
何気なく県民共済住宅のWEBサイトを見てみたら、県民共済住宅でエネカリプラスという東京電力エナジーパートナーが提供するサブスク型の太陽光発電のサービスの提供が始まったようです。
対象はこれから県民共済住宅で新築する住宅に限られるようなのでリフォームでの利用は出来ません。
エネカリプラスで載せる太陽光パネルは県民共済住宅オプションに設定がある長州産業と同じもので設置方法も屋根に穴を開けない支持瓦工法で県民共済住宅の屋根の保証もあるのでこれは初期費用を抑えて太陽光発電を載せたい施主側にもメリットがあるかもしれないので軽く検証してみます。
ただ、私は2023年契約の正確な太陽光発電のオプション費用の情報も無ければエネカリプラスの正確な費用の情報も持っていないので正確なシミュレーションは不可能なので実際にエネカリプラスを検討するなら設計士さんに何kWの太陽光発電を屋根上に載せられるかの情報と、最新の太陽光発電オプションの金額とエネカリプラスの金額を聞いた上で自分でどちらが得か計算してみてください。
そもそも太陽光発電って載せた方が良い?
太陽光発電は2023年現在でも採算性が高く、太陽光発電の利益(発電した電気を自家消費して電力会社から購入せずに済んだ自家消費分+電力会社への売電収入)で初期費用を7〜10年位で回収できる位の価格設定になっているので屋根上の日当たりが問題ない土地で太陽光発電を載せるのに適した屋根形状(北向きの屋根なら止めたほうが良い)であれば載せた方が良いと思います。
太陽光発電の採算性は売電価格<買電価格になっている現在では余剰電力を売電して稼ぐという考え方よりも、太陽光発電で発電した電力をいかに自家消費して電力会社から買電する電力量を減らして月の電気代を削減するという考え方になります。
そのあたりの考え方は10年前位の売電価格が30円/kWh位の好条件な時代と17円/kWhや16円/kWhの現在とでは大きく異なります。
新築の場合は太陽光発電を載せる上での耐震性低下リスク(今は耐震等級3が当たり前で構造計算すれば完璧)、雨漏りと屋根の保証リスク(県民共済住宅オプションの太陽光発電は屋根に余計な穴を開けない支持瓦工法で屋根の保証が付く)が回避できるのでリスクやデメリットが小さい上、今はFIT価格が安いので売電だけでは10年で元を取るのが厳しいものの、電気代が値上がり傾向にあるので太陽光発電の自家消費の恩恵が大きくなり、自家消費分+売電収入のトータルでは採算性が高く10年もあればオプション代の元が取れると思います。
県民共済住宅での太陽光発電の載せ方
- 県民共済住宅オプションの太陽光発電
- エネカリプラスで太陽光発電
- 他社の太陽光発電を家の引き渡し後に後付
- 他社の0円太陽光を家の引き渡し後に後付
県民共済住宅の注文住宅に太陽光発電を載せようとする場合上記4パターンでの導入方法があります。
導入方法別の特徴
導入方法 | 初期費用 | 月額費用 | 県民共済住宅での 屋根の保証 | 雨漏りリスク | 太陽光発電の 自家消費分 | 売電収入 |
---|---|---|---|---|---|---|
県民OPの太陽光発電 | 実費 (一番高額?) | 0円 | あり | 最小 (支持瓦工法) | 0円/kWh | 全額 |
エネカリプラス | 20~35万円程度 | 4,500~9,500円 (毎月固定) | あり | 最小 (支持瓦工法) | 0円/kWh | なし |
他社で太陽光発電を後付 | 実費 (若干割安?) | 0円 | なし | 工法と施工品質 次第であり | 0円/kWh | 全額 |
他社の0円太陽光を後付 | 0円〜 (契約次第) | 0円〜 (契約次第) | なし | 工法と施工品質 次第であり | 数十円/kWh (契約次第) | なし |
大雑把に特徴をまとめると上記の様になります。
自腹での太陽光発電設置は初期費用がかかる代わりに自家消費分が0円で使えて売電収入がフルに入ってくるので10年や15年単位で見ると一番儲かる可能性が高いです。
他社での太陽光発電の後付は県民共済住宅の屋根の保証が無くなるデメリットがあるので、複数業者に見積もりを取ってみて一番条件の良い業者が県民オプションと比べて太陽光発電一式の金額が大差ないならわざわざ選ぶ必要はありません。
エネカリプラスは県民オプションの太陽光発電と同等の保証と設備(パワコンの仕様は異なるようです)が契約期間満了後に手に入る事を考えると金銭的な負担は多少発生しても屋根の保証は手放したくないという施主には嬉しいサービスです。
0円太陽光に関しては業者によって契約条件が大きく異なるのでこの記事では取り上げませんが、0円太陽光を検討するなら各社の契約内容をしっかり読み込んで契約条件を正確に把握した上で一番メリットが大きい会社と契約しましょう。
エネカリプラスと普通の県民OPのどちらが得か?

