ここ最近県民共済住宅の家が完成した先輩施主ブロガーさん達の記事を読んでいたら新築でも「寒い!」という意見ばかりでちょっと意外でした。県民共済住宅の家は断熱性能だけで考えれば標準仕様の断熱材でもZEH住宅レベルやHEAT20 G1レベルをクリアする性能が出るので決して悪くはありません。

寒いと感じている方々が怪しんでいるのが第3種換気システムの存在で、ズバリ換気過剰(換気しすぎ)のせいで寒いのでは?と思っている方が多いようです。

これは確かに一理あると思ったのと、実際に県民共済住宅の第3種換気システムの換気風量ってどれ位だろうという疑問が湧いたので調べてみることにしました。

法律で義務付けられている換気量

建築基準法では住宅居室の場合、1時間あたり0.5回以上の常時換気設備が必要と義務付けられています。これはシックハウス症候群対策としてのこれだけ換気するのが望ましいという指針で、別にこれだけの換気量がないと窒息死するとか一酸化炭素中毒で死ぬとかそういう物ではありません。

もしかして延べ床面積が大きくても小さくても標準仕様の第三種換気システムの換気扇の機種は同じ?

県民共済住宅の換気システムの情報は極めて限られていて先輩施主ブロガーさんでも記事にしている事がほとんどありません。そして私が疑問に思ったことは、延坪20坪の家の標準仕様の第三種換気システムの換気扇と延坪50坪の家の標準仕様の第三種換気システムの換気扇は同じものが使われているのでは?という事でした。もしこれが本当だとしたら延坪20坪の家では相当な換気過剰になるのではないかと思ってしまいました。(あくまで私の憶測です)

法的には0.5h以上の換気性能があれば良い、つまり換気量が多すぎる分には法的には何の問題もないということです。ですが暮らしている側としたらそんなに換気量が多いとせっかく暖房で暖めた空気をわざわざ室外に垂れ流している事になります。

監督に聞いてみた所、換気量計算をして換気量が足りていれば延床20坪の家だろうが50坪の家だろうがこの機種を使うとの事でした。もし換気量が足りない場合はこの機種を1台ではなく2台にするとの事でした。

という事は小さい家やこの機種が2台入る位大きな家では換気過剰になりやすいのは事実かもしれません。

換気扇別の換気風量

県民共済住宅標準の第3種換気システム(東プレのカタログから転載)
県民共済住宅標準の第3種換気システム(東プレのカタログから転載)
県民共済住宅標準の第3種換気システム(東プレのカタログから転載)
県民共済住宅標準の第3種換気システム(東プレのカタログから転載)

この記事を書く上で県民共済住宅の標準仕様の第3種換気システムの情報が全く無かったので県民共済住宅で使用されているTVS-270Sという機種の情報を東プレのWEBサイトの問い合わせフォームから問い合わせてみてカタログのPDFファイルを入手しました。

合わせて「県民共済住宅標準の第3種換気とオプションの第1種換気について」という以前書いた記事の内容もアップデートしています。

換気扇設置場所メーカー機種スペック上の
換気風量(m3/h)
トイレMAXVF-H08TM3S45
ユニットバス(換気乾燥暖房機)MAXBS-161H-240〜80
天井裏(第三種換気システムの場合)東プレTVS-270S158〜275
県民共済住宅の家の換気扇(換気風量は製品のカタログ値で圧力損失は考慮せず)

住宅の必要換気量の求め方はまず気積を求める必要があります。気積の計算方法は住宅の延べ床面積×天井高さ(県民共済住宅の標準だと2.45m)になります。

私の場合は延べ床面積が118.4m2(35.74坪)で天井高は標準のままなので、「118.4m2×2.45m=290.08m3」が私の家の気積となります。

で、換気システムは2時間に1回以上、つまり1時間に0.5回以上換気されれば良いので気積×0.5回で必要換気量が計算できます。私の家だと290.08m3×0.5回=145.04m3/hとなります。

つまり「延べ床面積(m2)×天井高さ(m)×0.5回」で大雑把な必要換気量が計算できます。正確には居室と非居室を足した延べ床面積ではなく建築基準法上の居室の床面積の換気量を計算する必要がありますが、居室と非居室を分けて計算するのは手間なのと換気量が多い分には問題ないだろうという意味で延べ床面積で計算しています。また、換気量計算は排気ダクト径やダクトの長さなどを考慮して圧力損失を考慮した上で有効換気量を求めるのでカタログ値よりも実際の有効換気量は減少します。

簡単に計算してみた結果、35.74坪の私の家の場合は1時間で家の全ての換気扇の換気風量が145.04m3/h以上なら問題なしということです。

私の家ではトイレが2箇所とユニットバスが1箇所あるのでトイレの換気扇とユニットバスの換気扇を24時間回しっぱなしにする前提だと天井裏にある第三種換気システムの換気扇本体の風量を除いても45(トイレの換気扇の風量)×2台+40(ユニットバスの換気乾燥暖房機の最小風量)=130m3/hとこれだけで必要換気量の145.04m3/hの9割を満たしています。もしユニットバスの換気風量を工場出荷時の80m3/hのままだとトイレ2箇所とユニットバスの換気扇だけで170m3/hとなり、これだけで必要換気量を満たしてしまっています。

その上で第3種換気システム本体の換気扇の換気風量も加算されるとなると、これでは確実に換気過剰になってしまいます。もしこの状態で住み続けていたらそれは寒いに決まっています。第3種換気システムの換気風量はダクトの長さや曲がり具合等でも変わってくるのでカタログスペック通りの風量が出ることはなく、実際の有効換気量は表よりも少なくなります。有効換気量はどれ位かは換気計算書を見ないとわからないので換気計算書が手元にない今は何とも言えません。

トイレの換気扇は24時間常に動かす必要もないのでは?

