Ua値を計算したついでに一次エネルギー消費量を計算しましたが、その際に給湯器毎のエネルギー消費量が算出出来たので県民共済住宅で採用可能な給湯器毎に実際どれ位のエネルギー消費量の差があるのかと、年間の電気代、年間のガス代、年間の灯油代がどれ位異なるのかをエネルギー消費計算プログラムを利用してシミュレーションしてそれぞれ比較しました。

給湯器選びが難しいのは、ガス会社はエコジョーズに有利な条件で計算してエコジョーズを推すし、電力会社はエコキュートに有利な計算条件でエコキュートを推すし、灯油販売の会社は灯油の給湯器を推すしで計算の基準がそれぞれ異なりどれが効率的なのかがいまいち良くわかりません。

このシミュレーションではそれぞれ同じプログラムを使用しているのでフェアな条件での比較になっています。忖度なしの計算なので給湯器選びの参考になればと思います。

私はもう既に仕様選定が終わり契約した後なのでエコキュートの導入を決めてしまっていますが、これから仕様選定を行う施主さんにとっては地味に知りたい内容だと思うので記事にしてみました。

以前の記事「県民共済住宅で導入出来るエコキュートやその他の給湯器」では県民共済住宅で選べる給湯器の一覧をまとめただけでエネルギー消費量の違いや電気代・ガス代・灯油代を算出しての光熱費の試算までは出来なかったので今回の記事は過去の記事の補完的内容になります。

シミュレーション方法について

シミュレーションの前提条件
シミュレーションの前提条件

シミュレーションに使用するプログラムは住宅の一次エネルギー消費量を計算するエネルギー消費計算プログラム住宅版の詳細入力画面でver3.1.0の最新版を使って計算しています。このWEBアプリケーションは登録無しで誰でも利用可能です。ZEH住宅の認定でも広く使われている公的なWEBアプリケーションなので数値の信憑性は高いと思います。

前提条件として地域区分は埼玉県の大半が含まれる6地域で家の大きさはこのプログラムの標準の数値の120.08m2(約36.3坪)のままで特に変更していません。家の大きさは多分全国平均位だと思います。

シミュレーションの前提条件

シミュレーションの前提条件として、全て県民共済住宅の標準仕様に則った値を入力し、給湯器の部分のみその機種に適した入力値に変えてその他の値は変更せずにシミュレーションしています。

外皮性能は県民共済住宅の標準仕様の断熱材を入れた前提になっていて、窓とドアはアルミ樹脂複合サッシの仕様となる2.33W/(m2・K)の値を入れて、浴槽は1階に設置するという至って普通の家の性能を再現しています。今回は給湯エネルギーの比較がメインなので外皮性能の数値はあまり関係がありませんが、一応前提条件はこの様になっています。

上の画像は標準仕様のエコジョーズの時の入力値です。浴槽は県民共済住宅では高断熱浴槽が標準で入るのでそれを考慮しています。水栓も標準仕様に則って選択しました。

給湯設備なしの消費エネルギー量

給湯設備なしの消費エネルギー量
給湯設備なしの消費エネルギー量

まずは給湯設備をなしにした場合の計算結果です。一次エネルギー消費量の給湯欄が0MJになっています。

各給湯器の設計二次エネルギーの消費電力量、ガス消費量、灯油消費量の値から給湯設備なしの設計二次エネルギー消費量の消費電力量、ガス消費量、灯油消費量をそれぞれ引き算すれば各給湯器の消費電力量を求めることが出来ます。

消費電力量が5,161kWh、ガス消費量が3,852MJ、灯油消費量が0MJが給湯設備以外の消費エネルギー量になります。この数値を利用して各給湯器の設計二次エネルギー消費量を算出します。

標準のガス給湯器(エコジョーズ)

標準仕様の24号エコジョーズ給湯器の消費エネルギー量
標準仕様の24号エコジョーズ給湯器の消費エネルギー量

まずは標準仕様のエコジョーズの場合の一次エネルギー消費量と設計二次エネルギー消費量になります。エコジョーズの場合はエネルギー消費効率94.3%という標準のガス給湯器のカタログ値を入力して算出しました。

