23日目は前日にパヴェレツカヤ駅の無料電車のサービスカウンターで予約したモスクワ発ロストフ・ナ・ドヌ行きの無料電車に乗ってモスクワを離れる日です。
この日乗車する無料電車は19:50発と遅い出発なのでかなり時間の余裕がありました。
23日目(2018年7月1日)のスケジュール
- プリンスパークホテルをチェックアウト
- カザンスキー駅でロストフ・ナ・ドヌ行きの無料電車に乗車
プリンスパークホテルの朝食ビュッフェ
まずは朝食を食べにプリンスパークホテルのレストランへ。レストラン会場は物凄く広大で世界各地から集まったサッカーファンがわんさかいたにも関わらず、スペースに余裕がありました。
ビュッフェの料理も種類豊富で味も結構美味しくてこれは良い意味で期待を裏切られました。朝食はロシア版のクレープのブリヌイや中国人団体客が多く泊まるホテルなので中華風の物を取って食べました。
ホテルをチェックアウトして地下鉄でカザンスキー駅へ移動
ホテルのチェックアウト時間は正午まででしたが、朝食を食べた後にフロントのスタッフと交渉してチェックアウト時間を無料で14時まで延ばしてもらいました。
この日は19時50分にカザンスキー駅を発車するロストフ・ナ・ドヌ行きの無料電車に乗車するので結構時間が余ります。
しかし、モスクワ市内の名だたる観光地はほとんど見たと思っていたのでこの日特に見たい所も思いつかなかったのでギリギリまでホテルでダラダラしていました。ホテルに荷物を預けて観光しても良いですが、ホテルがモスクワのかなり郊外にあるので荷物を引き取りに行ってカザンスキー駅へ行くのに往復で2時間近く掛かりそうな事もあり素直に駅で電車を待つことにしました。
旅に出てから3週間以上経っているので流石にダレてきます。これは長期旅行あるあるだと思います。
14時ギリギリまでホテルで粘って出発前にシャワーを浴びてスッキリしてからホテルをチェックアウトしました。
まずは地下鉄でカザンスキー駅を目指します。ホテル最寄りの地下鉄6号線のチョープリスタン駅から乗換駅のプロスペクトミーラ駅まで移動しました。プロスペクトミーラ駅の地下鉄のホームも美しいです。モスクワの地下鉄駅の内装は本気で美しいのでロシアに来る機会があれば必見です。
プロスペクトミーラ駅から今度は地下鉄5号線に乗換えてカザンスキー駅最寄りのコムソモーリスカヤ駅へと移動しました。
コムソモーリスカヤ駅のホームも見ての通りとても美しい内装でまるで美術館の様でした。思わず写真を何枚も撮ってしまいました。
地下鉄のコムソモーリスカヤ駅から地上に出ると大通りの向こう側にカザンスキー駅が見えます。カザンスキー駅は日本対コロンビア戦前日の無料電車で使っているので実に2週間ぶりです。
地上に出てスマホを見ながら道を歩いていると何やら後ろをつけてくる怪しい人がいたので警戒しつつ道を渡ろうと地下道を進むと、その人が話しかけてきて「何か困っている事はないか?」と話しかけられました。
「カザンスキー駅に行きたい」と答えたら親切に道を教えてくれました。向こうが何か私に話しかけたいけど勇気がなくて怪しい感じに見えたのかなと思います。
この旅でロシアには2週間以上滞在していますが、この旅で出会ったロシア人は皆親切でした。これは私だけでなく2日前のヴォルゴグラードからモスクワへの無料電車で一緒になったイタリア人の若者とポーランド人のおじさんもロシアの印象やロシア人の印象について話していた時にロシア人は親切だと言っていました。
カザンスキー駅で暇つぶし
カザンスキー駅に着いたのが15時前で電車の発車時刻まで4時間近くあります。本当に何もすることがないので駅をぶらついて休憩所でスマホをいじりながら時間を潰していました。
ちょうどこの日は17時からロシア対スペインの試合があったのでその試合をカザンスキー駅2階の休憩スペースのテレビで見ていました。
後半途中で席を立ち、とりあえずフードコートで何か食べておこうと駅構内のフードコートへ行きました。
フードコートのロシア料理を出す軽食屋でボルシチとペリメニを注文し、どこか空いている席がないかと辺りを見回して席を探しているとメキシコ人のサポーターがこっち来なよと言っていたので相席させて頂きました。
パチューカサポーターのメキシコ人家族との出会い
メキシコ人家族が「Honda!」と言っていたので一瞬車やバイクのホンダかと思いましたが、本田圭佑の方でした。どうやら彼らは本田圭佑が在籍しているパチューカのサポーターの様です。彼らは本気で本田圭佑がこのままパチューカに残ってプレーし続けて欲しいと言っていました。
メキシコのパチューカは昨年浦和レッズも出場したUAEで行われたクラブワールドカップに出場していて、私はレッズの5位決定戦の試合を観に行ったついでにパチューカ対グレミオの試合もアル・アインのスタジアムで観戦しました。
