2021年度契約の県民共済住宅で最大限高気密高断熱になるように工夫して家づくりをした我が家ですが、窓サッシは県民共済住宅標準仕様のYKKAPの樹脂サッシのAPW330（Low-e遮熱ペアガラス、アルゴンガス入り、アルミスペーサー）を採用しました。
最大限断熱に拘っているのにアルミスペーサー？と思われた方もいるかと思いますが、これは県民共済住宅の仕様というか制約でオプション設定のない外皮性能に関わる部分の変更は一切不可という縛りがあったため樹脂スペーサーに出来ませんでした。
県民共済住宅で2021年契約当時の窓サッシの選択肢は標準でYKKAPの樹脂サッシのAPW330かLIXILのアルミ樹脂複合サッシのサーモスX（年度後半からサーモスII Hにグレードダウン）の2択で、オプションでトリプルガラスのAPW430にグレードアップしたり、APW330の仕様を変えてトリプルガラスにしたり、アルミスペーサーから樹脂スペーサーに変更したりは一切出来なかったためです。
もし樹脂スペーサーが採用出来て差額が1,000～3,000円程度だったら絶対に選ばなかった熱を通しやすいアルミスペーサー仕様でこの寒い冬を迎えているわけですが、窓は結露しているのでしょうか？
私が選んだ窓サッシはYKKAPのAPW330
当時選べたサッシで一番高性能（高断熱）だったのはU値1.37（FIX窓、遮熱Low-E、アルミスペーサー、アルゴンガス）のYKKAPのAPW330で、樹脂サッシのペアガラスです。
断熱性能と気密性能をとにかく上げたかったのでAPW330のカタログ上ではU値が一番小さいFIX窓と縦すべり出し窓をメインで採用し、引き違い窓は1つも採用しませんでした。
窓ガラス下部の端付近で結露あり
写真は1月31日の朝7:30頃に撮影した2階LDK南側の窓ですが、窓ガラス下部の左右の端部分に若干結露が見受けられますが、樹脂のフレーム部分には結露は見られません。
気象庁のサイトによればこの日のさいたま市の気温は最低気温が0.3℃位なので特別寒い日ではありません。
この窓は2階のLDK南側にある縦すべり出し窓で、夜間はハニカムシェードを全部下げてその上からレースカーテンと同じ位薄いリネンカーテンをかけた状態で、朝起きて結露していないか確認するためカーテンとハニカムシェードを外した状態で撮影したものです。
LDKには1台気化式の加湿器を置いて夜間も加湿器を動かしっぱなしにしていて、更にハニカムシェードを完全に下した状態なのでかなり結露しやすい状況でしたが、相対湿度は40%台と乾燥気味でした。
この程度の結露なら許容範囲内と見るか、1滴でも水滴が付いているのはあり得ないと見るかは人それぞれだと思いますが、私はこの位のそのまま放置しておけばすぐ乾く程度の結露なら別に良いかと思っています。
FIX窓は他の窓種よりも結露に強い
窓種別で見てみるとFIX窓は結露している部分が極めて小さいことが分かります。このFIX窓はLDKの連窓風の窓で設置位置や窓のサイズは縦すべり出し窓と同じですが、やはり開かない窓なので気密性が良いのか結露している範囲が縦すべり出し窓と比較して少なかったです。
FIX窓は開けることが出来ないですが、同サイズの縦すべり出し窓等の他の窓種と比べて窓全体に占めるフレーム面積の割合が小さく、窓ガラスの面積が大きいのでより多くの光を取り込める上、他の窓種よりも安価で断熱性能、機密性能も最高という大きなメリットもあります。
サーモグラフィーでほぼ結露していないFIX窓と若干結露がある縦すべり出し窓を撮影してみると、FIX窓の一番冷たい部分が12.8℃で縦すべり出し窓は11.5℃と1.3℃の温度差があり、この僅か1.3℃の差が結露量の違いとして現れています。
上のサーモグラフィーの画像は合成が若干ズレていますが、一番冷たい濃い紫色の部分は窓ガラス下部になります。
FIX窓と縦すべり出し窓ではAPW330のカタログ値上のU値は1.37（アルゴンガス、アルミスペーサー）でどちらも同じですが、実際は開かないFIX窓の方が断熱性能が高い事がわかりました。
結露させたくないならスペーサーを樹脂にすべき
家の建設前に比較的安価に実現できる結露対策として有効なのは窓のスペーサーと呼ばれる部品（上の写真のガラスとガラスの間にある銀色部分のパーツ）を極めて熱を通しやすいアルミ素材で出来ているアルミスペーサーから熱を通しにくい樹脂素材で出来ている樹脂スペーサーに変更すると良いと思います。
私も樹脂スペーサーにしたかったのですが、2021年度契約時点の県民共済住宅では窓のスペーサーの変更は不可能でした。
アルミスペーサーから樹脂スペーサーへの変更はカタログの定価ベースで1つの窓につき1,000～2,000円増で出来ると思いますが、ハウスメーカーや工務店によってはそもそもの仕様変更が出来なかったり、県民共済住宅みたいに同じ仕様の窓を大量に買い付けることでコストを抑えている会社は変更不可、もしくは割引された金額では仕入れられずに定価での仕入れになり、差額が数万円みたいな事もあるのでどのHMや工務店で使えるテクニックとは言えませんが、担当の設計士や営業に窓のスペーサーはアルミなのか樹脂なのか聞いてみて、アルミだったら樹脂に変えられないか差額の見積もりを出して貰いましょう。