見るべき値は一次エネルギー消費量の給湯設備の設計一次の欄と、左下の設計二次エネルギー消費量の消費電力量、ガス消費量、灯油消費量です。

標準仕様のエコジョーズだと給湯の一次エネルギー消費量が20,920MJで、この数値は小さいほど環境負荷が少なく省エネになります。

設計二次エネルギーの消費電力量が5,215kWh、ガス消費量が24,247MJ、灯油消費電力量が0Jとなります。これらの値も小さいほど省エネになります。

上の画像の設計二次エネルギー消費量の数値は給湯エネルギー以外の物も含まれているので、先程の給湯設備なしの設計二次エネルギー消費量を引き算する事で給湯設備だけの二次エネルギー消費量を算出する事が出来ます。

これらの数値や金額は後で詳しく計算して比較しやすいように表にまとめているのでそちらをご覧ください。

オプションのエコキュート

オプションのコロナのエコキュート
オプションのコロナのエコキュート

三菱電機の460リットルのエコキュート

オプションの三菱電機のエコキュート
オプションの三菱電機のエコキュート
オプションのエコキュート(三菱電機、コロナのプレミアムエコキュート)の消費エネルギー量
オプションのエコキュート(三菱電機、コロナのプレミアムエコキュート)の消費エネルギー量

こちらはAPF3.8の三菱電機のエコキュートの消費エネルギー量の計算結果です。

標準仕様の24号エコジョーズだと給湯エネルギーが20,910MJになりますが、三菱電機のエコキュートだと給湯エネルギーが15,504MJになるので、エコキュートの導入で25.9%程給湯エネルギーが削減出来るという事になります。

エコキュートの場合はJIS効率(APFと同じ値)を入力して一次エネルギー消費量を計算しています。

コロナのプレミアムエコキュート

コロナのプレミアムエコキュートの消費エネルギー量
コロナのプレミアムエコキュートの消費エネルギー量

こちらはAPF4.0のコロナのプレミアムエコキュートの消費エネルギー量です。

県民共済住宅で選べるエコキュートの中では最高の効率を誇るエコキュートでコロナのエコキュートの中でも最上位機種になります。

このコロナのプレミアムエコキュートは型番(CHP-HXE37AY4)を入力して一次エネルギー消費量を計算しているので一番実態に近い値が出ていると思います。

コロナの薄型省スペースタイプのエコキュート

コロナの薄型省スペースタイプのエコキュートの消費エネルギー量
コロナの薄型省スペースタイプのエコキュートの消費エネルギー量

こちらはAPF3.0のコロナの省スペースタイプのエコキュートです。貯湯タンク容量が370リットルの機種と460リットルの2機種が県民共済住宅のオプションに用意されていますがどちらもAPFが3.0で同じだったので消費エネルギー量も同じと判断しました。厳密には370リットルの方が消費エネルギー量が少なく電気代も若干(年間数十円〜数百円)位安いと思います。

コロナの寒冷地仕様(370リットル)のエコキュート

コロナの寒冷地仕様(460リットル)のエコキュートの消費エネルギー量
コロナの寒冷地仕様(460リットル)のエコキュートの消費エネルギー量

APF3.3のコロナの370リットルの寒冷地仕様のエコキュートの消費エネルギー量です。

埼玉県内で寒冷地仕様のエコキュートが必要なのは多分秩父地域でも特に寒い旧大滝村エリア辺りの家や山中にあって標高が高いエリアの家に限られると思います。埼玉県内の平地なら寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ必要は無いでしょう。

コロナの寒冷地タイプ(460リットル)のエコキュート

コロナの寒冷地仕様(460リットル)のエコキュートの消費エネルギー量
コロナの寒冷地仕様(460リットル)のエコキュートの消費エネルギー量

APF3.2のコロナの460リットルの寒冷地仕様のエコキュートの消費エネルギー量になります。

オプションのエコワン(ハイブリッド給湯器)

