県民共済住宅で建設中の私の家で外部業者による気密測定を実施しました。私の家はまだ工事中なので今回の気密測定は中間気密測定になります。
気密測定は一般の施主からの依頼も受けてくれる埼玉県熊谷市の有限会社オカトミさんにお願いしました。県民共済住宅では気密測定を行わないので施主の私が県民共済住宅の現場監督に気密測定を入れる許可を取ってから気密測定業者を探して気密測定をお願いして、監督と日程調整を行って気密測定を実施しました。
県民共済住宅はコスパ重視の地場(埼玉県内限定)のローコスト住宅を作る工務店という位置づけで決して高気密高断熱を謳っている訳ではありません。在来工法に床断熱、壁は袋入りグラスウールの充填断熱、天井(屋根)は天井断熱とそんな「普通」の住宅会社で施主が最大限高気密化すべく努力した結果のC値(相当隙間面積)は果たして幾つだったのでしょうか?
県民共済住宅で建設中の私の家のスペック
- UA値0.41(県民共済住宅オプションの高断熱仕様)
- 木造軸組構法(在来工法)
- 床断熱(剛床工法)
- 充填断熱(袋入りグラスウール)
- 天井断熱(防湿シートあり)
- ユニットバスは2階設置
- 総二階
- サッシはAPW330(アルミスペーサー、アルゴンガス入り、遮熱Low-Eペア)
- ドアはヴェナートD30(D2仕様)
私の家のスペックは大雑把に言うと上記のような感じです。在来工法で床断熱、袋入りグラスウールの充填断熱、天井断熱とローコスト住宅では一般的な断熱仕様と言うか工法だと思います。UA値は過去記事の「県民共済住宅で実際に契約した間取りのUa値を計算」で自分で計算しました。
高気密高断熱住宅を作る工務店は基礎断熱に屋根断熱、壁は袋入りではないグラスウールに防湿シートに加えて外断熱のネオマフォームみたいな組み合わせが一般的です。
気密測定のタイミング
気密測定をいつ行うかについてはかなり迷ったのですが、木工事終了後でクロスが張られる前の一応全ての穴が開いているタイミングにしました。
- 床の断熱
- 上棟
- 壁の充填断熱
- 壁の石膏ボード
- 天井の断熱材
- 天井の気密シートと石膏ボード
- コンセントや配管の穴あけ
- クロス貼り
- コンセントや照明の設置
- 床張り
- 完成(引き渡し)
県民共済住宅ではこの様な順番で施工が進んでいきます。普通のハウスメーカーや工務店の場合は壁の断熱材を入れた後に屋根の断熱工事に入りますが、県民共済住宅の場合は壁に石膏ボードを入れて塞いでしまうので壁の断熱材の手直しが出来ません。
私の希望としては手直しが効く段階の中間検査がしたかったので7と8の間のタイミングで中間検査を入れました。このタイミングなら全ての穴が開いていて、クロスや床が張られる前で内壁側のコンセントカバーも付いていない段階になり、気密ラインが確保されつつ一番C値が悪くなる段階だと思っていたのでこのタイミングで気密測定を入れました。
ただ、この段階だと既に壁も天井も石膏ボードが張られた後になりもう手直しが出来ないタイミングだったのでこれなら完成後に気密測定を行った方が良かったと思います。これは気密測定を申し込もうとした着工前のタイミングで県民共済住宅の施工の流れをきちんと把握していなかった私が悪かったと思います。
気密測定当日
当日は気密測定を行う1時間以上前にオカトミさんから現場に到着したとの連絡があり、準備があるので工事用の鍵の番号を教えて欲しいと電話があり、監督に工事用の鍵の番号を聞いてオカトミさんにお伝えして事前に準備をして頂きました。
朝10時から気密測定を行う予定でしたが、私が現場に到着した9時40分頃には給気口や排気口の穴が塞がれていて大体の準備が完了していました。
私の担当の県民共済住宅の監督にも一応同席をお願いしていたので監督も既に現場入りしていて、気密測定の事以外でコンセント周りについての打ち合わせもちょこっと行いました。
監督は気密測定の現場に立ち会うのはこれが初めてとの事でオカトミさんと色々話していました。私も当然ながら気密測定は初めてです。
オカトミさんから準備が整ったとの事で1回目の測定が始まります。
気密測定は最初に50パスカルの圧力をかけて、ここで圧力差が出ないとエラーになり測定不能となります。測定不能になる家はC値が物凄く悪いか気密測定を行う上で塞ぐべき箇所を塞ぎそこねているかのどちらかになりますが、無事エラーにならずに圧力差が出たのでそのまま気密測定を実施しました。
気密測定中は室内が負圧になるのでコンセントの穴の様な隙間から隙間風が感じられました。県民共済住宅では断熱材が入っている外壁の室内側のコンセントには気密コンセントボックスカバー(防気カバー)が付きますが、内壁側のコンセントは防気カバーが付きません。
なので建物内に隙間があるとこういう所から隙間風が感じられます。
一番隙間風が吹いていたのが書斎のLAN配線用にCD管を集めているコンセントでした。ここのCD管は光回線の引き込み用に1本と監視カメラのPoE接続用に1本が建物外に貫通している部分です。
引き渡し後にLAN配線をDIYする際にCD管の入口にも気密テープを貼って気密処理を忘れずに行おうと思います。
1回目の気密測定結果は?
