29日目は0:30発のサンクトペテルブルク・プルコヴォ空港からカザン空港行きのS7航空の国内線に乗ってカザンまで移動した後、朝まで空港で野宿してからホテルへと向かいます。
いよいよこの旅の最後の都市のカザンへとやって来ました。これまでロシア国内をモスクワ→サランスク→ルザエフカ→ウファ→エカテリンブルク→サマーラ→ヴォルゴグラード→モスクワ→ロストフ・ナ・ドヌ→サンクトペテルブルク→カザンと旅して来ています。カザンの後は国内線でモスクワのドモジェドヴォ国際空港に戻ってそのまま成田へと戻るので実質カザンが最後の都市です。
カザン到着が朝の3:00になるので空港から市内へと行く手段がタクシーしかありません。カザン空港からカザン市内へと行くAeroexpressという空港電車の始発まで時間があるので朝まで空港内で野宿する事にしました。
29日目(2018年7月7日)のスケジュール
- サンクトペテルブルク・プルコヴォ空港からカザン空港までS7航空の国内線で移動
- 空港電車が動き出す朝まで野宿
- ホテルに荷物を預けてカザン観光
- ホテルにチェックイン
- チェックインして休憩後にカザン観光
- パブリックビューイングでロシア対クロアチア戦を観戦
この日のスケジュールは結構盛りだくさんです。この旅2度目の空港野宿からの市内観光と最後にサッカー観戦とハードな1日でした。
S7航空の国内線でサンクトペテルブルクからカザンへ
前日の日付が変わる前にサンクトペテルブルクのプルコヴォ空港に到着し、搭乗を待っている頃に日付が変わりました。この日は深夜便でサンクトペテルブルクからカザンへと移動します。
機内に乗り込んでからはすぐに寝ました。2時間15分程のフライトでしたが離陸直後に熟睡して気づいたらカザンに到着していました。飛行機が沖止めでターミナルへと向かうバスに乗るために飛行機を降りると午前3時でしたが空が薄っすらと明るくなっていました。緯度が高いと夏はほぼ白夜ですね。
カザン空港で野宿
カザン空港に到着して預け荷物を受け取った後は少なくともカザン空港からカザン1駅へと向かうアエロエクスプレスという空港電車の運行が始まる時間までは空港のベンチで野宿しようと空いているベンチを探しました。
この日は前日にカザンでブラジル対ベルギー戦があり、カザン空港で野宿しているブラジル人サポーターが沢山いました。野宿している人が多かったので中々良いスペースを見つけるのに苦労しましたが、到着エリアと出発エリアの間のベンチが空いていたので横になって寝ましたが空調が効いていてとても寒かったです。
もし日本代表がロストフでベルギー代表に勝っていたら日本対ブラジルになったので実に残念でした。ロストフのスタジアムで味わった惜敗の悔しさがまた思い出されてしまいました。
カザン空港からカザン市内のホテルへ
空港のベンチで朝の7時過ぎ位まで仮眠を取りましたが、横になれないタイプのベンチだったのであまり良く眠れませんでした。もう空港電車が動いている時間帯なのでカザンの街中へと向かうためカザン空港駅へと向かいました。
カザン空港駅からカザン中心部に近いカザン1駅へは40RUB(72円)と安いです。ロシアは公共交通機関の交通費が非常に安いので財布に優しい国でした。
空港駅はガラガラで私以外の乗客がいませんでしたが、20分後位にタイ人のバックパッカーが現れて話しかけられたので彼といろいろ会話しながら電車を待ち、一緒に電車に乗った後も色々会話しました。
驚いたのは彼がこの時期にロシアを旅しているのにワールドカップ目当てではなく純粋にロシア旅行を楽しんでいる事でした。この時期のロシアはワールドカップ期間中でホテル代が高騰しているのでバックパッカーが泊まる様なホステルも金額が高騰しています。普段よりお金がかかる分長期旅行は結構大変だろうなと他人事ながら思いました。
8:50発のAeroexpressでカザン1駅へと到着しました。カザン1駅には9:30に到着したので40分程の電車の旅です。
カザン空港駅で出会ったタイ人バックパッカーと一緒に話しながら駅を出てお互いの泊まるホテルとホステルのある方向へと歩きます。