オプションのエコワン
オプションのエコワン
オプションのエコワンの給湯器での計算結果
オプションのエコワンの給湯器での計算結果

エコワンのシングルハイブリッドのふろ給湯タイプとふろ給湯・床暖房タイプの2タイプのエコワンは県民共済住宅で選べる給湯器の中でも給湯の一次消費エネルギー量が一番少ない給湯器です。

オプションのシングルハイブリッドのふろ給湯・床暖房タイプのエコワンの給湯の一次エネルギー消費量は12,596MJとなり、エコジョーズ比で39.8%も給湯エネルギーが削減出来ました。

エコワンはシングルハイブリッドのふろ給湯タイプとシングルハイブリッドのふろ給湯・床暖房タイプが選べますが、どちらの機種も消費エネルギー量は同じ数値になりました。

エコワンはRHP-R222(E)、RTU-R1600、RHBF-RJ245AW(E)という各ユニットの型番を入力して選んだ数値なのでかなり正確だと思います。

オプションの石油給湯器のエコフィール

コロナの石油給湯器のエコフィールの消費エネルギー量
コロナの石油給湯器のエコフィールの消費エネルギー量

石油給湯器のエコフィールの一次エネルギー消費量です。

エコフィールはエネルギー消費効率95.0%というカタログ値を入力して計算しました。このエコフィールに関してはオプション代がいくらになるかの情報がありません。

給湯器別の消費エネルギー量一覧

給湯器の種類型番エネルギー
消費効率
一次給湯エネルギー
消費量(MJ)
消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
灯油消費量
(MJ)
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
GT-C2462SAWX-2 BL94.3%20,92013420,3950
三菱電機460l
エコキュート
SRT-S465UAPF3.815,5041,58800
コロナ370l
プレミアムエコキュート
CHP-HXE37AY4APF4.014,4681,48200
コロナ370l
薄型省スペースエコキュート
CHP-E372AY4APF3.018,2881,87400
コロナ460l
薄型省スペースエコキュート
CHP-E462AY4APF3.018,2881,87400
コロナ370l
寒冷地仕様エコキュート
CHP-HXE37AY4KAPF3.316,8971,73100
コロナ460l
寒冷地仕様エコキュート
CHP-HXE46AY4KAPF3.217,3721,78000
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
※112,5969793,0450
コロナエコフィール
(石油給湯器)
UKB-EF471A(MP)95.0%20,83276020,090
給湯器別の消費エネルギー量

※1:RHP-R222(E)、RTU-R1600、RHBF-RJ245AW(E)の組み合わせ

一次エネルギー消費量を見てみると標準のガス給湯器が一番高く、次に石油給湯器、エコキュート、エコワンという順番で省エネになっていきます。

二次エネルギー消費量で電気消費量とガス消費量、灯油消費量がそれぞれ計算されるので、この数値を利用すればエコワンの様な電気とガスのハイブリッド給湯器のコストまで計算出来ます。

機種の型番についてはエコキュートとハイブリッド給湯器のエコワンは正しい物だと思いますが、標準のエコジョーズとオプションの石油給湯器のエコフィールはそれぞれ正確な型番がわからなかったので県民共済住宅のWEBサイトのリフォームのカタログにある機種の型番を入力しました。

電気ガス併用の条件で比較した場合

給湯器の種類消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
灯油消費量
(MJ)
年間電気代
※1
年間都市ガス代
※2
年間灯油代
※3
年間光熱費標準との
光熱費差額
オプション代
回収年数
税込365,200円
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
5420,39501,620円59,127円0円60,747円
三菱電機460l
エコキュート
1,5880047,640円0円0円47,640円13,107円27.86年
コロナ370l
プレミアムエコキュート
1,4820044,460円0円0円44,460円16,287円22.42年
コロナ370l
薄型省スペースエコキュート
1,8740056,220円0円0円56,220円4,527円80.67年
コロナ460l
薄型省スペースエコキュート
1,8740056,220円0円0円56,220円4,527円80.67年
コロナ370l
寒冷地仕様エコキュート
1,7310051,930円0円0円51,930円9,357円35.48年
コロナ460l
寒冷地仕様エコキュート
1,7800053,400円0円0円53,400円7,347円39.03年
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
9793,045029,370円8,828円0円38,198円22,549円16.2年
コロナエコフィール
(石油給湯器)
76020,0902,280円0円54,741円57,021円6,006円60.81年
給湯器別の消費エネルギー量

