2022年4月に新築した我が家ですが、東側の窓の日射遮蔽対策が出来ていないので晴れた日の午前中は東側の窓から日差しが入ってきて室温が上昇してしまいます。
私の家はパッシブデザインの考え方を取り入れて、南側の窓上には適切な長さの軒と庇を用意して、東側の窓は03611(横36cm、縦1.1m)や03607と言った具合で最小限の大きさにしていますが、バルコニーが東側にあるので06920サイズの大きなテラスドアが1箇所あります。
窓はAPW330の遮熱Low-Eのペアガラス(アルミスペーサー、アルゴンガス入り)で防犯ガラスなのでUVは99%カットされますが、遮熱タイプのペアガラスでも4割の日射熱は室内に入ってきてしまいます。
家を建てた時はテラスドア以外は小さい窓だし何もしなくても大丈夫かななんて思っていましたが、いざ暮らしてみると小さい窓でも意外と熱の侵入があるので何とかしたいと思いました。
縦すべり出し窓やテラスドアは外側に開く窓になり、窓の外側に取り付けるアウターシェード等の日射遮蔽部材は窓の開閉時に干渉してしまうので基本的に外側に開くタイプの窓には取り付けられません。
何か良い方法が無いかなと思っていた所で見つけたのが積水ナノコートテクノロジー株式会社の「遮熱クールアップ」という窓に貼る遮熱シートです。アメブロの先輩県民施主ブロガーさんの記事で遮熱クールアップを使っていたの見かけたのでこれは中々良いかもと思い私も購入してみました。
結論から言うと直射日光が当たる窓に遮熱クールアップを採用したことでサーモグラフィーで計測したら-3℃位の効果がありました。
遮熱クールアップの取り付け
100×200cmのシートが2枚入りの遮熱クールアップを購入しました。箱を開けるとメッシュ状の遮熱シート2枚と6枚入りの面ファスナー4セット(計24個)とメジャー代わりに使える厚紙と説明書が入っていました。
説明書を見ると面ファスナーのオスを窓のサッシや網戸の枠か窓ガラスに直接貼り付けて、その上から窓の大きさにカットした遮熱シートのグレーの面を窓の外側と言うか太陽に向けて面ファスナーのメスで遮熱シートをサンドイッチして固定するという感じです。
私の家の窓はYKKAPのAPW330で全てLow-Eガラスなので窓の外側に遮熱クールアップを装着します。説明書にも外付けの方が遮熱効果が高くなりますとありますが、遮熱シートで太陽の熱を反射するという仕組み上、窓ガラスの内側(室内側)に遮熱シートを貼るより窓ガラスの外側に遮熱シートを貼った方が日射遮蔽効果が高まります。
遮熱シートは普通のハサミで切断出来ますが、意外とまっすぐ切るのが難しいです。メッシュの網目をじっくり見ながらズレないようにハサミでカットしたので地味に集中力が必要でした。
これは06920のAPW331テラスドア用にカットした物です。
遮熱シートを窓ガラスのサイズにカットしたら6個ある面ファスナーを窓サッシ枠のそれぞれの角と真ん中に貼り付けてその上に遮熱シートをグレーの面を太陽側になるように装着して固定すれば完成です。
DIYに必要な工具は遮熱シートを窓の大きさに切るために普通のハサミが必要ですが、それ以外の工具は不要なので誰でもDIY出来ると思います。
遮熱クールアップを貼った後の窓の見え方
室内側から遮熱クールアップを貼った窓を見てみると、何も無い時よりは若干暗くなり網戸を装着したような感じです。視界と日射遮蔽をある程度両立しているので窓の視界は確保したいけど窓からの日差しは何とかしたい場合にはピッタリです。
遮熱クールアップを貼った全ての窓はあまり人目につかない位置の窓なので窓サイズを適当に測ってカットして雑な仕上がりになってしまいました。
念の為の強風対策【追記】養生テープでの固定はおすすめしません
遮熱クールアップは付属品の面ファスナーだけでもそれなりの接着効果がありメッシュシートなので風圧を受けにくいと思います。面ファスナーだけでもそこまで不安感はありませんが、台風が来た時に吹き飛ばないかまではわからないので念の為養生テープで窓枠とシートを貼り付けました。