エネカリプラスで支払う費用の合計は「初期費用 + (月額費用 × 12ヶ月 × 契約年数)」で求められます。
それを「県民オプションの太陽光発電の税込費用 – 想定される売電収入 – エネカリプラスで支払う費用の合計」がプラスならエネカリプラスの方が得でマイナスなら普通にオプションを導入した方が得という事になります。

想定される売電収入の求め方ですが、最初に担当の設計士に太陽光メーカーから年間発電量のシミュレーション結果の用紙を入手して、「年間発電量 × 0.6(自家消費多めの場合)もしくは0.7(売電多め) × 16円(2023年度のFIT価格)」で年間の売電収入を求めます。
私の経験からですが、5kWの太陽光発電で自家消費を多くしてもせいぜい発電量の40%台位しか使えず、逆に売電重視で深夜電力を使うような運用でも25〜35%位の自家消費になったので総発電量の6〜7割程度が売電に回る前提で計算すると大きなズレが無いと思います。
私の場合どちらが得か?
まず前提として私は県民共済住宅のWEBサイトからわかる範囲の情報しか持ち合わせておらず、県民共済住宅のエネカリプラスの初期費用と月額費用の正確な価格も知らなければ、現在の太陽光発電オプション価格の情報も持っていません。
そのため正確なシミュレーションは出来ませんが、とりあえず2021年契約当時の太陽光発電オプションの税込価格と、エネカリプラスの最低の価格と最高の価格の2パターン(太陽光発電は両方とも5.1kWという前提)で計算してみます。
年間想定売電価格
- 【FIT期間中の10年間】6,249kWh×0.6×16円×10年=599,904円→10年で約60万円
- 【FIT期間終了後の5年間】6,249kWh×0.6×8.5円×5年=159,349.5円→5年で約16万円
10年だとFIT期間の約60万円、15年だとFIT期間の60万円+卒FIT後の16万円=約76万円の売電収入が見込めます。
初期費用、月額費用共に最低価格で10年契約の場合
2021年契約時の太陽光発電5.1kW税込OP価格約1,400,000円-10年分の売電収入600,000円-(初期費用200,000円+月4,500円×12ヶ月×10年=740,000円)=60,000円
最低価格は3kWの15年契約の可能性が高いですが、5.1kWで10年契約と仮定するとこの条件ではエネカリプラスの方が6万円得になる計算です。
結論は普通に太陽光発電オプションを入れた方が得になる可能性大
県民共済住宅でのエネカリプラスの契約条件と現在の太陽光発電のオプション代が分からない状態でのシミュレーションなので県民共済住宅のWEBサイトの内容から想定できる最低価格で計算してみたわけですが、エネカリプラスにとって最も条件が良い最低価格の場合で10年間で6万円しか得にならなかった事を考えると、多分普通に太陽光発電オプションを入れた方が採算性が高く儲かると思います。
エネカリプラスの10年契約と15年契約だとどちらが得?

上記の例だと(月6,500円×12ヶ月×10年=780,000円)-(月4,100円×12ヶ月×15年=738,000円)となり、支払う総額に関してだけ言えば15年契約の方が42,000円安くなるので一見お得感がありそうですがこれは大きな罠で、10年契約の場合は11年目〜15年目の月額費用がかからないので自家消費分が無料で使える事に加えて卒FIT後のkWh単価8.5円前後での売電収入も見込めるので15年目に収支計算すると10年契約の方が40〜50万円分位得になる可能性が高いため契約期間満了までに支払う総額の差額が数万円程度なら10年契約一択です。
県民共済住宅の太陽光発電は保証期間が15年の長州産業の機器なのでエネカリプラスの15年契約は特にメリットが無い気がします。
最後に
県民共済住宅でエネカリプラスという太陽光発電のサブスクサービスが取り扱い開始になりました。
このサービスは契約期間中の売電収入を捨てる代わりに初期費用を抑えて県民共済住宅の屋根の保証を失わずに太陽光発電を導入できるというメリットがありますが、太陽光発電オプション費用を払える方は普通に県民OPの太陽光発電を設置した方が収益性は高いと思います。
エネカリプラスを選ぶ人は住宅ローンに太陽光発電オプション分を含めることが出来なかった人もしくは現金購入で太陽光発電の予算が無い人に限られると思いますが、エネカリプラスは初期費用+月額費用がかかるので契約期間中に元が取れない可能性がありますが、契約満了+5年位の長期で見ると元が取れて利益が出る可能性が高いのでこれから建てる家に20年以上住み続けるつもりならエネカリプラスでも太陽光発電を載せないよりかは良いと思います。
太陽光発電を乗せたい場合は新築時に乗せることで屋根の穴あけリスク(県民の場合は支持瓦なので影響なし)や耐震性リスクを相当軽減もしくは無視出来る(構造計算した場合)ようになり太陽光発電のデメリットが小さくなるので真剣に検討することをおすすめします。
最後に繰り返しますが、私は現在の県民共済住宅の太陽光発電のオプション価格の情報も持っていなければエネカリプラスの価格の情報も持っていないので推測でしかないので導入の是非や採算性などは自分自身で計算してください。
エネカリプラスと他社の0円太陽光のどちらが良いかと言われると0円太陽光の契約内容にもよりますが、正直屋根の保証さえ拘らなければ京セラのちゃんとGood!サービスの様な契約期間が10年で所有権が移り、初期費用が無料の0円太陽光の方が採算性が良さそうな感じはします。
エネカリプラスや0円太陽光を載せる場合のリスクとしては中途解約リスクがあり、契約期間中に家を解体したり売却する必要が出る時は違約金が発生して損する可能性があるのできちんと契約内容(違約金の有無と発生条件、金額)を確認して、もし中途解約する可能性があるなら設置を見送るという判断も必要です。