初回の測定が終わり、気になる結果はなんとC値2.1でした。この値を見てオカトミさんはこういう普通の住宅会社だとこれでも良い方と言っていましたが、今まで現場を見ていて気密処理はそれなりにきちんと行っていたのでC値2.1はあまりに悪すぎると思ったので確認した所、気密測定を行う上で塞いでおくべき所が塞がれていない箇所が幾つかありました。
本来塞ぐべき外壁側に出ているCD管の穴がそのままだったのと、施工途中でまだ器具が付いていない2階天井のセントラル第3種換気システムの排気口の穴がそのままだったのでその箇所を塞いで再測定します。
塞ぐべき所は塞いだので2回目の測定を行います。
2回目の気密測定中はCD管のコンセント部分からは隙間風が感じられなくなりました。2階の他のコンセントからも隙間風が感じられなくなっていて明らかに気密性が向上した感じがありました。
1階部分のコンセントも確かめようと思ったタイミングで気密測定が完了しました。2回目は明らかに手応えがあったので測定結果が楽しみです。
気になるC値の測定結果は?
2回目の測定結果は流石に1回目の測定値よりは大幅に改善したものの、C値1.0でこの結果は決して悪くはないけど特別良くもないという喜ぶべきか悲しむべきかわからないような微妙な結果でした。大工さん達も私も隙間を気密テープで色々塞いだ事もあり本音としては0.7位は行ってて欲しかったですが、現実は甘くないですね。
ただ、県民共済住宅は配管や配線の貫通部分が多い天井断熱や床断熱、袋入りグラスウールの充填断熱という気密を取ろうとすると不利な断熱工法を採用している中での1.02はそれなりに良い結果だと思います。そこそこ良い結果にも関わらずあまり喜べなかったのは高気密高断熱についてYouTubeやネットで勉強していくうちに私の中での期待値が上がりすぎていたというのもあります。
最大限高気密高断熱を目指した結果のC値1.02なので物足りない所もありますが、大工さんや監督も本当に頑張ってくれたしこれからクロスや床が張られて玄関ドア下の隙間がモルタルで塞がれたら最終的なC値は改善すると思うので良かったと思います。
総相当隙間面積(αA)は115cm2なので家全体で10cm角の隙間がある感じです。n値は1.61とやや大きいのでもしかしたら気密測定時に塞ぐべき所を塞ぎきれていなかった可能性もあります。
断熱施工中に感じた問題点
施工中から思っていましたが、天井断熱だと配線の貫通部分がとても多いのでこれは結構不利と言うか、高気密高断熱を目指す工務店のほぼ全てが屋根断熱を採用している理由が実感レベルでわかりました。
屋根断熱の場合はこれらの配線やCD管は全て気密ライン内に入るので気密処理を行う必要がありませんが、天井断熱だと気密ライン外の屋根裏から気密ライン内の室内へと電気配線やCD管が貫通するのでこういう部分を全て気密テープで塞ぐ必要があります。2階の天井照明、壁付け照明、コンセントがある所は全てこういう風に配線が通るので完璧を目指すのは本当に大変というか正直無理がありました。しかも大工さんが頑張っても電気屋さんの意識が低いと気密が台無しになるのが更に難しい所です。
私の大工さんは正直当たりの大工さんで丁寧に家を作って頂いて本当に感謝していますが、流石にこういう隙間を全て完璧に塞ぐのは無理があると思うので県民共済住宅はもっと簡単に気密が取れる断熱工法を採用してほしいなと思います。多分吹付け断熱にしなくても屋根断熱ならこういう配線の貫通部分の問題がなくなるのでもっと良い数値が出たと思います。
実際の測定中に手をかざしてみて気流感を確かめてみた感想としては分電盤周りの気流管はあまり気になりませんでした。ここに関しては最初から要注意ポイントだと思っていたのできちんと塞げていたのだと思います。