※1:1kWh=30円
※2:1m3(45MJ):130.46円
※3:1リットル(36.7MJ):100円

電気ガスを併用する前提で電気代単価30円、都市ガス代単価130.46円、灯油代単価100円で計算した所以上のような結果になりました。

電気代の算出方法

電気代は消費電力量(kWh)にやや高めの1kWh=30円の単価を掛け算して算出しました。再エネ賦課金が年々上昇する事を加味するとこの位かなと思います。

都市ガス代の算出方法

都市ガス代はガス消費量(MJ)に東京ガスの13Aのガスの熱量(1m3あたり45MJ)を割り算して、MJの単位をm3の単位に直してから東京ガスの一般契約料金の「20m3をこえ80m3まで」の1m3あたりの単価(130.46円)で計算しています。ガス単価は東京ガスのWEBサイトにある価格表の数値をそのまま採用しています。この計算ではガスの基本料金は上乗せしていません。

灯油代の算出方法

灯油代は灯油消費量(MJ)に灯油の熱量(1リットルあたり36.7MJ)を割り算して、MJの単位をリットルの単位に直してから1リットル100円位のやや高めで見積もっています。灯油代は年によって増減が激しいのであまり参考にはならないかもしれません。今年は特にガソリン価格が高騰しているので灯油も1リットル110円や120円位まで行くかもしれません。

石油給湯器のオプション費用の差額は情報が無いのでエコキュートとエコワンと同じ金額という前提で計算しています。多分エコキュートやエコワンよりは安い金額で入れられると思います。

この計算結果では計れないこと

こうして見るとオプションのエコワンが一番オプション代の回収が早そうですが、それでも16年かかるので標準のエコジョーズを入れるのがコスト的には何だかんだでベストのように思えます。

ただ、この計算だとオール電化の場合やプロパンガスの場合のコスト比較が困難です。そこで色々条件を変えて計算していきます。

オール電化を考慮する場合

オール電化を考慮した場合の光熱費です。オール電化にするメリットでガスの基本料金が不要になるのはかなり大きい事を考えるとガス代の基本料金は加算して計算した方がフェアだと思うのでこちらの表ではガス代に基本料金を加算しています。

なお、ガスの配管費用については計算に含んでいません。配管費用まで考えるとオプション代の回収年数が多少短くなると思います。

オール電化で深夜料金が割安になるプランの場合

給湯器の種類消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
灯油消費量
(MJ)
年間電気代
※1
年間都市ガス代
※2
年間灯油代
※3
年間光熱費標準との
光熱費差額
オプション代
回収年数
税込365,200円
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
5420,39501,620円71,799円0円73,419円
三菱電機460l
エコキュート
1,5880036,524円0円0円36,524円36,895円9.9年
コロナ370l
プレミアムエコキュート
1,4820034,086円0円0円34,086円39,333円9.28年
コロナ370l
薄型省スペースエコキュート
1,8740043,102円0円0円43,102円30,317円12.05年
コロナ460l
薄型省スペースエコキュート
1,8740043,102円0円0円43,102円30,317円12.05年
コロナ370l
寒冷地仕様エコキュート
1,7310039,813円0円0円39,813円33,606円10.87年
コロナ460l
寒冷地仕様エコキュート
1,7800040,940円0円0円40,940円32,479円11.24年
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
9793,045029,370円21,500円0円50,870円22,549円16.2年
コロナエコフィール
(石油給湯器)
76020,0902,280円0円54,741円57,021円16,398円22.27年
オール電化を考慮した年間光熱費(エコキュート電気代深夜料金プラン)

※1:1kWh=30円(エコキュートは1kWh=23円)
※2:1m3(45MJ):130.46円+基本料金月1,056円
※3:1リットル(36.7MJ):100円