駅からちょっと歩いた所でタイ人バックパッカーの彼とはお互い泊まる宿の方向が異なるので別れました。私はカザンで3泊するのでそのうち再会出来るかもしれません。
カザンの街並みはレトロ感と言うか大正ロマンみたいな感じの街並みで、こぢんまりとした味のある建物が多くとても良い感じです。
カザンにはこれから3泊しますが、3連泊ではなく今日の1泊と翌日からの2連泊でホテルを分けています。
昨日がカザンでの最後のワールドカップの試合日で、試合日の翌日(今日)から通常価格に戻しているホテルと、試合日の2日後(明日)から通常価格に戻しているホテルが混在していたので止むを得ず連泊ではなくホテルを分けました。
試合日の価格と通常期の価格差が千円か2千円位なら連泊してしまっていると思いますが、実際は1〜3万円位は差がありました。私は色々手を尽くしてワールドカップ期間中の高騰しているホテルを取らずに工夫して旅をしてきて、1ヶ月の旅でも旅費がワールドカップのチケット代含めて30万円台に収まりましたが、何も考えずに試合当日や前日にワールドカップの試合会場の都市のホテルを取っていたら確実に50万円どころか下手すれば80万円位かかっていたとおもいます。ホテルの予約サイトを見てみると通常は1泊5千円もしないホテルが試合日は1泊5万円どころか10万円位取る所が多く、物凄いインフレっぷりでした。
この日宿泊するのがカザン中心部にあるオストロフスキーホテルです。ここは1泊4,625円と安く予約出来ました(これでも通常期は1泊3千円位)
ホテルに到着したのが午前10時丁度位でチェックイン時間が午後からだったのでまだチェックインは出来ませんでしたが、スーツケースをホテルに預けたので多少身軽になった状態でカザンの街歩きを始めました。
カザンの街歩き
ホテルがカザン中心部にあった事もあり徒歩1分もしない位でカザンのメインストリートに出ました。
カザンの街並みの第一印象は非常に味のある街並みで大正ロマンを感じさせる様な雰囲気です。今まで行ったロシアの街ともまた違った雰囲気が新鮮でした。
この日はブラジル対ベルギー戦の翌日という事もありブラジル人サポーターの姿もチラホラ見えました。
カザンはロシア連邦内のタタールスタン共和国の首都ですが、「○○スタン」系の国の首都という割に街並みはロシアっぽい感じであまり中東感や中央アジア感がありません。この旅で訪れた街だとサマーラの方が余程中東と言うか中央アジアっぽかったです。
街歩きしながら地下鉄駅近くの教会に入ってみたりしました。
とりあえずカザン・クレムリンの方に向かって街を歩いています。カザン中心部の街並みは中々趣があって街歩きが楽しいです。
世界遺産のカザン・クレムリンが見えてきました。カザン・クレムリンは同じ敷地の中に教会とモスクが存在するという極めて珍しい場所です。
白と青の尖塔が何本か見えるのがモスクの建物です。
一番カザンらしい写真が撮れるスポットに「KAZAN」の文字とワールドカップのロゴがありました。カザンはロシアの他の街とはなにか違うユニークな感じがします。
カザン・クレムリンをぐるっと回ってみると、今度は玉ねぎ屋根の教会が見えました。
カザン・クレムリンの周りを歩くとすぐ側に農業宮殿と呼ばれているタタールスタン食糧・農業省が入っている建物がありました。この建物もとても立派です。
その後カザンカ川沿いを歩いてみます。カザンカ川沿いは公園と遊歩道とショッピングモールが合わさった様な感じできれいに整備されていました。
このエリアは新しくてオシャレでカフェやミニ遊園地があったりと年齢層問わず楽しめる感じが良かったです。
橋の対岸にはパブリックビューイング会場が見えました。この日の夜はワールドカップの準々決勝のロシア対クロアチアの試合があるので、地元のロシア代表の試合という事もあり是非パブリックビューイングで試合を見ようと思います。
カザンカ川の橋があったので橋の上からカザン・クレムリンを撮影して橋は渡らずに引き返してきました。
カザン・クレムリンの内部も見学できますが、それは翌日以降の楽しみとして取っておきます。今朝の野宿を含めずにあと3泊するので日程の余裕は相当あります。
