県民共済住宅で高気密高断熱住宅を目指している私の家ですが、先月末に契約した間取りのUa値(外皮平均熱貫流率)は幾つになったのかをこの記事で実際にYKKAP住宅省エネ性能計算ソフトを使って標準計算ルートで計算してみました。
ここ最近は急激に冷え込んできてこの季節になると暖かい高気密高断熱住宅が欲しくなってくる季節です。この時期に家を建てようと思う人は高断熱仕様のオプションに惹かれる季節ではないでしょうか。私も早く新しい家に引っ越したいです。
私のこれから県民共済住宅で建てる家は高断熱仕様のオプションを入れています。高断熱仕様のオプションを入れた家のUa値がどれくらいになるのかをこの記事では私が実際に契約した間取りと仕様で検証していきます。
私の家の建設予定地は埼玉県さいたま市で地域区分は「6地域」になり、断熱等級4のUa値は0.87W/(m2・K)、ZEHは0.60W/(m2・K)、HEAT20 G1は0.56W/(m2・K)、HEAT20 G2は0.46W/(m2・K)、HEAT20 G3は0.26W/(m2・K)というエリアになります。
以前に検討中の間取りでUa値を計算した記事ではUa値は0.41W/(m2・K)と出ましたが、その時の計算では土間部分の基礎壁を考慮していない数値だったのと、採用した窓が今の物と一部異なる事もあり、今回改めて実際に契約した間取りと仕様を反映させた値でUa値を計算してみました。
結論から言うと実際に計算した結果はUa値は0.41W/(m2・K)で前回と同じ値になりました。ローコストな県民共済住宅でもここまでのUa値が出せるのかという位の相当良い値だと思います。
県民共済住宅の高断熱仕様オプションの仕様
まずUa値を計算する上で必要な資料が「矩計図」(かなばかりず)です。この矩計図上に色々計算する上で必要な情報が乗っているのでここから計算に使う値を拾っていきます。
私の家は高断熱仕様のオプションを採用しています。そのため高断熱仕様用の矩計図を参考に見ていきます。
まず必要な数値は1階の階高(3,004)と2階の天井高(2,450)の合計(5,454)と間取りの各方位の長さで東西南北の壁面積の合計をそれぞれ計算します。2階の天井高を上げていたり、天井を折り上げた場合は上げた分の面積も反映させて下さい。
基礎部分の地面から上の基礎高も標準で450mmです。深基礎の資料は無いので深基礎の場合は何ミリになるかはわかりません。
高断熱仕様の部位別の熱貫流率(U値)の仕様はこの様になります。これらの値を基にUa値を計算していきます。その他床と外気床の違いですが、1階の普通の床は「その他床」の方を参照します。
外気床は外気に直接触れる床の事で、外気に直接触れる床と言われてもピンときませんが床下部が基礎ではない部分の事で具体的には2階のオーバーハングしている箇所の床や2階の床下が1階のビルトインガレージの天井部分になるような場所の事を指します。
契約時の間取り図
私の間取りは長方形の35.74坪(118.4m2)の総二階になります。横の東西側が10,010mm、縦の南北側が5,915mmです。家の大きさは普通の大きさです。
1階の土間部分は玄関土間の1畳分のスペースのみで縦に1,820mm、横に910mmとなります。
2階は総二階なので1階と同じく横の東西側が10,010mm、縦の南北側が5,915mmです。私の家は角が4つしかない形が単純な長方形なので外皮面積の計算もしやすいです。
折り上げ天井が高さ150、奥行200、幅7,280分あります。これも後の外皮面積の計算に反映します。
参考までに家の立面図です。ぱっと見で南側以外の窓の数や大きさが最小限なのがわかると思います。
YKKAP住宅省エネ性能計算ソフトの入力値
物件の概要
以前の記事でも入力方法については割と詳細に記載していますが、今回も入力方法については省略せずにスクリーンショットを掲載します。
私の家の建設予定地はさいたま市になり、さいたま市の地域区分は6地域になります。埼玉県内の大半の平坦な地域は6地域に含まれますが、秩父や山の近くは5地域で旧大滝村は4地域になるので自分の家の地域区分がわからなければ調べてみて下さい。
物件概要で気をつける所は土間床等面積で、ここには床断熱ではない部分の総面積を入力します。具体的には玄関土間、土間収納、ユニットバス(1階に設置した場合のみ)、勝手口の土間(土間部分が室内側にあれば)辺りの面積を合計します。
私の場合は玄関土間が1畳(0.91m×1.82m)あるだけなので、0.91×1.82=1.6562の小数点第三位を四捨五入して「1.66」となります。