遮熱クールアップがあると夏の時期は暑い日差しを軽減出来るので良いですが、冬の時期は暖かい日差しを遮ってしまうので冬の時期は外した方が良いです。秋以降に剥がすことを考えて適度な接着力と剥がしやすさを両立している養生テープを使って固定しました。
白い半透明の養生テープなので窓枠の白と上手くマッチしていて遠目から見るとテープの存在感がありません。
きっちり固定したので台風でも吹き飛ばなければ良いと思います。
【追記】養生テープでの固定は剥がす時に絶対後悔するので止めるべき
暑い時期が過ぎたので養生テープを剥がしたわけですが、養生テープが紫外線等で劣化して粘着部分が綺麗に剥がれず窓枠にこびりついてしまいました。
無水エタノールでの除去を試みましたが、粘着部分が分厚かった事もあり粘着部分に浸透せずあまり効果がなかったです。
スクレイパーで窓枠にこびりついた粘着部分を無理やり剥がして薄く残った粘着部分に無水エタノールを浸けてから拭けばベトつきが取れると思います。
そして遮熱クールアップを剥がす時に気がついたのですが、付属のマジックテープだけでも遮熱クールアップがきちんと固定されていました。
養生テープは剥がす時に厄介なので使うとしても最低限で窓枠全体を覆うみたいな使い方は止めましょう。
サーモグラフィーで見るビフォーアフター
この窓はYKKAPのAPW330の03611サイズの縦すべり出し窓で遮熱Low-Eの防犯ガラスでアルミスペーサーの窓です。窓の内側にはクリアネット網戸がついている状態です。
この窓のハニカムシェードは「フルネス ハニカムシェード 彩 幅40×高さ135cm アイボリー」というAmazonで2千円台で購入できる既製品のハニカムシェードです。
方角はほぼ真東側にある窓で8月上旬の朝の6時半なので太陽が丁度真正面にあり一番日射が入ってくる時間帯です。
窓の様子をサーモグラフィーで撮影しました。上の画像は遮熱シートを貼る前の状態で、室内側のハニカムシェードを降ろしている状態になります。
窓とハニカムシェードの間に熱が溜まってハニカムシェードの上から熱が漏れて入ってきているのがひと目でわかります。ハニカムシェードの上部の温度は33.1℃とかなり暑い空気が漏れているのでこのせいで室温が上がってしまっています。
そこで縦すべり出し窓の外側に遮熱クールアップを貼りました。この窓は外側に足場が無いので遮熱クールアップを貼るのは諦めていましたが、縦すべり出し窓の内側の上端にテープで遮熱シートを止めてから窓の外側にぐるっと遮熱シートを巻くようにして、遮熱シートの下の部分を窓の長さよりもちょっと長くして、窓の下端から窓の内側に遮熱シートを巻き込んで窓の内側の下側でテープで止めました。
はしごを用意してきちんと貼り付けても良かったのですが、面倒かつ危険なのと冬の時期は日射を遮る遮熱シートは外して太陽の熱を取り込みたいので簡単に取り外せるこの方法を採用しました。
窓の外側に遮熱クールアップを装着して翌日の同じ時間に再度サーモグラフィーで窓まわりを撮影しました。遮熱シートを貼る前は窓上のハニカムシェードの上端位から天井にかけて物凄い量の熱が漏れていましたが、遮熱シートを貼ったことでかなり熱の漏れが少なくなった事がわかります。
サーモグラフィーの温度を見てみるとハニカムシェードの上部分から漏れる熱の温度が30.3℃と遮熱クールアップを貼る前の33.1℃と比べて2.8℃も低下しているのでそれなりに遮熱効果がありました。
ちなみにハニカムシェードを下げた状態で撮影しているのは、ハニカムシェードを上げた状態でサーモグラフィーで撮影しても窓の外側の太陽の部分が高温に反応してしまい、遮熱シートの有無で差が判らなかったので熱の溜まり方がわかる様にハニカムシェードを下げた状態で撮影しています。
ハニカムシェードを上げた状態でのサーモグラフィー画像
ハニカムシェードを上げた状態で遮熱クールアップがある窓とない窓とでサーモグラフィーで撮影しましたが、窓の表面温度は大差ない様に思えます。
体感レベルだと遮熱クールアップがない窓からの直射日光は肌がチリチリ焼けるような感覚が若干ありますが、遮熱クールアップありの窓からの直射日光はチリチリ感がほぼ無い位のだったので窓ガラスを直接サーモグラフィーで撮影しても効果が見えにくい事がわかりました。
