてみて、エコキュートで電気をお湯(熱)に変換して貯めておくという方法も有効です。エコキュートなら県民オプションが30万円台であるので蓄電池よりも導入のハードルが低いです。あるいはエアコンで熱に変えるという発想も良いと思います。

本記事での計算結果を踏まえると2021年度のFIT単価が19円だと再生可能エネルギー発電促進賦課金の減少分は考慮せずに大体元を取るのに10〜13年、それ以降は機器やパネルが保証期間外に故障しない限り利益が出続けるという感じになるので予算に余裕があって屋根の形状や方角に問題がなければ太陽光パネルを載せておくのはありだと思います。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の減少分を考慮するともう少し元を取るための年数が短くなるのもポジティブな判断材料になります。

FITの買取単価が高かった時代は屋根上に太陽光パネルを載せれるだけ載せた方が儲かったと思いますが、現状は発電した電気を売るよりも自分で使った方が得なので自家消費出来る分プラスアルファ位の容量を屋根に載せるのがベストだと思います。