県民共済住宅では標準で和瓦(日本瓦)と洋瓦の陶器瓦かガルバリウム鋼板の屋根が選べます。
私もそろそろ外観の詳細をどうするかを決めたいのでそれぞれの機能性や重さについて一覧にまとめてみました。この記事を書く上で情報が無い屋根材もあったので地味にまとめるのに苦労しました。
標準の屋根材一覧
通称 | 種類 | 製品名 | メーカー | 標準設定色 | 1枚の重量(kg) | 1m2辺りの重量(kg) |
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三州いぶし | 和瓦 | 和形[銀いぶし瓦] | 栄四郎瓦 | 2.8 | 45 | |
三州銀黒 | 和瓦 | 桟瓦(防災・緩勾配) | シノゲン瓦工業 | ブラック | ? | ? |
サンレイ | 洋瓦 | スーパートライ110 サンレイ | 鶴弥 | アンティックブラウン、マットブラック | 2.9 | 34.8 |
FSフラット瓦 | 洋瓦 | FS-40N? | 三州野安 | ストレートブラック?、マットグリーン? | 3.7? | 44.4? |
プライム40 | 洋瓦 | PRIME40 | 三州野安 | ブラウン、グレイ、ブラック | 3.5 | 42 |
スーパートライ110 TYPE-I | 洋瓦 | スーパートライ110 TYPE-I | 鶴弥 | ナチュラルレッド、ナチュラルブラウン | 3.6 | 43.2 |
横暖ルーフ | ガルバリウム鋼板 | 横暖ルーフS | ニチハ | KブラックS、KグリーンS、KブラウンS | 3.7 | 5 |
上の表は県民共済住宅の標準仕様で選べる屋根材の一覧です。県民共済住宅の展示スペースにあった瓦の名前と画像で判断したり、それだけではわからなかった所は他の施主ブロガーさんの情報や仕様選定用紙の瓦の欄を見て判断した部分もあります。
和瓦(日本瓦)、洋瓦は全て陶器瓦(粘土瓦)です。耐久性の低いセメント瓦は取扱自体がありません。県民共済住宅の標準仕様のグレードの高さが屋根材にも反映されています。
調べてもわからなかった点
「三州銀黒」の重量はWEBサイトにもカタログにも無かったので判断出来ませんでした。「FSフラット瓦」もこれという製品が見つからず、三州野安の「FS-40N」が一番近いと思いましたが、FS-40Nのカラーバリエーションにグリーン系が存在しなかったりと本当にこれなのかな?という確信が持てません。もしかしたらカタログにない製品なのかもしれません。
これらの「?」マークが付いている瓦に関しては情報が間違っている可能性があります。
三州いぶし
三州いぶしは県民共済住宅で選べる和瓦の1つです。この瓦は色の設定がなく銀色っぽいいかにもな日本瓦です。普通の和風建築ならこの瓦が向いていると思います。
三州銀黒
三州銀黒も県民共済住宅で選べる和瓦の1つです。この瓦はブラックが標準色ですが、メーカー設定色が新銀、プラチナメタリック、ハイシルバー、チョコ、聖堂、青緑、オレンジなどカラーバリエーションが豊富です。
県民共済住宅で使われる瓦の正式な製品名は形状から判断すると「桟瓦(防災・緩勾配)」だと思います。瓦の重さがカタログにもWEBサイトにもないのでわかりませんでしたが普通の瓦なので他の瓦と大差ないと思います。
サンレイ
サンレイは県民共済住宅の標準で選べる洋瓦です。デザインはM字タイプの瓦で洋風と言うか南欧風の家にマッチしそうな形状です。
サンレイは他の瓦よりも2〜3割軽く、形状的に通気層も確保出来ていて排水性も高そうなので性能面だけなら県民共済住宅の瓦の中では一番良さそうです。
カラーバリエーションは県民共済住宅の標準のマットブラックとアンティックブラウンの他にも銀鱗、エターナグリーン、ブリティッシュブラウン、ナチュラルブラウン、ナチュラルレッド、ナチュラルイエロー、ティエラレッド、ティエライエロー、ティエラホワイトとスノーホワイトがメーカー設定色で存在しています。