これはまっとうな疑問だと思います。トイレの換気扇の機種はMAXのVF-H08TM3Sという機種が使われていて、この機種は電動シャッターではなく手動シャッターなので換気扇のスイッチをOFFにしても換気扇のシャッターが開いたままになります。

何が問題なのかと言うと、電源オフにしてシャッターが開いたままの換気扇は家に穴が開いているのと同じなので換気扇をオフにすると換気扇のダクト(配管)から外気がそのままトイレへと入ってきます。特に第三種換気システムを採用している場合は基本的に室内が負圧になるのでトイレの換気扇を止めるとそこが排気口ではなく給気口になってしまいます。

トイレに給気口があるとなると、本来室外に排出したいトイレの臭いが新鮮な空気と共に室内に逆流してしまうという事になります。これは住心地を悪くする原因にもなりかねないのでトイレの換気扇は本来止めるべきではありません。トイレの換気扇を止めるなら都度都度手動でトイレの換気扇のシャッターを閉じるか、あるいはトイレの換気扇本体を電動シャッターがある別の機種に変更してトイレを使った時だけ換気扇を動かすという普通の使い方にした方が良いと思います。

なおトイレの換気扇を常時動かすと下水管から上がってくる臭い(本来はトイレに排水トラップがあるので臭いはそこで止まるはずですが)も換気扇から常時排出出来る上、室内の暖かい空気がトイレのドア下の隙間からトイレ側に入ってくるのでトイレが寒くなりにくいというメリットもあります。

ユニットバスの換気扇も24時間常に動かす必要も無いのでは?

これは極端な話お風呂に入った後にユニットバスを乾燥させてカビさえ生えなければ良いので24時間回しっぱなしにせずに最後に風呂から上がった人がスイッチをオンにして、翌朝ユニットバスの床が乾燥しているのであればスイッチをオフにしてしまって第三種換気システムと言うよりもお風呂に付いている換気扇として利用しても問題ないと思います。よほど大きな家でない限りユニットバスの換気扇を回さずとも家全体の必要換気量は多分満たせると思います。

BS-161H-2の取扱説明書から転載
BS-161H-2の取扱説明書から転載

ユニットバスの換気扇の工場出荷時の風量は最大の80m3/h(設定表示の8)になっているので、もし入居直後に寒すぎる人がいたら浴室暖房乾燥機の説明書を見て風量を最小の40m3/h(設定表示の2)へと変更するのが良いと思います。

設計士さんにお任せしがちな給気口の位置はよく考えて

エアコンの配管穴(右上)と換気システムの給気口の配管穴(左下)
エアコンの配管穴(右上)と換気システムの給気口の配管穴(左下)

設計段階で給気口の位置はよく考えて設置することをオススメします。冬の寒い時期だと寝室のベッドの頭側の壁に給気口があったら寝ている時に給気口から冷気が降りてきて不快だし、リビングのソファ横のような普段寛ぐ所に給気口があると寒く感じやすいし、給気口の下に窓があると給気口から入ってきた冷たい空気のせいでその窓の表面温度が下がるので結露しやすくなります。脱衣室の様な場所に給気口があってもヒートショックのリスクが高まるので給気口の場所は意外と重要です。

私は各階1箇所ある給気口をそれぞれエアコンの送風口のすぐ近くに設置しました。これは給気口から入ってくる冷たい空気をエアコンの送風口から出てくる温風でマイルドにかき混ぜて不快感を低減させたいのと、私の場合はエアコン1台で家全体もしくは階全体を冷暖房するつもりなので外気がエアコンに当たればエアコンの周囲だけ温まって遠くの部屋が寒いままでエアコンの運転が止まってしまう事を防ぎたいという意図もあります。夏の時も同様で暖かい湿った外気を真っ先にエアコンで冷やしたいという意図です。

最後に

実際に換気計算書を見たわけではないのでこれが正しいと言い切れないのが歯がゆいですが、カタログ値ベースだと第三種換気システム本体の換気扇以外の換気扇の風量だけで35坪の家の9割の必要換気量を満たすということがわかりました。

これなら第3種換気システムのせいで寒いというのは納得で県民共済住宅で最近新築したどの家でも換気過剰になっている可能性があります。

換気システムに関しては「設置」が義務化されていますが「運転」は義務化されていないので運転を止めること自体は自由ですが、もし運転を止めるとシックハウス症候群の原因となる有害物質も室外に排出できなくなるので運転を止めるのではなく適切な換気量になるように換気扇の風量を弱めたりして適宜調整しましょう。

もし私が今の時期に引き渡しを受けたら真っ先に換気システム本体と浴室の換気乾燥暖房機の説明書を読んで運転モードを「弱」にします。それから給気口の風量を調整して、それでも寒ければユニットバスの換気乾燥暖房機を風呂上がりから風呂が乾燥するまでオンにして、風呂が乾いた後は止めてしまうと思います。

注意点は石油ストーブやガスストーブの様な換気必須の暖房器具を使う場合は絶対に換気システムを止めてはいけません。最近の家は普通に建ててもそれなりに高気密なので昔の家のように隙間風が入ってきて勝手に換気されるという事がほとんどなく一酸化炭素中毒になるリスクが高いです。

この記事を書き上げてみてまだまだ不明点があるので監督に換気計算書を貰えないか聞いてみて、無事入手出来たら記事の内容をアップデートしようと思います。