注文住宅を実際に建ててみると「えっ、こんな事まで考えないといけないの?」という事が結構あり、「換気システムの給気口はどこに付けますか?」と聞かれた時にどこに付けるのが正解なのか解る人は建築素人の施主はもちろん一応建築のプロである設計士も含めてあまり多くないと思います。

私は県民共済住宅という埼玉県内で注文住宅を建てたい人なら一度は聞いたことがある超絶コスパのローコスト住宅メーカーで最大限高気密高断熱住宅に寄せた家を作ろうと色々勉強していたので第3種換気システムの吸気口は外の空気をそのまま持ってくるので夏は暑い空気が入り、冬は逆に冷たい空気が入ってくるからエアコンの近くに吸気口を設置すれば夏冬関係なく暑さ寒さを和らげられるだろうと思ってエアコンの下に吸気口を持ってきました。

2022年に家の引き渡しを受けてから2年位住んでみて実際想像通りで吸気口の場所はエアコンの下が最適解だったので第3種換気の吸気口はエアコンの下に持ってきましょう。

吸気口の近くにエアコンがあると夏冬ともに室温への影響を打ち消せる

夏の第3種換気システムの給気口付近をサーモカメラで撮影
夏の第3種換気システムの給気口付近をサーモカメラで撮影

夏の場合は吸気口から熱気が入ってきて、その熱気をエアコンが吸い込んでエアコンの冷気と混ざり合って暑さを感じにくくなる上、吸気口から熱気を供給し続けるのでエアコンのサーモオフ防止にも役立ちます。

冬の第3種換気システムの給気口付近をサーモカメラで撮影
冬の第3種換気システムの給気口付近をサーモカメラで撮影

冬の場合は夏とは逆に給気口から冷気が入ってきて、冷気をエアコンが吸気してエアコンの送風口から出る暖気と混ざり合い寒さを感じにくくなります。

スマホに装着して使用するタイプのサーモカメラを用いて熱画像を撮影しましたが、夏冬ともに見事に目論見通りになっています。

この記事で使用したサーモグラフィー

Amazonで購入したHICMICROのサーモカメラ
Amazonで購入したHICMICROのサーモカメラ
こういう感じでスマホのUSB Type-Cに繋げて使います
こういう感じでスマホのUSB Type-Cに繋げて使います

サーモカメラはHIKMICRO Mini1という中国メーカーのAndroidスマホのUSB Type-Cに差し込んで使うタイプの物を使っています。

サーモカメラは家の熱損失や断熱欠損、気密の穴や見えないところの水漏れを調べるのに役立ちます。

サーモグラフィーは安い物でも2万円以上するので高い買い物ですが、1つあると施工不良を探すのに意外と役立ちます。

オススメのサーモグラフィーはスマホに接続して使うタイプならFLIR ONEのAndroid用FLIR ONEのiPhone用、スマホいらずの普通のサーモグラフィーだとHIKMICRO E01が2万円台後半で比較的買いやすいと思います。

冬は給気口付近が結露する

冬は給気口から冷気が入ってくるので給気口の表面が冷やされて結露します
冬は給気口から冷気が入ってくるので給気口の表面が冷やされて結露します

この第3種換気システムの給気口は2021年契約当時の県民共済住宅の標準仕様の給気口です。

家を建てている時は冬に給気口が結露する事なんて想像すらしていなかったので当時は給気口をわざわざ変更しようとも思わなかったのとそもそも給気口に断熱タイプのオプション設定も無かったです。

給気口の結露対策

結露する原理としては給気口の内側(外壁側)から冷たい空気が入ってくるので給気口の表面温度が低下し、室内側の給気口表面が露点温度を下回ってしまい結露するという状態になります。

有効な結露対策としては給気口の表面もしくは裏側に断熱材を入れる事で室内側の給気口の表面温度が下がりにくくなるので、断熱材が入った給気口に交換するかDIYで断熱材を表面に加工する2択になります。

写真の給気口の表面は平面ではなくカーブしているのでスタイロフォームやネオマフォームの様な板状の断熱材では加工が大変なのでダクトに巻き付けて使うタイプの薄いグラスウールやロックウールの断熱材を四角く切り抜いてテープで接着するのが良さそうですが、結露は防げても見た目が酷いことになりそうなので実際に施工するかはわかりません。

【追記】現場発泡ウレタンのアクアフォームの余りがあった事を思い出し、ウレタンを蓋の裏側に吹き付けて断熱したところ劇的に結露しにくくなりました。

給気口の結露対策DIYについては別記事の「第3種換気の給気口が結露するので断熱材を入れて結露対策しました」をご覧ください。

断熱材入りの給気口はAmazonで売られている断熱タイプの給気口が良さそうです。

最後に

第3種換気システムの給気口の設置場所は出来る限りエアコンの近くにすると暑さ寒さが気になりにくいです。

逆に避けた方が良い場所は寝室のベッドのヘッドボードがある壁の上でもしここに給気口があると夏は熱気が顔の上に降りてきて暑くて寝苦しくなるし、冬は顔や頭が冷やされて快適な睡眠から程遠くなり、笑えない後悔ポイントになると思います。

また、窓の上に給気口を設置しても夏はともかく冬は給気口の冷気が降下して吸気口の下にある窓の表面が冷やされて窓が結露しやすくなります。

エアコンの下に吸気口を設置できない部屋はできるだけ生活空間から離れて普段人がいないエリアに設置すると快適度が下がりにくいと思います。

また、冬は吸気口が結露するので可能なら結露対策もしておいた方が良いでしょう。

県民共済住宅で建設中の人は担当の現場監督に第3種換気システムの給気口を断熱タイプに有償で変更できないか、あるいは施主支給出来ないか多分変更不可だと思いますがOKしてくれたらラッキー位の感じで聞いてみると良いと思います。

他のハウスメーカーや工務店で注文住宅を計画している人も第3種換気システムを採用するなら給気口は断熱タイプかどうか聞いてみてもし断熱タイプに変更できるなら変更した方がベターです。

ハウスメーカーの設計士や監督、営業はプロだからその辺は全ておまかせするのが一見最適解っぽいですが、こういう給気口みたいな細かいことと言うか実際に住んでみないと想像すら出来ない事をきちんと対策出来る人は残念ながら少ないと思われる(1級建築士や2級建築士で仕事で100軒以上住宅を設計しても実際に自分で建てた家に住んだ事がある人は極少数なため)ので施主自身がきちんと調べて対策を考える必要があります。

逆に給気口の結露対策まで考えられるようなHMや工務店は夏冬を快適に過ごすための高気密高断熱住宅のノウハウを持っているとも考えられるのでそういう会社や担当者に当たった場合はとてもラッキーだと思います。