サンレイは混ぜ葺きが出来るのでティエラレッドやティエライエロー、ティエラホワイトを上手く組み合わせるとそれっぽい南欧風の屋根に出来そうです。
個人的な意見ですがサンレイはティエライエローやティエラホワイト、ティエラレッドの様なオレンジ系の明るい色の方が雰囲気が出て良い感じになると思います。標準のマットブラックは一見無難に見えますが他の洋瓦よりも屋根の凹凸が目立って外壁と合わせるのが難しそうな感じがします。アンティックブラウンは茶系や黄色、白系の壁にならマッチしそうです。
FSフラット瓦
FSフラット瓦は表面がほぼフラットな洋瓦です。標準ではストレートブラックとマットグリーンの2色が設定されています。この瓦はデザイン的に凹凸が少ないので建物が洋風でも和風でも壁がタイルでもALCでもサイディングでも比較的合わせやすい瓦だと思います。
県民共済住宅のFSフラット瓦は三州野安製の様ですが、WEBサイトとカタログを見る限り同じ物がありませんでした。どうも県民共済住宅のこの瓦は山平というメーカーの瓦だった様ですが、山平というメーカーが数年前に三州野安に事業譲渡をして消滅しているみたいでこの瓦の製造・販売も三州野安に受け継がれた様です。ただ、三州野安にはFS-40Nというフラット瓦が既にあるので山平のフラット瓦は存続させずにFS-40Nに統合するような形にしてカタログから姿を消したのだと思います。
一応FS-40Nの前提で紹介をしていますが、これとは別のカタログに載っていない瓦の可能性が高いです。この瓦の色変更が出来るかとメーカー設定色のカラーバリエーションは担当の設計士さんに聞いてみて下さい。
プライム40
プライム40はフラットに近い形状の洋瓦でデザイン的に癖がないので合わせやすい瓦だと思います。
県民共済住宅の標準色はブラック、ブラウン、グレイの3色です。その他のメーカー設定色にプレミアムイエロー、プレミアムダーク、プレミアムレッドがあります。
スーパートライ110 TYPE-I
スーパートライ110 TYPE-Iもフラット瓦に近い形状の洋瓦です。こちらは県民共済住宅の標準色で唯一明るめの色が設定されている屋根材です。
県民共済住宅の標準色はナチュラルレッドとナチュラルブラウンの2色で、その他のメーカー設定色はマットブラック、アンティックブラウンS、銀鱗、美銀、マットグリーン、青磁、ナチュラルイエロー、クールブラック、クールブラウン、スノーホワイトがあり、更に色のオーダーも出来るようです。(県民共済住宅で色のオーダーが出来るかどうかはわかりません)
形状的に瓦の左右が立ち上がっているのでフラット瓦よりも排水性が良いと思います。メーカーの鶴弥のWEBサイトには施工事例の写真が割と沢山あるのでこの瓦の採用を考えている人は必見です。
横暖ルーフ
横暖ルーフは県民共済住宅で唯一選べるガルバリウム鋼板屋根です。最近はガルバリウム鋼板の屋根や外壁(県民共済住宅ではガルバ外壁の設定はない)が流行っているのでガルバリウム鋼板の屋根にしたいと思う人も少なくないのではと思います。
県民共済住宅の標準色もメーカーの設定色もKブラックS、KグリーンS、KブラウンSの3色のみです。
ガルバリウム鋼板の屋根は瓦屋根と比べて9分の1位の重さしか無いので非常に軽いのが特徴です。耐久性も30年位はノーメンテで行ける様です。
屋根の制限事項
標準以外の屋根に変更したい場合オプションや個別見積もりでどこまで選べるかという事ですが、オプションファイルのオプション対応についての所に瓦は種類変更が不可でメーカー設定色への色変更とサンレイのランダム葺きが可となっています。
太陽光パネルを設置する場合
県民共済住宅のオプションで太陽光パネルを入れる場合は洋瓦の屋根材しか選べません。洋瓦ならフラットタイプでなくてもサンレイの様な凹凸があるタイプの瓦でも良いみたいです。