電気代は深夜割引があるプランを採用する様な感じの料金で計算し直しました。エコキュートは深夜の安い電気代でお湯を沸かしますが、昼間の電力使用はゼロではないと思うので再エネ賦課金も考慮して大体23円位かなと単価を設定しています。

都市ガス代は東京ガスの一般契約料金の「20m3をこえ80m3まで」の基本料金(月1,056円)と単価(130.46円)で計算しています。

電気代の単価が安いプランに変えることが出来るとエコキュートのコスト的なメリットが強くなります。10〜12年もあればエコキュートのオプション費用の差額を回収できるような試算になりました。

エコワンと石油給湯器は差額を回収するとなると16年以上かかるので結構厳しいですね。

普通の電力プランでオール電化にした場合

給湯器の種類消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
灯油消費量
(MJ)
年間電気代
※1
年間都市ガス代
※2
年間灯油代
※3
年間光熱費標準との
光熱費差額
オプション代
回収年数
税込365,200円
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
5420,39501,620円71,799円0円73,419円
三菱電機460l
エコキュート
1,5880047,640円0円0円47,640円25,779円14.17年
コロナ370l
プレミアムエコキュート
1,4820044,460円0円0円44,460円28,959円12.61年
コロナ370l
薄型省スペースエコキュート
1,8740056,220円0円0円56,220円17,199円21.23年
コロナ460l
薄型省スペースエコキュート
1,8740056,220円0円0円56,220円17,199円21.23年
コロナ370l
寒冷地仕様エコキュート
1,7310051,930円0円0円51,930円21,489円16.99年
コロナ460l
寒冷地仕様エコキュート
1,7800053,400円0円0円53,400円20,019円18.24年
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
9793,045029,370円21,500円0円50,870円22,549円16.2年
コロナエコフィール
(石油給湯器)
76020,0902,280円0円54,741円57,021円16,398円22.27年
オール電化を考慮した年間光熱費(エコキュート電気代通常プラン)

※1:1kWh=30円
※2:1m3(45MJ):130.46円+基本料金月1,056円
※3:1リットル(36.7MJ):100円

エコキュートの電気代を普通のプランにしてガス代に基本料金を上乗せして計算してみました。

オプション費用の元を取るのにコロナのプレミアムエコキュートが12.61年、三菱電機のエコキュートが14.17年と元を取るのがかなり難しくなってきました。光熱費の節約目的でエコキュートを採用するなら1円でも安い電力プランを提供する電力会社を選ぶことや太陽光発電の導入も考えた方が良さそうです。

ガス機器のガス種類別の年間光熱費

ガス機器は一般的に都市ガスの方がお得と言われています。ネット上では県民共済住宅提携のプロパンガスは都市ガス並みに安いとも言われています。

具体的にどの位価格差があるのか検証してみました。

都市ガスは東京ガスのWEBサイトにある13Aのガス(1m3あたり45MJの熱量)で、プロパンガスは経済産業省のLPガスのWEBサイトにあるLPガス(1m3あたり99MJの熱量)の値を用いて計算しています。

プロパンガスの料金はネット上で見つけた県民共済住宅の提携ガス会社の価格と、県民共済住宅提携のアロハガスの通常価格を相場としてそれぞれのガス代で試算してみました。

ガス基本料金を考慮しない場合

給湯器の種類消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
年間光熱費
(電気+都市ガスB表)
※1
年間光熱費
(電気+都市ガスA表)
※2
年間光熱費
(電気+県民提携LPガス)
※3
年間光熱費
(電気+LPガス相場)
※4
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
5420,39560,747円61,363円100,505円
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
9793,04538,198円39,203円38,290円44,134円
ガス機器のガス種類別の年間光熱費

※1:電気代1kWh=30円+都市ガス代1m3(45MJ):130.46円
※2:電気代1kWh=30円+都市ガス代1m3(45MJ):145.31円
※3:電気代1kWh=30円+LPガス代1m3(99MJ):290円
※4:電気代1kWh=30円+LPガス代1m3(99MJ):480円