ハニカムシェードを下ろした状態だと遮熱シートの有無で熱の漏れが随分変わってくるので遮熱シートを貼ることで窓の表面温度が下がるのではなく、窓の内側に入ってくる熱量が少なくなっているという事がわかりました。
テラスドアのサーモグラフィー画像
この記事の上の方で遮熱クールアップを装着したテラスドアです。このテラスドアはAPW331の06920サイズで窓ガラスは遮熱Low-Eのペアガラス、アルミスペーサー、アルゴンガス入りで透明の防犯ガラスになり、窓のU値は1.47です。
この窓のハニカムシェードはIKEAのホップヴァルス 断熱ブラインドの80×210cmです。
遮熱クールアップを貼った後でハニカムシェードを下ろした状態のテラスドアをサーモグラフィーで見てみると最高が30.6℃で最低の28.1℃より2.5℃程高くなっていますが、直射日光がモロに当たっている時間帯でこれ位で済んでいるので体感レベルだとハニカムシェードの側に近づいてもモワッとする暑さはありません。
上の縦すべり出し窓のビフォーアフターで33.1℃→30.3℃と3℃位の遮熱効果があったのでこの窓も同じ位の遮熱効果があったと思います。
他の遮熱クールアップを貼った窓も直射日光が窓に当たっている状態でハニカムシェードを降ろしていると30℃台に収まるようになったので地味ながら効果はありました。
体感レベルでどう変わったか
- 直射日光が当たっている窓付近のモワッとする暑さがかなり軽減された
- ハニカムシェードを上げた時の直射日光のチリチリ感がほぼ無くなった
- 部屋がほんの少しだけ暗くなった
- テラスドアのある3帖の部屋に熱がこもりにくくなった
体感レベルではこの様なメリットとデメリットがありました。遮熱クールアップを付けた事で劇的に涼しくなった訳ではありませんが一応体感できるレベルで効果はありました。サーモグラフィーの実測値では-11℃の遮熱効果とまでは行きませんでしたが遮熱Low-Eのペアガラスの外側に遮熱クールアップを取り付けて-3℃位の効果はありました。
私の場合は窓の外側に遮熱クールアップを装着して、窓の内側には断熱効果が高いハニカムシェードを装着している状態での感想になります。ハニカムシェードなしだと多分そこまでの効果は得られないと思うので遮熱クールアップ単体の対策だけでなく室内側にカーテンやハニカムシェード、ロールスクリーン等で窓からの熱や光を室内側に入りにくくする対策もセットで行うとより効果的だと思います。
最後に
縦すべり出し窓でも使える窓の外側での日射遮蔽部材を探していましたが、貼るタイプの遮熱シートなら遮熱効果はアウターシェードよりも弱いですが開閉時の妨げにならないので費用は高かったものの設置して良かったです。
窓から入ってくる熱量を抑えられればその分室内のエアコンが効くようになるので電気代の節約効果も多少あると思います。遮熱クールアップは正直ただのメッシュシートの割に金額が高いと思うのでコスパが良いかは微妙ではありますが、多少高くても良いから窓から差し込む日射をどうにかしたい人には良い商品だと思います。
遮熱クールアップは縦すべり出し窓や横すべり出し窓やテラスドアの様な外側に開くタイプの窓でも窓の外側に設置できるので遮熱効果はアウターシェード程はありませんが、多少でも日差しを何とかしたいと思うなら結構ありだと思います。遮熱シートを直射日光が当たる窓の外側に貼る事で室温上昇がある程度抑えられてエアコンが効きやすくなる効果もあります。
実際に遮熱クールアップを東側の全ての窓の外側に装着しましたが、午前中の室温上昇がある程度抑えられている実感があるので私の場合は遮熱クールアップを窓の外側に貼って良かったです。
注意点としては軒や庇で日射遮蔽がきちんと出来ている窓や、隣家の影になる様な直射日光が当たらない窓に遮熱シートを取り付けても部屋がやや暗くなるだけで遮熱効果は期待出来ないと思います。
また最近の新築住宅では6割の日射熱を遮断する遮熱タイプのLow-Eペアガラスが当たり前の様に使われているのでそういう窓に遮熱クールアップを貼っても-11℃の劇的な遮熱効果は得られないと思います。せいぜい-3℃位の遮熱効果だと思って過剰な期待はしないようにしましょう。