カフェでランチ
カザンのメインストリートにあったグーグルマップで評価が高いカフェでランチをすることにしました。
入ったのはドブラヤ・ストロヴァヤというカフェで、店内に入ると地元の学生が沢山居て行列を作っていました。メニューの価格が全体的に非常に安かったです。
ロシアのカフェは日本の社員食堂や学食みたいな感じのスタイルで、最初にトレイを取ってから順々に歩いて行き、食べたい料理があったらそれをピックアップしていくスタイルです。最後にレジでピックアップした料理を精算するという形でした。
こういうカフェで使うロシア語はNHK教育の「テレビでロシア語」で覚えたまんまのロシア語で通用しました。指差しで「モージュナ エータ」(これください)と言えば問題なく食べたいものが選べます。装ってもらう物で量が多すぎる場合は「パミーシチェ パジャールスタ」(もっと少なくして下さい)という言葉を使って減らしてもらいました。
流石にロシアに1ヶ月近くもいるとこの辺のロシア語は使いこなせる様になってきました。
肝心のカフェの料理ですが、サラダ、スープ、ライス(ピラフ)、ドリンクの4点で価格は70RUB(130円)と激安だった事もあり味自体は普通〜やや物足りない位でした。
再びカザンの街歩き
ランチを食べてお腹を満たした所で街歩きを再開しました。メインストリートを今度はカザン・クレムリンとは反対側に歩いてみます。
カザンのメインストリートにはツーリストインフォメーションも点在していてワールドカップでカザンを訪れた外国人観光客にも親切な印象を受けました。
街中にあった時計の数字がアラビア文字でこういう時計は初めて見ました。
途中バーガーキングがあったので安くてミルクが濃厚でとても美味しいソフトクリームをテイクアウトして食べました。ロシアはアイスが美味しいです。JALのモスクワ線でも日本発はハーゲンダッツのアイスが出てきますが、モスクワ発だとロシアのアイスが出てきてそれが正直ハーゲンダッツよりも美味しかったです。
カザンのグム百貨店の地下にスーパーマーケットがあったのでチラ見してから一旦ホテルへと戻ります。カザンのグム百貨店の建物は中央アジアっぽい感じがしていました。カザンは良い感じにロシアと中央アジアの文化が混ざり合っていてそれが魅力的でした。
もうチェックイン時間になっているので部屋に入れるはずなので休憩しにホテルへと戻りました。
オストロフスキーホテルのトリプルルーム
ホテルに戻るともう部屋の準備も出来ていたので荷物を引き取って部屋に入りました。
予約したのはトリプルルームです。1人旅ですがこの日のカザンのホテルでシングルルームの空きがなかったのでトリプルルームを1泊予約しました。トリプルルームだけあって室内は結構広いです。
部屋に入り荷物をばらしてから昨晩は野宿だったのでまずはシャワーを浴びました。シャワーを浴びてスッキリした所で昼寝します。今朝は機内で少し寝たのと空港野宿だったので流石に疲れたし眠かったので夕方まで仮眠を取ります。
夕方のカザンの街を散策
ワールドカップ準々決勝のロシア対クロアチア戦をカザン川対岸のパブリックビューイングへと見に行くついでに夕方のカザンの街を散策しました。19時半過ぎにホテルを出発してパブリックビューイング会場で21時キックオフの試合を見るつもりです。
夕暮れ時のカザン・クレムリンはとても美しく、思わずここで写真を撮りまくってしまいました。この景色を見ているとカザンに来て本当に良かったなと思います。
写真スポットも賑わっていました。
パブリックビューイング会場はカザンカ川の対岸にあるので路線バスに乗ってカザンカ川の対岸へと向かいました。運賃はFANIDを見せたら無料でした。
パブリックビューイング会場には物凄い人が集まっています。やはり地元のロシア代表の試合だとこんなに人が集まるんですね。
カザン・クレムリンの所で写真を撮りまくった事もあり試合開始まで45分位しかありません。ファンフェスト会場の入口には長い列が出来ていたこともありそろそろ会場内に入らないとキックオフに間に合わない可能性もあるので私も列に並びました。