最終的な測定値
この記事をアップした後にオカトミさんから気密測定報告書がメールで届きました。正確なC値は1.02です。
気密測定をしてくれた方が言っていたのは、C値1が最初の壁と言うかここを切れるのは普段から気密測定をしていて自社の大工で施工する年間数棟位建てる小規模の工務店という事でした。
年間何十棟も建てる会社で外注の大工さんを使っていてC値1なら良い方だと思いますという評価でした。
最後に
今回の気密測定はあくまでも中間気密測定ですがC値1.02という値が出ました。これを見て結構良い値だと思うか高気密高断熱を目指してこの程度かと思うかは人それぞれだと思いますが、私はまずまずと言うか高気密高断熱を謳っていないローコストな県民共済住宅でこれなら悪くないと思います。少なくともショックで頭を抱えたり、県民共済住宅で建てなければ良かったと後悔する程悪い数値ではありません。
県民共済住宅標準の第3種ダクト式換気システムが機能すると言われているレベル(C値1.5未満)のC値なので良かったです。
冷静になって考えてみると、高気密高断熱住宅が欲しいけど予算的な問題で県民共済住宅で家を建てようと決めた1年前は気密性に関しては完全に諦めていたのでその時の心境を思えばC値1.02なんて「こんなに高気密なの?」と思える位の良い数値です。高気密高断熱系のYouTubeやブログを読みすぎて期待値が上がりすぎて予算がプラス1,000万円クラスのスーパー工務店を基準に考えていたからこの数値でも物足りなく感じてしまっていました。
実際、太陽光やらエコキュートやら高断熱仕様やらのオプションをかなり入れてUA値が0.41で35坪で税込2,000万円以下で収まっているので冷静になって支払った価格を考えるとC値1.02は悪くないと言うかかろうじて高気密と言える値なので満足出来ました。流石にC値が1回目の測定値の2.1だったらこれだけ気密に配慮してこれかとガッカリしたと思います。
私の家はこれでも気密工事に関しては現場の協力もあり県民共済住宅の標準レベルを超える施工になっているのと、気密の穴になりがちなユニットバスの1階設置を避けてユニットバスを2階に設置したり、サッシも引違い系窓を1箇所も採用しなかったり、総二階で建物の入隅、出隅を最小限にしたり、下屋やルーフバルコニーみたいな施工が難しい箇所も排除してこの数値なので恐らくですが、県民共済住宅で以前存在していた吹付け断熱オプションを採用していない家の中ではトップクラスのC値になっているはずです。
過去記事では施工中の写真も載せているので、それでこの値かというのを実感して頂けると幸いです。C値0.5以下の本物の高気密高断熱住宅を求める施主さんは私の屍を踏み越えてより良い家を建ててください。C値1以下の高気密住宅なら県民共済住宅でも施工次第でクリア出来る可能性があると思います。
この記事が高気密高断熱住宅が欲しいけど予算が厳しいから県民共済住宅はどうだろう?と思っている人や県民共済住宅のC値ってどれ位だろうと思う人達の参考になれば良いと思います。一応私としては「県民共済住宅で高気密高断熱を目指す」という家づくり当初の目標は辛うじて達成できたと思っています。
気密測定の相場は1回税抜5万円前後ですが、今回気密測定を依頼した有限会社オカトミさんは税抜35,000円でプラス距離に応じた交通費なので税込41,800円と非常に良心的な価格で気密測定が出来ました。気密測定は高気密高断熱を目指す施主にとっても一大イベントなのでお金を出す価値はあると思います。何より「気密測定します」という一言で現場の施工が丁寧になる可能性まであるので気密測定費用の4万円を支払った価値は確実にありました。特に施主ブロガーの方なら良い記事ネタにもなるので是非気密測定やってみてはいかがでしょうか。