ただ、準防火地域では樹脂スペーサーが使えない事もあるのでその辺は要確認です。
APW330でも大きな不満はない
寝室は夫婦2人と子供1人で寝ているので普通だと湿度が高くなりやすい環境ですが、この寝室は加湿器なしで湿度40〜50%位で丁度良い湿度になっているのと、窓にハニカムシェードをつけておらず、カーテンも薄いリネンカーテン1枚だけなので窓と室温の差がほとんどなく、窓だけ極端に冷たくなるような状況でないので寝室の窓は結露しにくいと思います。
2階LDK南側の窓は結露がありましたが、同日同時間帯の1階南側の寝室の窓は結露がありませんでした。
実際に春から冬まで1年近くAPW330の樹脂ペアガラスの家に住んでみましたが、今のところ大きな不満はありません。
サーモグラフィーで室温を計った時も窓付近は壁よりは冷たいですが、それでもそこまで冷たいわけではなく、コールドドラフトを感じて窓際が異常に寒いみたいな事はありません。
スペーサーが熱を通しやすいアルミスペーサーではありますが、かなり寒い日で結露もこの程度なので県民共済住宅でAPW330が標準で選べて良かったです。
予算があるならAPW430のトリプルガラス
2021年契約当時はAPW430のトリプルガラスはまだ入れられなかったので私はトリプルガラスに出来ませんでしたが、もし予算があってアップグレード可能ならトリプルガラスにした方が更に断熱性能が上がり、結露しにくくなるので良いと思います。
ただ、見ての通り樹脂ペアガラスのAPW330でもそこまで結露するという訳ではないので、予算に余裕があり、断熱性能をとにかく上げたい、絶対に結露させたくないならAPW430にアップグレードしましょう。
個人的には樹脂サッシのAPW330が標準で採用出来る場合はAPW430にアップグレードするために予算を使うよりも建物全体の断熱性能を強化（特に壁の付加断熱）するために予算を使った方がUA値を小さくするためのコスパは良いと思います。
私の窓の結露を見ると、フレームではなくガラス部分に結露があったのでこれがトリプルガラスになればガラス部分の表面温度が結露するほど下がらなかったと思うので結露は起きなかったと思います。
最低気温が3℃位の日だと結露せず
最低気温が3℃台とそんなに冷え込まなかった2月2日の朝に縦すべり出し窓が結露していないか確認したところ、嬉しいことに結露はありませんでした。
恐らく私の家で窓が結露するのは最低気温が氷点下〜0℃付近に落ち込む厳冬期の朝だけで、結露する量もごく僅かなので結露水が原因で窓枠がカビたり腐ったりするリスクはほぼありません。
最低気温がマイナスだと結露量が増加
気象庁のWEBサイトでさいたま市の朝7時の気温が-0.8℃だった2023年2月16日の7時半過ぎに窓を確認してみると、窓ガラス下部の結露水の量が増えています。
結露していたのはガラス面だけで樹脂枠は結露していませんでした。
APW330のアルミスペーサー、アルゴンガス入りの遮熱Low-Eペアガラスの私の家の場合、窓ガラス下部が結露し始めるのが外気温が3℃未満で、外気温が1℃下がる毎に結露水の量が微増していくような感じです。
結露しているのはガラス面の下部のスペーサー付近なので、もし窓のスペーサーがアルミスペーサーではなく樹脂スペーサーだったらもう少し結露水が減っていたはずです。
ただ、マイナス1℃付近でこの程度なら結露水を放置しても数時間で自然に蒸発してカビが生える事はありません。
最後に
県民共済住宅でYKKAPのAPW330を採用して建てた私の家では真冬の寒い日の朝（気温2℃以下の時）に少しだけ結露し、最低気温が5℃位あるそこまで寒くない日は全く結露していませんでした。
ただ、結露していると言っても窓ガラス下部の左右の端にほんの少し水滴が付いているだけという事もあり、特に拭いたりせずとも昼頃には自然に乾いている事もあり現状結露には悩まされていません。
残念ながらこの記事に使用した窓の写真を撮った日は最低気温が0℃台でそこまで寒い日では無かったのでこれから最低気温が-3℃とかそれ以上寒い日に写真を撮れたら追記しようと思います。
APW330は樹脂サッシですが、樹脂製の窓のフレーム部分に結露が無かったのは流石樹脂サッシだと思いました。以前住んでいた家はアルミサッシのペアガラスだったので窓のフレームがガッツリ結露していた事を考えると樹脂サッシを選んで良かったと言うか、結露対策をするならアルミサッシは問題外で最低でも樹脂ペアガラスのサッシが必須だと思います。
本格的に結露対策をするならAPW330のスペーサーを樹脂スペーサーにするか、予算次第でAPW430のトリプルガラスにアップグレードすれば多分結露で悩まされることは無いと思います。
なお、私の家はエアコン暖房のみなので湿度が低い（30～40%台）ですが、石油ストーブやガスストーブの様な熱を発する時に加湿される暖房器具を使っている家やガッツリ加湿器で加湿できている家ではもっと湿度が高くなると思うので室温にもよりますがもう少し結露が出ると思います。