県民共済住宅の場合は工法は軸組工法で断熱位置はロフトや小屋裏収納、勾配天井がない場合は天井でそれらがある場合は併用または全ての天井を勾配天井にしている場合は屋根となります。
私の場合は2階建てで2階の天井裏は何も設けていないので「天井」となります。
断熱構造は「床断熱」、1階玄関下部の断熱位置は「基礎断熱」、勝手口下部の断熱位置は勝手口が無ければ「その他」、1階浴室下部の断熱位置は1階にユニットバスがあれば床断熱、無ければ「その他」になります。
私の場合は2階にユニットバスがあるので浴室下部の断熱位置は「その他」になります。
基礎壁の有無は「あり」です。前回計算した時はここの扱いが良くわからず「なし」にしていましたが、今回は基礎壁の部分も計算に入れていきます。
外気に面する床は1階がビルトインガレージになっていたり、1階の玄関ポーチの部分だけを凹ませて2階の床を玄関ポーチの屋根代わりにしていたり、2階が1階よりも出っ張っているオーバーハング構造になっている時に「あり」になります。
私の場合は普通の総二階なので「なし」になります。
セットバックバルコニーはインナーバルコニーの様な1階の天井上にバルコニーがある場合は「あり」になります。
私の場合は普通の総二階にバルコニーを付けたので「なし」です。
屋根・天井
屋根、天井部分の入力方法です。断熱位置は天井断熱にして、断熱材の情報を入力していきます。
今回はより正確なUa値を出すべく部位U値シートの各部位を参考にして商品名から入力しますが、県民共済住宅で使用するアクリアR57が選択肢に無かったので名称と熱貫流率(0.035)を直接入力しました。
外壁・基礎壁
外壁についても商品名から入力していきます。旭ファイバーグラスのアクリアネクストα20Kを選択し、厚さ105mmを入力して断熱部にチェックを入れ、石膏ボードとMDFは断熱部と熱橋部にチェックを入れて、天然木材は熱橋部にチェックを入れます。
この辺が複雑ですが、正しい値を入力すると部位U値計算シートのU値と同じ値になります。
外壁の面積は(1階の階高+2階の天井高)×各方位の間取りの長さで算出します。
私の場合は2階に折り上げ天井があるのでそれを反映した面積を入力しました。
基礎壁というのは基礎高が400mm以上ある場合の基礎高400mm以上の部分の壁のことです。県民共済住宅の標準の基礎の場合、地面から450mmの高さがあるので基礎壁となる部分は50mm分になります。なお基礎パッキンの20mm分は土台扱いなので基礎壁には含みません。
基礎壁1は基礎の外周部分(外気側)の基礎壁で、基礎壁2は基礎の内側(床裏側)に面する部分の基礎壁になります。
私の家の場合は1階の玄関土間が南東の角にあるので外周部分に南東側の2方向と内周部分に北西側の2方向が面します。私の家の土間スペースは1畳(南北側910mm×東西側1,820mm)なので、基礎壁の面積の求め方は南北側が0.05m×0.91m、東西側が0.05m×1.82mで計算しました。
床
床についても壁や天井と同じく部位U値計算シートを基に入力していきます。断熱位置は剛床工法となります。
土間の面積は床断熱部分の面積なので玄関土間や土間収納部分、ユニットバス部分などは含みません。
基礎・土間床
基礎と土間床は玄関土間やユニットバス等の土間部分を入力します。
ここは線熱貫流率計算法は既定値で入力を選ぶと簡単です。計算しても結局1.80になったので値が変わりませんでした。
基礎1が外気側に面する基礎部分で、基礎周長には基礎の外周部分に面する部分の長さ(面積ではありません)を入力します。
私の場合は土間部分が家の南東の角に1畳の玄関土間があり、それ以外の土間やユニットバスの部分はないので1.81+0.91=2.73mを入力します。
基礎2は床裏側に面する基礎部分で、基礎周長には基礎の内側に面する部分の長さ(面積ではありません)を入力します。
窓
窓についての詳細な入力方法は前回の記事で触れているので割愛します。
私はAPW330の窓を選択したのでこのYKKAP省エネ性能計算ソフトを利用しています。
私は南面の窓数が多すぎてシステムの窓の最大数を超えてしまい、やむを得ず一部の06013サイズと06005サイズのFIX窓や縦すべり出し窓は2個まとめて06018サイズの窓として計算しました。
ドア
玄関ドアも仕様選定で実際に選んだドアを選択します。採光ありと採光なしで熱貫流率が変わります。