それにしてもこれは1万人どころか2万人位いてもおかしくない位の人口密度です。私はサマーラのパブリックビューイング会場でアルゼンチン対ナイジェリアの試合を見ましたがその時はこんなに人はいませんでした。
カザンのFIFA FAN FEST会場でロシア対クロアチア戦を観戦
私が列に並んだ所で入場制限がかかり、3人位後ろの所で締め切りだったので本当にギリギリでした。大行列だった事もあり20分も並んでようやくファンフェスト会場に入ることが出来ました。
キックオフまであと15分しか無かったのでとりあえず場所の確保だけ行おうと大画面の方へと向かいます。ファンフェスト会場は物凄い人混みなので相当遠くからしか見れそうにありません。
どこか見れそうな場所がないかと探し周り、ようやくまともに見れそうな場所を確保しました。
一息ついた頃にはスタメン発表が行われています。それにしてもパブリックビューイングで試合を見るのはこれで2回目ですがサマーラで見たアルゼンチン対ナイジェリア戦の時とは盛り上がり方が全然違います。
スタメン発表が終わり、ロシアの国歌斉唱の時は周りの観客もロシア国歌を歌い出してまるでスタジアムにいるかのような雰囲気でした。
試合はロシア代表が先制点を上げると大盛り上がりです。やはり自国の試合だと熱の入りようが違っていました。この中には私のような外国人も何人かいましたがこの場にいるサッカーファンの99%はロシア人の人達でした。
ロシア代表が先制するもその後すぐにクロアチア代表がゴールを決めて1-1でハーフタイムへ。ハーフタイム中はとりあえずカザンカ川対岸に見えるライトアップされたカザン・クレムリンを写真に撮ったりしつつ、飲み物と食べ物を求めて軽食を販売しているブースの列に並びます。
この日は夕食をまだ食べていなかったのでちゃんとした物を食べたかったのですが、ブースではポテトフライとかその程度の食べ物しか売ってなかったのであまりお腹が満たせませんでした。
後半はどちらも得点が無く1-1で延長戦へと突入しました。手に汗握る熱い試合でパブリックビューイング会場も盛り上がっています。
延長戦はクロアチア代表が勝ち越しゴールを決めてリードして、延長後半のロスタイムに入ってこのまま試合終了かという所でロシア代表がセットプレーから同点に追いつくという劇的な同点ゴールで2-2のスコアになり試合はPK戦へと突入しました。
この劇的な同点ゴールが決まった時は盛り上がり方が本当に凄かったです。ロシア人は喜びを爆発させて、ロシア人以外の人達も多いに沸きました。最初は普通にクロアチア代表が勝つのかなと思っていましたが、まさかこんな熱い試合になるとは思ってもいなかったのでパブリックビューイング会場で試合を見て本当に良かったです。
ホテルのテレビで試合を見ていたらここまで盛り上がれませんでした。
PK戦ではロシア代表が惜しくも敗れてしまいましたが、この敗戦の後でもロシア人のサッカーファンの人達はとても悔しがっていましたが荒れること無く、むしろ良くベスト8まで勝ち抜いた、良くやった、ありがとう的な雰囲気でした。
試合後にパブリックビューイング会場を出る行列に並んでいた時に、どこかのロシア人サポーターが「スパシーバ」(ロシア語のありがとう)というフレーズが入ったチャントを歌いだし、周りもそのチャントに反応して歌い出してとても良い雰囲気でパブリックビューイング会場を後にしました。
パブリックビューイング会場を後にしてすぐに日付が変わりました。21時キックオフでPK戦まで行ったので随分帰りが遅くなっています。
この日はサンクトペテルブルクの空港から始まり、国内線で早朝にカザン入りしてカザン空港で野宿して仮眠を取り、カザン市内の街歩きをしてからホテルで仮眠を取ってパブリックビューイング会場でワールドカップ準々決勝のロシア対クロアチア戦を観たという盛りだくさんの1日でした。
サンクトペテルブルクというロシアを代表する世界的な観光都市からカザンへと来たわけですが、カザンはカザンでユニークな雰囲気があり街歩きが楽しかったです。翌日はカザンに終日滞在します。