県民共済住宅では間取りが確定した後の契約後に照明計画の打ち合わせを現場監督と行う様ですが、コーブ照明やコーニス照明の様な間接照明(建築化照明)を取り入れたい場合は天井を折り上げたり折り下げたりする関係上、設計時に収まりを考慮しなくてはいけません。
私は間接照明をところどころ取り入れたいと思っているので色々情報を集めているのですが、その中でオーデリックの「間接照明カタログ vol.3」というWEBカタログがとても役に立ったのでシェアさせて頂きます。このカタログはただの照明器具の写真や型番と価格が載っているだけのカタログではなく、間接照明の数多くの実例付きで壁の寸法なども記載されており、更にカタログの後半には間接照明マニュアルまである超親切なマニュアルとなっています。
県民共済住宅ではパナソニックとオーデリック、東芝ライテックの3社から照明器具を選べますが、間接照明を取り入れたいけどオーデリック以外のメーカーを考えている人もこのカタログは必見です。
オーデリックの「間接照明カタログ vol.3」の施工例
オーデリックの「間接照明カタログ vol.3」の最初の方に様々な間接照明の施工例があります。このカタログで取り上げる間接照明はコーブ照明やコーニス照明と言ったいわゆる「建築化照明」と呼ばれる物です。
一般的に間接照明と呼ばれるダウンライトやブラケットライトで壁を照らすという様な建築化照明ではない間接照明はこのカタログでは取り扱っていません。
カタログ上の施工事例では上の写真の様に施工写真と使用した製品の型番、定価の価格と収まりが記載されています。特に収まりの部分の寸法がそれぞれ非常に詳しく掲載されているので非常に有用な施工例になっています。
施工例はそれぞれ部屋別に数例ずつ掲載されていてイメージが湧きやすいです。上の写真みたいなコーニス照明はウォールウォッシャータイプやユニバーサルタイプのダウンライトやスポットライトの光を壁に当てるよりも光のムラがないので美しく見えます。
玄関は色々間接照明を仕込めるポイントです。上の写真の様に正面の壁にエコカラットの様な立体的な壁パネルを貼るだけではなく、エコカラット側の壁の天井を折り上げてコーニス照明を仕込んで壁を演出するとエコカラットの立体感が増して奥行き感も出てとても良い感じになりそうですね。
結構良い感じなので私も取り入れたいと思いましたが、私の間取りだと玄関正面にはクローゼットの扉が来て左右の壁も引き戸のドアと下駄箱になるので残念ながらこの手法は使えません。
上がり框に間接照明を仕込むという方法もあります。県民共済住宅だと上がり框の下のスペースがあまり無さそうなのであまり効果的ではないか、もしくはそもそも設置出来ないかもしれません。下駄箱の下は普通に取り入れられそうなので私も上の写真と同じ様な感じでやってみようかなと思っています。
窓際の天井を折り上げたりカーテンボックスを設置してその内側に間接照明を仕込む方法もあります。私はこの手法を取り入れるつもりです。
オーデリックの間接照明用の照明器具
建築化照明を行うならこのスタンダードタイプが基本です。こういうタイプのライン照明を設置場所の寸法に合わせて連結して使用します。オーデリックのスタンダードタイプの照明は演色性(Ra)が94と高いのでより自然光に近い色味になるのが良いですね。スタンダードタイプはライン照明の中でも安い部類ですが定価は高いです。調光や調色が出来る物はもっと高いので間接照明を取り入れようとすると壁や天井の造作費用も含めて結構な追加費用になりそうなのが欠点ですね。
コーブ照明やコーニス照明と言った建築化照明を取り入れようとするとどうしても壁や天井を折り上げ天井にする等の造作が必要になりますが、この「かんたん間接」という照明器具なら幕板を兼ねた照明器具なので壁や天井にポン付けするだけでコーブ照明やコーニス照明にする事が出来る画期的な照明器具です。
「かんたん間接」の施工例が上の写真です。左側の壁がコーブ照明、右側の壁がコーニス照明になっています。流石にこの照明器具を使わずに壁や天井を造作した方がキレイに収まりますが簡易的に間接照明を取り入れたいならこの照明器具を使うのはありだと思います。
もう一つは壁を照らすコーニス照明で使えそうな壁の広範囲を照らすウォールウォッシャータイプの照明です。普通の間接照明用のライン照明だと壁の上の方しか明るくなりませんが、ウォールウォッシャータイプのライン照明だと壁の下の方まで明るくすることが出来ます。使いどころは難しそうですが、場所によっては非常に効果的な照明器具だと思います。
カタログの後半にある間接照明マニュアルは特に必見