私は窓がないN08のマキアートパインを選んだので採光なしのタイプになります。県民共済住宅のヴェナートD30の標準ドアは全てD2仕様になります。
外皮平均熱貫流率(UA値)の計算結果
これまで画面上に入力した値で計算ボタンを押して計算した結果が上の画像になります。
Ua値は0.41W/(m2・K)となり、以前の記事でUa値を計算した時と同じ値になりました。6地域のHEAT20 G2の0.46W/(m2・K)はクリアしているので2021年に設計した家としては割と良い性能だと言えます。勿論G3レベルには遥かに及びませんが、木造軸組構法の充填断熱でペアガラスという事を考えるとかなり良い数値だと言えます。
Ua値0.2、0.3台はトリプルガラスや充填断熱に加えて外断熱のダブル断熱が必要になってきて断熱コストが非常に高くなります。残念ながら県民共済住宅ではトリプルガラスのオプションも無ければ外断熱のオプションも存在しない上、高断熱仕様のオプション以外は外皮性能に関わる部分の自由度が全く無いので現時点ではこれ以上の性能向上は見込めません。
設計士さんが出してくれた県民共済住宅の一般的な家のUa値
参考までに契約時に設計士さんが出してくれた県民共済住宅の一般的な家の簡易計算ルートのUa値だと0.61W/(m2・K)でZEHレベルさえクリア出来ていません。Ua値は計算方法が変わると算出される値も大きく変わります。
この資料の床の熱貫流率が0.411W/(m2・K)でと高断熱仕様の0.362W/(m2・K)でではなく標準仕様のマグ・イゾベールの床の断熱材のU値になっているのでミスがあるのと、窓やドアのU値を個別に出していないので本来1.37W/(m2・K)の性能の窓が全て2.33W/(m2・K)で計算されている上、外皮面積や窓の面積を考慮しない計算値なのでこんなに悪いUa値が出ています。
この計算結果は一次エネルギー消費量を計算する建築研究所のWEBプログラムを利用した計算結果ですが、建築研究所のWEBプログラムで自分で床の断熱材の値を0.362W/(m2・K)にして計算してみても0.61W/(m2・K)と同じ値になりました。窓やドアの熱貫流率を2.33W/(m2・K)で計算しているのでUa値が悪く出ています。
Ua値は建築研究所のWEBプログラム上で計算するよりもYKKAP住宅省エネ性能計算ソフトで外皮面積を考慮した標準計算ルートで計算した方が同じ条件でも良い計算結果が出ます。別にインチキしているわけではなく、簡易計算だと安全側に値を見ているので計算結果が悪く出るという事です。
建築研究所のWEBプログラムで試しに窓を1.37W/(m2・K)、ドアを1.79W/(m2・K)で計算してみたらUa値が0.48W/(m2・K)という数値になり随分改善した値が出たので窓の性能って大切なんだなと思いました。
Ua値の計算結果の内訳
最後は計算結果の内訳になります。計算時に入力した値がここに網羅されています。部位U値計算シートや設計士さんの出してくれた計算用紙と要所要所の値が同じなので計算根拠は正しいと思います。
高断熱仕様の部位別の熱損失
部位 | 熱損失 | 割合 |
---|---|---|
天井 | 9.97 | 8.5% |
外壁 | 60.61 | 51.4% |
基礎壁 | 0.89 | 0.8% |
その他床 | 14.57 | 12.4% |
玄関土間 | 8.35 | 7.1% |
窓 | 19.7 | 16.7% |
玄関ドア | 3.85 | 3.3% |
合計 | 117.94 |
私の家だとどこの部位からの熱損失が大きいのかを上の内訳から集計してみました。
普通の家は窓から熱の6割が逃げると言われていますが、私の家の場合は窓からの熱損失は16.7%しかありません。窓とドアを足してようやく20%です。私の家は窓の数と面積が小さいのでこの位になっているという事もありますが、樹脂サッシが採用出来る昨今だと窓の断熱性能が大幅に改善して熱損失の割合も小さくなったと考えるのが自然です。
私の家では外壁からの熱損失が51.4%と実に半分以上の熱が外壁から失われます。壁は床や天井と異なり東西南北の4面があるので外壁の面積も大きくなります。面積が大きい外壁の断熱性能を高めることは家全体の断熱性能を高める上で非常に重要です。
外壁の熱損失を減らすには壁の断熱材を厚くする以外に方法はありません。高断熱仕様のオプションは壁の断熱材も標準仕様の物よりも性能が良い物を使っているのでオプションの高断熱仕様の断熱材を入れるのも有効です。私は高断熱仕様のオプションを採用していてもこの割合なので、標準仕様の断熱材だったなら壁の熱損失の割合がもっと大きくなったと考えられます。