県民共済住宅で太陽光発電を入れると屋根の保証を保ったまま太陽光発電が載せられるというメリットがあります。
ガルバリウム鋼板の屋根に太陽光パネルを載せたい場合は県民共済住宅では残念ながら対応していませんが、屋根に穴を開けずに太陽光パネルを設置する工法もあるので詳細はニチハのカタログを見てみて下さい。これなら太陽光発電を施工しても屋根に穴が開かないので雨漏りのリスクが少ないと思います。
どの屋根材を選べば良いか
県民共済住宅の場合、ローコストメーカーやハウスメーカーの最低グレードの仕様にありがちな劣化が早いスレート屋根ではなく標準でガルバリウム鋼板か陶器瓦なのでこれは選んではいけないという地雷がありません。
どの屋根材も耐久性が高いので基本的に好きな屋根を選べば良いと思います。
屋根の重量は軽ければ軽いほど耐震面で有利
屋根の重量が軽ければ軽いほど地震に強くなります。勿論どの屋根でも標準で耐震等級3になる設計なので大差は無いかもしれませんが、屋根の重量で考えると横暖ルーフ>>>>>サンレイ>その他瓦という順位になります。ガルバリウム鋼板は1m2辺り僅か5kgですが、サンレイは約35kg、普通の瓦屋根は45kg前後とガルバリウム鋼板よりも9倍近く重いです。
そういう意味では耐震性ではガルバリウム鋼板が絶対的に有利です。瓦屋根だとサンレイが他の瓦よりも2割〜3割位軽いので有利です。
どうしても耐震性が不安なら構造計算をしてもらう手もあり
瓦が良いけど耐震性が不安という人は有料で構造計算をしてもらいましょう。構造計算(許容応力度計算)で耐震等級3が確保できれば木造建築では現状最強レベルの耐震性が確保出来ていると言えるので安心です。
オプションで太陽光発電を載せるか、あるいは建築時ではなくそのうち太陽光を載せるつもりなら太陽光パネルを載せる前提で構造計算をしてもらうと良いと思います。
屋根に通気層があると熱が屋根裏まで伝わりにくく結露もしにくい
屋根とルーフィングとの間に通気層があると太陽の日射熱で熱くなった瓦の熱が野地板の先の屋根裏空間に伝わりにくくなります。天井の断熱材の性能が足りない場合、屋根裏空間の熱気が天井の断熱材で防ぎきれずに最上階の天井が暑くなるという弊害が起こります。
また、冬の寒い時期に屋根材の下の野地板瓦との間に通気層があることで野地板表面が結露しにくいのと、もし結露したとしても通気があり水分が乾きやすいので通気層があると断熱性(夏)と野地板やルーフィングの耐久性で有利です。
そういう意味では形状的に和瓦とサンレイ>他の瓦>ガルバリウム鋼板という感じになります。
屋根材に凹凸があると水が流れやすい
M字タイプの瓦や和瓦の場合瓦に凹凸があるので降雨の際に雨水を排水しやすいというメリットがあります。雨漏りのしにくさでは形状的にフラット瓦以外の瓦>フラット瓦やガルバリウム鋼板という感じになると思います。
緩勾配の片流れ屋根の様な雨水の量が多くなる屋根では排水性も考慮した方が良いかもしれません。
上記のポイントはあくまで「強いて言うなら」位の感じなので何を選んでも大丈夫
県民共済住宅はこれまで3万棟以上の実績があります。埼玉県内限定とは言え年間1,000棟規模の地場工務店なので雨漏りだったり重大な瑕疵になるような設計や施工になっていたとしたら大変なことになるのでそういう意味では安心感があります。
県民共済住宅の坪単価は安いですが、安かろう悪かろうではなく標準で陶器瓦かガルバリウム鋼板が選べるので10年や20年で屋根のメンテナンスが必要になることはありません。瓦屋根なら瓦自体は半永久的にノーメンテで行けます。実際は屋根の野地板やルーフィングがその前にダメになる可能性があるので何十年かに一度位はメンテナンスが必要になるとは思いますが、スレート屋根みたいに10年位で残念な見た目になったりすることはないので安心です。