当サイトの県民共済住宅に関する情報は2021年9月契約、2022年4月引き渡し時点での情報を元に記載されています。

当時と現在とで仕様やルール、価格などの前提条件が異なり、記事の内容が間違っている可能性があるのでご注意ください。

昨年4月末に県民共済住宅で新築した家の引き渡しを受けてから1年が経過したので採算性を実際の発電データを元に計算しました。

新築した家には県民共済住宅オプションで長州産業の5.112kWの太陽光発電を採用し、切妻屋根の南側のほぼ全面に太陽光パネルを設置しています。

県民共済住宅での太陽光発電の導入費用は税抜1,266,000円(税込1,392,600円)で、オプション代からkW数で割り算したkW単価は税抜247,652.58万円(税込272,417.84円)でした。

ネット上の意見では太陽光発電は不要とか儲からないと言った意見が何故か多数を占めますが、実際に太陽光発電を1年運用してみて思うのは、FIT価格が17円/kWhで売電している私でも余剰電力の売電分と太陽光発電の自家消費分(本来電力会社から購入するはずだった電気代の削減分)で年間19万円位の儲けがあるのでぶっちゃけ儲からないか儲かるかで言えばかなり儲かっています。

本記事では太陽光発電がエコかどうかとか災害対策がどうこうというのは一切無視して採算性についてのみ考察しています。

さいたま市にある私の家の実際の年間発電量

長州産業の年間推定発電量のシミュレーション
長州産業の年間推定発電量のシミュレーション

私の家は埼玉県さいたま市にあり、太陽光発電は2階建ての一軒家の屋根上に設置していて、南北方向で分かれている切妻屋根の南面(真南から5〜10度程度西向き)に長州産業の5.112kWの太陽光パネルを敷設しています。

太陽光発電を入れる前に長州産業から近隣の自治体の日射量データを用いた年間推定発電量のシミュレーションを貰っていたので推定発電量と実際の発電量との差も見ていきたいと思います。

実際の発電量はメーカーの推定発電量よりも15%位多かった

年月発電量
(kWh)
[A]
消費電力量
(kWh)
[B]
実際の
買電量
(kWh)
[C]
自家消費
電力量
(kWh)
[D=B-C]
昼間
電気代単価
(円/kWh)
[E]
再エネ
賦課金
(円/kWh)
[F]
燃料費
調整額
(円/kWh)
[G]
自家消費分
(円)
[H=D×(E+F+G)]
売電量
(kWh)
[I]
売電価格
(円)
[K=I×17]
利益
(円)
[L=H+K]
備考
2022年6月61968334733625.803.452.9710,825.922834,81115,636.92自家消費多め
2022年7月61869740129625.803.454.159,886.43225,45515,341.4自家消費多め
2022年8月59773449723725.803.455.18,140.953606,12014,260.95売電多め
2022年9月55370949821125.803.456.57,543.253425,81413,357.25売電多め
2022年10月51567350516825.803.458.076,269.763475,89912,168.76売電多め
2022年11月54275356119225.803.459.727,482.243505,95013,432.24売電多め
2022年12月5731,09470838625.803.4511.9215,891.621873,17919,070.62自家消費多め
2023年1月6511,13471042425.803.4512.9917,909.762273,85921,768.76自家消費多め
2023年2月66396359237125.803.456.0413,092.592924,96418,056.59自家消費多め
2023年3月64682261420825.803.454.697,059.524387,44614,505.52売電多め
2023年4月73167746321425.803.453.256,9555178,78915,744売電多め
2023年5月71773146626525.801.402.217,793.654527,68415,477.65売電多め
合計7,4259,6706,3623,308118,850.664,11769,989188,839.66
2022年6月〜2023年5月の太陽光発電の収支(電気料金プランは東京電力スマートライフSの前提)

上記の数値が埼玉県さいたま市にある私の家の実際の発電と消費電力のデータで、太陽光メーカーが出した年間推定発電量が6,249kWhでしたが、嬉しいことに実際の発電量は7,425kWhと2割程多く発電していました。

買電の電気代は単価が段階制ではなく一定で計算がしやすい東京電力のオール電化用のスマートライフSを契約している前提で昼間のkWh単価に再エネ賦課金と実際の関東エリアの燃料費調整額を含んだ正確な単価を用いて計算し、売電は2022年度のFIT価格の17円/kWhで計算しています。

表の備考欄に自家消費多めの月と売電多めの月が混在していますが、時々契約する電気料金プランを変えているので売電価格<買電価格の時は自家消費多め、逆に売電価格>買電価格の時は売電多めにして実際の利益が最大化する様にしています。

自家消費分が約12万円、売電が約7万円で年間約19万円得してました

自家消費分は太陽光発電で発電した電気を売らずに自宅で使い、本来電力会社から購入するはずだった電気を購入せずに済んだ分になるので、正確には太陽光発電の利益ではなく太陽光発電を入れたことによる電気代の節約分になります。

売電は太陽光発電で発電した電力から自家消費分を引いた余剰電力を電力会社に売った収入です。

オール電化住宅で東京電力のスマートライフSを契約している前提だと自家消費分が年間118,850.66円、FIT価格(17円/kWh)での売電分が年間69,989円で、自家消費で電気代を節約できた分と売電収入を足した分が年間188,839.66円になり、年間約19万円得した計算になります。