地味に注目したいのが玄関土間と玄関ドアです。私の家の玄関土間は僅か1畳サイズにも関わらず家全体の熱損失の1割が玄関からという計算なので玄関は家の断熱の要注意ポイントと言えそうです。玄関ドアは窓なしで県民共済住宅で選べるヴェナートD30の中でも一番断熱性能が良いN08のマキアートパインを選んでいてもこの割合です。
断熱材が入らない(入っていても薄い)土間部分は地味に断熱の弱点なので冬に暖かい家を望むなら土間部分はあまり大きくしない方がベターです。土間部分を大きくするにしても土間エリアと生活空間をきちんと室内ドアで間仕切りする等の冷気が生活空間まで来ないようにする対策は考えておいた方が良さそうです。
標準仕様の断熱材の場合のUA値
参考までに県民共済住宅の標準仕様の断熱材(マグ・イゾベール)のUa値の計算結果も出してみました。各部位の断熱材の種類と厚みを変更した以外は高断熱仕様の物と全く同じです。
標準仕様の断熱材で計算したUa値は0.47W/(m2・K)と高断熱仕様のUa値の0.41W/(m2・K)から0.06W/(m2・K)程大きくなって(悪化して)います。標準仕様の断熱材だと6地域のHEAT20 G2の0.46W/(m2・K)にはギリギリ届きませんでした。
標準仕様の内訳についても一応スクリーンショットを添付しておきます。
標準仕様の部位別の熱損失
部位 | 熱損失 | 割合 |
---|---|---|
天井 | 13.76 | 10.1% |
外壁 | 73.3 | 53.8% |
基礎壁 | 0.89 | 0.7% |
その他床 | 16.32 | 12% |
玄関土間 | 8.35 | 6.1% |
窓 | 19.7 | 14.4% |
玄関ドア | 3.85 | 2.8% |
合計 | 136.17 |
私の間取りで標準仕様の断熱材を使用した場合の熱損失を出してみました。
標準仕様の断熱材を使用した場合でも外壁からの熱損失が5割を超えている事がわかります。窓からの熱損失は15%位で窓とドアを足しても2割に満たない事を考えると一般的に言われている窓からの熱損失が6割を占めるというのはサッシの性能が低い物を使っている場合にのみ当てはまり、オール樹脂サッシを使っている場合はサッシの性能が良くなった分相対的に外壁からの熱損失の割合が大きくなるという事がはっきりしました。
県民共済住宅の断熱仕様の違いによる熱損失の割合
部位 | 標準仕様の 熱損失 | 高断熱仕様の 熱損失 | 断熱仕様に よる差分 | 高断熱仕様での 改善率 |
---|---|---|---|---|
天井 | 13.76 | 9.97 | 3.79 | 27.5% |
外壁 | 73.3 | 60.61 | 12.69 | 17.3% |
基礎壁 | 0.89 | 0.89 | – | – |
その他床 | 16.32 | 14.57 | 1.75 | 10.7% |
玄関土間 | 8.35 | 8.35 | – | – |
窓 | 19.7 | 19.7 | – | – |
玄関ドア | 3.85 | 3.85 | – | – |
合計 | 136.17 | 117.94 | 18.23 | 13.4% |
私の家の間取りで高断熱仕様の断熱材を使った場合の熱損失の合計が117.94で標準仕様の断熱材を使った場合の熱損失が136.17なので、高断熱仕様の断熱材にアップグレードしたことで熱損失の割合が13.4%程改善しています。
部位別だと天井が約3割、外壁が約2割、床が1割程それぞれ熱損失が改善されています。
こうして計算してみると、もし新居に住んでみて断熱性能が物足りなかった場合にどこをリフォームして改善すれば良いか一目瞭然です。私の家の場合だと2重窓にしたりトリプルガラスのサッシを入れて窓からの熱損失を減らすよりも外壁の付加断熱を行って外壁からの熱損失を減らした方が遥かに効果的ですね。
県民共済住宅の断熱材のR値(熱抵抗値)
部位 | 標準仕様の 断熱材のR値 | 高断熱仕様の 断熱材のR値 | R値の差分 | R値の改善率 |
---|---|---|---|---|
天井 | 4.1 | 5.7 | 1.6 | 28.1% |
外壁 | 2.4 | 3.1 | 0.7 | 22.6% |
その他床 | 2.2 | 3.3 | 1.1 | 33.3% |