基本料金を加味しない光熱費は上記のようになります。年間光熱費には機器の電気代(1kWh:30円)の電気代とそれぞれのガス代の合計金額になります。

都市ガスの145.31円の単価の方はエコワンの場合は月のガス使用量が5.64m3位になるので東京ガスの東京地区の一般契約料金だとA表の「0m3から20m3まで」に収まる可能性が高いのでA表の「0m3から20m3まで」の単価145.31円の計算結果も用意しました。標準のエコジョーズだと月37.8m3位になり、A表の「0m3から20m3まで」の単価145.31円のプランにはどう考えても収まらないので数値は空欄にしてあります。

噂通り都市ガスが一番安い光熱費になりました。県民共済住宅提携ガス会社のプロパンガス料金もほぼ都市ガスと同じと言えます。

普通のプロパンガス料金だと結構高く付くという事がわかりました。プロパンガスを採用するなら単価の安いガス会社を吟味しないとエコジョーズの給湯費用だけで年間4万円近く損をすることがわかりました。

基本料金も考慮する場合

給湯器の種類消費電力量
(kWh)
ガス消費量
(MJ)
年間光熱費
(電気+都市ガスB表)
※1
年間光熱費
(電気+都市ガスA表)
※2
年間光熱費
(電気+県民提携LPガス)
有償配管
※3
年間光熱費
(電気+県民提携LPガス)
無償配管
※4
年間光熱費
(電気+LPガス相場)
※5
【標準】ノーリツエコジョーズ
(ガス給湯器)
5420,39573,419円67,363円73,363円119,705円
リンナイエコワン
(ハイブリッド給湯器)
9793,04550,870円48,311円44,290円50,290円63,334円
ガス基本料金を考慮したガス機器のガス種類別の年間光熱費

※1:電気代1kWh=30円+都市ガス代1m3(45MJ):130.46円+基本料金月1,056円
※2:電気代1kWh=30円+都市ガス代1m3(45MJ):145.31円+基本料金月759円
※3:電気代1kWh=30円+LPガス代1m3(99MJ):290円+基本料金月500円
※4:電気代1kWh=30円+LPガス代1m3(99MJ):290円+基本料金月1,000円
※5:電気代1kWh=30円+LPガス代1m3(99MJ):480円+基本料金月1,600円

ガスの基本料金も加味してみます。東京ガスは一般契約料金のB表の「20m3をこえ80m3まで」の月1,056円(年12,672円)、一般契約料金のA表の「0m3から20m3まで」の月759円(年9,108円)、県民共済住宅提携ガス会社は月500円(年6,000円)の有償配管、月1,000円(年12,000円)の無償配管、相場としては県民提携のアロハガスの一般価格の基本料金月1,600円(年19,200円)です。

これらの基本料金を加味すると上の表の様になります。

県民共済住宅提携ガス会社の有償配管のプランが一番安くなりました。県民共済住宅提携のプロパンガスってこんなに安いんですね。

県民共済住宅提携ガス会社の有償配管と無料配管の違いですが、有償配管はガス給湯器のみだと1箇所25,000円でガス給湯器とコンロor乾燥機で40,000円、ガス給湯器とコンロと乾燥機で60,000円という料金設定みたいなので基本料金の差額が月500円という事を考えると1箇所だけだと4年2ヶ月、2箇所で6年8ヶ月、3箇所で10年が損益分岐点になります。こうして金額を見てみるとガス栓が3箇所以上あったり2階への配管があるような場合だと無償配管という選択肢もありになりますが、無償配管を選ぶ時は解約時の違約金の条件があるか等の細かい契約条件もしっかり確認して納得した上で契約しましょう。

ガス代は電気代と違い都市ガスとプロパンガスで熱量が異なるので比較が難しかったですが、実際に比較してみると価格差が明確になって興味深いです。

都市ガスは価格が安定しているのが強みです。県民共済住宅提携のプロパンガスはいつまでこの価格を維持できるかがわからないのが一番のリスクです。プロパンガスは業者によって価格差がありすぎるので県民共済住宅提携の様な格安ガス会社を見つけるのが光熱費を浮かせるためには重要です。

結局どれが良いの?