補助金を含めない太陽光発電の導入費用は7〜8年で回収可能

2年目以降のシミュレーションに関しては1年目と電気代が変わらず晴天率も変わらないという前提で計算すると、太陽光発電の補助金を含めない導入費用が税込1,392,600円なので、1年間で得した分の188,839.66円で割り算すると7.37年で元が取れる計算になります。

FIT期間が終わる10年後には約50万円の利益が出る

固定価格買取制度(FIT)は売電開始から10年間有効なので、FIT期間が終わる10年後には年間188,839.66円×10年=1,888,396.6円分得している計算になり、そこから太陽光発電の導入費用の税込1,392,600円を引き算すると10年目には495,796.6円程利益が出ている事になります。

機器の保証期間が切れる15年後には約126万円の利益が出る

17円/kWhのFIT価格での買取が終わる10年後以降の利益については売電価格を東京電力のFIT後の買取価格の8.5円/kWhで計算してみます。

自家消費分は変わらず年間118,850.66円で売電分は年間売電量の4,117kWh×8.5円=34,994.5円なので、118,850.66円+34,994.5円=年間153,845.16円の利益が出る前提で計算すると、パワーコンディショナや太陽光パネルの保証期間が切れる15年目には10年目の累計1,888,396.6円+(年間153,845.16円×5年)=2,657,622.4円となり、そこから太陽光発電の導入費用の税込1,392,600円を引き算すると15年後の利益は1,265,022.4円という事になります。

これだけ利益が出ていれば将来太陽光発電を撤去する費用を差し引いても余裕で黒字だと思います。

自家消費分と売電分の年間利回りは10%以上でかなり美味しい

「(自家消費分+売電分)÷初期費用=利回り」という計算式でFIT期間中と卒FIT後の年間利回り計算してみます。

  • FIT期間中:「(118,850.66円+69,989円)÷1,392,600円×100%=13.56%」
  • 卒FIT後:「(118,850.66円+34,994.5円)÷1,392,600円×100%=11.05%」

毎年電気代も発電量も変わらずメンテ費用等が発生しないという大雑把な条件下での利回り計算になりますが、売電単価が下落する10年後の卒FIT後でも年利10%以上と非常に高い利回りが期待できます。

太陽光発電は株や投資信託とは異なり売却益こそ出ないものの元本の下落リスクや配当の減配リスクがないので運用中にあまりストレスもかからないと思います。

また、太陽光発電の自家消費分は電力会社から本来購入するはずの電気代を相殺しているだけなので収入扱いにはならず課税されることもありません。

私は家を現金で購入したので住宅ローンは組んでいませんが、この利回りなら住宅ローンに太陽光発電を含んでしまった方が長い目で見ると負担が減ると思います。

【追記】年利の計算式が間違っていたので修正しました。

太陽光発電の利益を最大化するには

FIT価格が30円以上した昔は売電価格>買電価格だったので太陽光発電で発電した電力を自家消費するより売電した方が儲かりましたが、今は逆にFIT価格が安いので売電価格<買電価格になり、発電した電力は売らずに自家消費した方が得になります。

そうなると太陽光発電の利益を最大化するにはオール電化住宅で給湯器はエコキュート、冷暖房はエアコン、車はEVまたはPHEVという感じで使用エネルギーを極力電気に集約するのが理想です。

その上でエコキュートの沸き上げを昼間に行えるおひさまエコキュートを導入または普通のエコキュートの時刻設定を半日ずらして強制的に昼間に沸き上げるように設定すれば昼間の発電ピークの時間帯の余剰電力を熱エネルギー(お湯)に変換して貯めておくことが出来るので太陽光発電が機能しない時間帯でも発電した電気を有効活用出来ます。

逆に給湯器がエコジョーズ(ガス給湯器)で暖房はガスor石油or薪ストーブ、車はガソリン車の様な普通の家だと消費電力がそこまで多くないので自家消費分の割合が増えず、安いFIT価格での売電量が増えるので採算性が若干悪くなります。

家庭用蓄電池は現状のkWh単価が高すぎて入れると逆に損をする(元が取れない)ので、災害対策やオフグリッド化に大金を費やせる人以外は現状は様子見がコスパ的な観点では正解です。

最後に

太陽光発電の採算性について実際の1年目のデータと電気代を元に計算してみましたが、4人家族でオール電化で給湯器はエコキュート、車は電気自動車(BEV)で一般家庭よりも電力消費が多く、自家消費量が多い私の家の場合はメリットがとても大きく、補助金なしでも10年、15年の長期で見ると結構儲かりそうな事が判明しました。

当然ながら年によって電気代が上下したり、晴天率が変わるので毎年同じ発電量で同じ金額になる訳ではありませんが、極端な変動は無いと思います。

昨今は電気代が値上がり傾向にありますが、太陽光発電で発電した電気を自家消費した場合は燃料費調整額も再エネ賦課金もかからず正真正銘「0円/kWh」で電気が使えるので電気代が値上がりすればするほど太陽光発電のメリットが大きくなります。

太陽光発電はエコとか災害対策とか抜きにしても、ただ屋根上に設置しておくだけで勝手に発電して毎月の電気代の負担を減らしてくれる上、売電収入という不労所得まで得られるとても美味しい設備なので本当に導入して良かったです。

それでもリスクが怖くて太陽光発電を入れる事を躊躇っている方は、太陽光発電を載せないリスクも考えてみると太陽光発電を載せるべきか載せないべきかを判断出来ると思います。