レッズの試合の後に本田圭佑選手が所属するパチューカ対グレミオの試合があり、同じチケットで観れたのでついでに観戦したという経緯がありましたがまさかこんな所で共通の話題があるなんて思いませんでした。
「パチューカの事は知ってる?」と聞かれたので「何度か日本で開催されたクラブワールドカップに出たこともあるし、本田圭佑が所属しているから日本では結構有名だよ」と答えるとめっちゃ喜んでました。
私も昨年のクラブワールドカップでパチューカの試合を現地のスタジアムで見たこともあり、その時に「現地にいたパチューカサポーターが極端に少なかったのは何で?」と聞いたら「メキシコ人はそんなに裕福じゃないからクラブワールドカップとこのワールドカップロシア大会の2択でワールドカップを選んだ」との事です。まあ確かにメキシコからだとUAEもロシアも遠いですからね。大会自体の規模や格はクラブワールドカップとワールドカップでは全然違います。どちらが上かと言われたら当然ながらワールドカップで規模が違いすぎます。
試合のチケット代もクラブワールドカップの5位決定戦は確か現地価格で600円位でレッズの試合とパチューカの試合が2試合見れましたが、ワールドカップは1試合で1万2千円です。現地のスタジアムの盛り上がりもやはり全然違いました。
このメキシコ人ファミリーは家族3人でロシアに来たとの事で、年齢を聞くと上から20台前半、17歳、15歳と高校生もいて驚きました。17歳とか15歳の時にワールドカップを観に海外まで行くとかマジ凄いなと思います。彼らにとってとても良い経験になると思います。
しかもこの子達の父親が2002年のワールドカップ日韓大会で日本に来て大分と広島と後どこかに行ったと言っていました。サッカーに人生を賭けている家族ですね。
そんな感じでたまたまフードコートで出会った彼らと速攻で打ち解けて仲良くなり、色々な事を話しながらの楽しい食事になりました。共通の趣味があると国籍や言語が違ってもあっという間に心が通じ会えるんだとこの旅を通して感じました。
彼らと一緒に過ごした時間は1時間もありませんでしたが、私の乗る電車の出発時間が近づいてきました。
別れ際に彼らの持っていたパチューカのレプリカユニフォームに直筆のメッセージを書いてくれて私にプレゼントしてくれました。
これは一生の宝物です。
私もレッズのレプリカユニフォームを持ってきていれば彼らとユニフォームの交換が出来たのにとレッズのレプリカユニフォームを持ってこなかった事を本気で後悔しました。もしレッズのレプリカユニフォームを持ってきていたら昨年のクラブワールドカップ出場チームのサポーター同士のユニフォーム交換になったのにと残念でなりません。
別れ際に「スペイン語でさよならってなんて言うの?」と聞いたら「アディオス」と言われたので、それで簡単なスペイン語の挨拶というか有名なフレーズを思い出して、「アディオス、アミーゴ」(さようなら、友よ)と言って笑顔で彼らと別れました。
私は19:50発で彼らは21時発のサマーラ行きの電車に乗るので、メキシコの勝利を願いつつ電車が停車するホームへと移動しました。
駅の電光掲示板を見てロストフ・グラーヴヌィ駅行きの電車が発着するホームに行くと既に電車がホームに停車していました。
無料電車に乗車する時に車両の入口にいる車掌さんに試合のチケットとFANID(ワールドカップ期間中のロシアビザみたいなもの)、パスポートを見せてから車内に入ります。
自分の席があるコンパートメントを探して中に入ると誰もいません。
昨日無料電車を予約した時は一番良い時間の無料電車は既に満席で、予約出来たのはモスクワからロストフまで21時間40分かかってキックオフ5時間前にロストフに到着するというあまり条件の良くない無料電車の1席でこの電車も昨日の夜に確認した時は満席になっていました。
今度はどんな人と相部屋になるのかなとちょっと緊張しながら待っていると、電車のドアが閉まって電車が動き出しました。
電車が動き出してからしばらくしても誰も来ません。私1人でロシア国鉄の2等相当の4ベッドのコンパートメントを独占出来ました。
これまでロシアの長距離列車にはモスクワ→サランスク、ルザエフカ→ウファ、ウファ→エカテリンブルク、エカテリンブルク→サマーラ、サマーラ→ヴォルゴグラード、ヴォルゴグラード→モスクワと乗ってきていますがいずれも相席だったので今回始めて独り占め出来ました。
電車が発車して30分か1時間位経過した頃に日本人のおじさんがふらっと通りかかって私が日本人だと分かると話しかけてきたので20分位コンパートメントの中で雑談して去って行きました。
この日はホテルをチェックアウトしてからカザンスキー駅まで地下鉄で移動してカザンスキー駅から無料電車に乗っただけの1日ですが、カザンスキー駅のフードコートでパチューカサポーターのメキシコ人家族との思いがけず素晴らしい出会いがありとても思い出深い楽しい1日になりました。
翌日はロストフに到着してワールドカップロシア大会の決勝トーナメント初戦の日本対ベルギー戦を観戦します。