面白いのが県民共済住宅の標準仕様と高断熱仕様の断熱材の熱抵抗値(R値)を突き合わせてみると、天井はR値の改善率と実際の熱損失の改善率がほぼイコールで、外壁はR値の改善率よりも実際の改善率がやや低くなり、床に関してはR値の改善率よりも実際の改善率がとても低くなっているのが面白いと思いました。
県民共済住宅の部位別の熱貫流率(U値)
部位 | 標準仕様の 熱貫流率(U値) | 高断熱仕様の 熱貫流率(U値) | 熱貫流率の 差分 | 熱貫流率の 改善率 |
---|---|---|---|---|
天井 | 0.232 | 0.168 | 0.064 | 38.1% |
外壁 | 0.459 | 0.38 | 0.079 | 20.8% |
その他床 | 0.405 | 0.362 | 0.043 | 11.9% |
熱貫流率(U値)の値でも部位別の差分を求めてみました。すると今度は天井のU値よりも実際の熱損失の改善率が低くなり、外壁は先程のR値での比較よりも実際の改善率に近くなり、床に関してはほぼイコールになりました。
こうして見ると断熱材の違いによる熱損失の割合を比較するなら天井はR値ベースでの比較で、壁と床はU値ベースの比較が良さそうです。
最後に
県民共済住宅でUa値の計算をしてもらおうとすると外注する事になり、数万円の費用が発生するみたいです。私の担当の設計士さんは最初は1万5千円位と言っていましたが、契約間際に7万円位かかると言われたので流石にUa値を計算するためだけに7万円も出せないので自分で計算しました。
実際に計算したUA値が0.41W/(m2・K)という良い値が出たので私的にはかなり満足しています。
私の家は延べ床面積が118.4m2(35.74坪)で契約した金額が税抜17,877,000円(税込19,664,700円)で税抜の坪単価だと500,195円となります。
このUa値を出すためにかかった追加費用は高断熱仕様のオプションの約40万円だけです。窓は標準で選べるAPW330のアルミスペーサーでFIX窓と縦すべり出し窓と横滑りだし窓とAPW331のテラスドアしか使っていません。(一部オプションサイズの窓はあります)
私の場合は南面以外の窓と1階の土間部分を最小限にする事でUa値を小さく出来ています。コストをかけずにUa値を小さくするなら窓と土間部分を減らすのが手っ取り早い方法です。基礎断熱の工務店や床断熱でも土間部分は基礎断熱にするきちんとした工務店だと土間を小さくしてもUa値への影響は殆ど無いですが、県民共済住宅は床断熱で土間の立ち上がり部分の壁には断熱材が入らないので断熱の弱点となる土間部分を小さくするという方法も有効です。
Ua値を良くするために窓を減らしたり窓のサイズを小さくする場合は隣家の影響を受けずに冬の日射が取れる南面以外の窓を減らしたり小さくしましょう。冬の時期の南面の窓は「窓からの日射取得量>24時間ベースの窓からの熱損失」になるので窓を設けた方が得になりますが、東西北面の窓は南面の窓よりも日に当たる時間が短く「窓からの日射取得量<24時間ベースの窓からの熱損失」となるので窓は小さくするのがパッシブデザインのセオリーです。それに東西面の窓は夏の暑い時期の日射取得量が太陽高度の関係で南面よりも大きくなる事も東西面の窓は極力小さくすべしと言われている理由です。
この価格で太陽光発電も5.11kWh搭載して、APF3.8の高性能エコキュートでオール電化なのでガス代もかからず省エネ性能もかなり良いし、更に耐震性能も許容応力度計算の耐震等級3に制震ダンパーで相当地震に強い家に出来たと思います。外壁はALCで屋根は陶器瓦と耐久性も窯業系サイディングとスレート屋根みたいな一般的なローコスト住宅よりも耐久性が良い物を標準で使えた事もあり、家の性能という意味では契約した金額の割にかなり良い家になったと思います。
性能面以外でも60万位の2ボウル洗面化粧台だったり様々なオプションも入れられたので改めて県民共済住宅のコスパの高さが光っているなと思いました。
とりあえず契約の段階では私が目指す「高気密高断熱」の高断熱についてはクリアできました。後は気密性ですがこれは実際に家が建ってから気密測定をしてみないと何とも言えません。これでもしC値が1以下にでもなれば心の底から喜びたいと思います。
実はYKKAP住宅省エネ性能計算ソフトのUa値の計算結果があると、エネルギー消費性能の計算も建築研究所のWEBプログラムで出来るようになります。エネルギー消費性能の計算までこの記事で行うと長くなりすぎるので別記事の「建築研究所のWEBプログラムを使って一次エネルギー消費量を算出」で行いました。