このオーデリックの「間接照明カタログ vol.3」の最後の方に間接照明マニュアルがあります。このマニュアルが凄く親切に出来ていて間接照明の基本となる照明計画の基礎知識と手法ごとのポイント、明るさの目安と言った3つの項目でそれぞれ非常に詳しく解説されています。
このマニュアル部分はオーデリックの総合カタログには載っていないので間接照明カタログを見る必要があります。
まずは間接照明でどこをどう照らすかの基本的な解説があります。
コーブ照明は壁から光源を見せずに天井を照らして、コーニス照明は天井から光源を見せずに壁を照らす感じです。コーブ照明は天井を照らすので天井が高く見える効果がありますが、欠点として埃が溜まって掃除が面倒という面もあります。コーニス照明は壁を照らすので奥行き感が出ると思います。
間接照明を照らす面についての解説もあります。こうして見るとエコカラットやグラビオエッジの様な凹凸があり立体感がある壁パネルとコーニス照明の相性がとても良い事がわかります。
注意点はキッチンパネルやタカラスタンダードのホーロー系のパネルの様な反射する素材の壁材や、県民共済住宅標準の水まわりのハピアフロアの様なテカテカしている床材と間接照明は光源が映り込んでしまうので間接照明との相性が悪そうです。
器具の収め方やシームレスな光の作り方の解説もあります。この辺の基本を知らないと残念な間接照明になりかねないのでこういう事を書いてくれているのはとても助かります。
コーブ照明のポイントもカタログで詳しく説明してくれています。コーブ照明を考えると開口部を何mmにするかが悩みどころだと思いますが開口部の高さ別の写真まであるので仕上がりがイメージしやすいですね。
コーニス照明も詳しく手法が解説されています。私は寝室やLDKの窓際でコーニス照明を取り入れようと思っているのでとても参考になりました。
照明手法別の明るさ比較までカタログに掲載されています。こういう画像付きの資料があると具体的な明るさが想像できるので明るすぎたとか暗すぎたという失敗も防げそうです。間接照明だけだと暗くなる所が出てくるのでそういう場合はダウンライト等の別の照明も用いて暗すぎず明るすぎずで空間内に上手く陰影を付けられたら最高ですね。
最後に
オーデリックの「間接照明カタログ vol.3」と「総合カタログ 2021-2022」から何ページか抜粋しましたが、間接照明カタログ vol.3は180ページ以上あるのでより多くの施工例や製品情報、マニュアル等が掲載されています。間接照明カタログ vol.3は2019年の発行なのでカタログ内の価格や製品情報は総合カタログの方が最新になります。
また、オーデリックだけでなくパナソニックでもこの様な照明計画を考える上で非常に役に立つカタログがあります。照明計画を考える前に「すまいのあかり設計集 2018 基礎編」は必ず目を通しておいて、間接照明を使いたいなら「すまいのあかり設計集 2018 事例・テーマ編」も見ておくと役に立つと思います。特に間接照明をDIYするつもりならこれらのカタログは必見です。
私はまだ契約前なので照明計画を考える段階ではありませんが、建築化照明を使うなら考えなければいけない所が出てきています。照明計画は奥が深いので予めどういう明かりをどこに置けばどの位明るくなるのか位はイメージ出来るようにこれらのカタログを読み込んでしっかり勉強したいと思います。
実際にオーデリックやパナソニックでライン照明を入れて間接照明にするか、あるいは家の引き渡し後に自分でLEDテープライトを使って間接照明をDIYするかは悩みどころです。間接照明は仕込む予定の場所をコンセントとスイッチ含めて造作しておいて市販のLEDテープライトでDIYすれば折り上げ天井等の造作費用+1万円以下で実現出来そうな感じもするのでかなり悩みます。
それにしてもオーデリックの総合カタログの分厚さと重さには度肝を抜かれました。カタログ請求から24時間しないで家に届いたのは驚きでしたが、ページ数が1,000ページ超えです。一応一通りチェックしましたが、これだけ分厚いとカタログを見ようという気が削がれるので気合を入れてカタログを見る必要がありますね。正直こんなに分厚いと照明にあまり興味がない普通の人にとっては苦痛だと思います。
私は今の所照明器具メーカーはオーデリックが第一候補です。理由は同じ様な照明器具でもパナソニックよりもオーデリックの方が定価が安い事が多いのと、演色性(Ra)が高い照明が多いのと、後はデザインの好みです。パナソニックもデザイン性が高く、特にHomeArchiシリーズ辺りはとても惹かれるのですがやや価格が高いので私は多分オーデリックを選ぶと思います。
ただ、センサーやライコンだったりIoT系の機能はまだ調べていないので最終的にどうなるかはまだわかりません。照明計画は奥が深いので間取りと同じ様に色々考えて良いものにしたいと思います。