給湯器の種類熱源一次エネルギー
消費量
(環境負荷)
初期コストランニング
コスト
機器の
サイズ
機器の
交換コスト
コメント
ガス給湯器
(エコジョーズ)
ガス×○〜◎
(配管次第)
×〜△
(ガス単価次第)
○〜◎標準仕様なので
トータルコストは最安
エコキュート電気○〜◎×○〜◎
(電気単価次第)
×〜△×〜△ランニングコストは最安
火災リスクは最小
貯湯タンクが大きい
ハイブリッド給湯器
(エコワン)
電気とガス×××一次エネルギー消費量は最小
貯湯タンクが必要
石油給湯器
(エコフィール)
灯油××〜○?
(差額不明)
×〜△×〜△△〜○?オプション代不明
灯油タンクが必要
それぞれの給湯機器の特徴

いろいろ前提条件を変えて計算してみましたが、電気ガス併用の場合に都市ガスもしくは県民共済住宅の提携ガス会社が選べる場合は機器の交換コストも考えて一番お得なのは標準のエコジョーズ(ガス給湯器)だと思います。

理由は機器の交換コストを考えるとエコキュートやエコワンはエコジョーズに比べて現状だと20〜40万円は高くつくのでそれなら標準のエコジョーズが良いのではという風に思います。特に少人数の家庭の場合はお湯の使用量も少ないと思うので標準の給湯器を採用するのは合理的で良い選択だと思います。

初期コストの安さと交換コストが安いエコジョーズは単価の安いガス会社さえ選べれば一次エネルギー消費量の多さには目を瞑るとしてコスト的にはそこまで高くはなりません。一次エネルギー消費量の削減をして地球環境の事まで考慮したい人はエコキュートやエコワンを敢えて選択するか、ガス給湯器のエコジョーズに加えて後付で水道直結型の太陽熱温水器を接続すると一次エネルギー消費量の削減にもなるし給湯コストも低く抑えることが出来ると思います。

ただ、オール電化にするならエコキュートが一番得になる可能性を秘めています。この場合は高効率なコロナの370リットルのプレミアムエコキュートか三菱電機の460リットルのエコキュートでなおかつ安い電力プランを選択するのが必須です。オール電化だと当然ですがガスの配管費用もかからないので上のシミュレーションには含んでいませんが、大体25,000円位は安くなると思うのでそれも考慮すると9年位でオプション代を回収できる可能性があります。

また、諸事情で安いガス会社が選べない場合と配管費用が高額になる場合も高効率タイプのエコキュートが一番安くなる可能性があります。特に都市ガスの場合は敷地への引き込み料を含めた金額が20万円位かかるならオール電化にするのもありです。

最後に

給湯器はそれぞれ燃料から違うので中々コスト比較が出来ませんでしたが、住宅のエネルギー計算のプログラムを使えばこの様に光熱費のシミュレーションが出来たのでとても興味深かったです。

こうして様々な給湯器の光熱費を比較してみると、まずは安い電気料金を提供する電力会社や安いガス料金を提供するガス会社を見つけるのが肝心だと思います。特にプロパンガスの場合はガス会社選びを間違えると給湯費だけで年に4万円位高くなるので結構馬鹿になりません。

各家庭によって電気代の契約プランも異なるだろうしガス代の単価も異なると思うので、表の数値をエクセル等の表計算ソフトにコピペしてご自身で単価や条件を変えて試算してみて下さい。

私は既に仕様選定も終わり契約してしまっているので今更試算した所で特に出来ることもないのですが、もっと早い段階でこの計算をしていたらオプションのエコキュートではなく標準のエコジョーズで初期コストを抑えるという選択もありだと思いました。私はオプションの太陽光発電も入れるので最終的にはオール電化にしてエコキュートを入れる選択をしたと思います。

私の場合はエコキュートの導入を決めてしまっているので可能ならエコキュートの焚き上げを昼間の太陽光発電が発電している時間に行うような設定にしてとことん光熱費を下げて早くオプション代の差額分の元を取れるようにしたいと思います。