当サイトの県民共済住宅に関する情報は2021年9月契約、2022年4月引き渡し時点での情報を元に記載されています。

当時と現在とで仕様やルール、価格などの前提条件が異なり、記事の内容が間違っている可能性があるのでご注意ください。

埼玉県内で割安な注文住宅を建てたいなら坪単価が安い割に標準仕様のグレードが高い県民共済住宅は真っ先に候補に上がるハウスメーカーだと思います。

「県民共済」は多くの県でありますが、注文住宅をやっている県民共済は全国でも埼玉県だけなので、県民共済住宅が使えるのは埼玉県内に家を建てる予定の人だけです。

県民共済住宅は大っぴらな広告宣伝もしていなければモデルハウスが1棟もないので埼玉県内で年間1,000棟クラスの施工実績があるにも関わらずあまり知名度がなく、誰もが知っていると言うよりは知る人ぞ知る的なローコスト住宅メーカーです。

そして県民共済住宅の一番の特徴が営業がいないという事で、営業がいない事で余計な人件費がかからずコストカットできているというメリットと、営業がいない分施主自らやることが多いというデメリットがあります。

県民共済住宅は他の注文住宅を建てるハウスメーカーや工務店とは異なる特徴があるので、実際に県民共済住宅で2021年に契約して注文住宅を建てた私が感じた県民共済住宅の特徴を記載してみました。

県民共済住宅に向いていると思う人

  • 作りたい家のイメージが明確な人
  • 家づくりに割ける時間がある人
  • 既成品を上手く組み合わせてコスパ良く家を建てたい人
  • インテリアのセンスに自信がある人
  • 自分主体で家づくりに積極的に関わりたい人
  • 自分で家づくりの勉強や情報収集が出来る人
  • とにかく安く新築の家を建てたい人
  • 潤沢な予算でオプションを入れまくりたい人
  • ある程度妥協できる人

私が思うに上記の様な要素がある家づくりに積極的に関わりたい施主には非常に向いている工務店だと思います。

県民共済住宅では施主と設計士や現場監督との間に営業が入らない分施主の能力(知識、行動力など)が家の出来栄えに大きく影響するので、本来営業が調べて施主に提示する様な情報を施主自ら事前に調べて設計士さんとの打ち合わせに臨んだり、自ら建材メーカーのショールームにアポを取って行ける様なフットワークが軽くて積極的な人なら県民共済住宅のポテンシャルを最大限引き出せると思います。

また、県民共済住宅は標準仕様のレベルが高い割に坪単価が安いので、極力オプションを入れずに標準仕様のみで安く注文住宅を建てたい施主にとっては最強のローコスト住宅メーカーです。

そしてオプションの選択肢も多いので逆にオプションを入れてカスタマイズしまくるタイプの人まで満足できる家が建つと思います。

実際に県民共済住宅で注文住宅を建ててみて思うのは、ある程度妥協できて自分から動ける施主なら県民共済住宅での家づくりは成功しやすいと思います。

県民共済住宅に向いていない人

  • 見栄っ張りな人
  • 全部「おまかせ」したい人
  • 普段忙しすぎて家づくりに割ける時間がない人
  • 細部のこだわりが強すぎて一切妥協できない人
  • 家づくりの勉強をする気がない人
  • 県民共済住宅で実現出来ないパッシブハウスレベルの超高性能住宅が欲しい人

向いていないのは上記のような施主です。

TVCMをバンバン流して多くの人にブランドイメージを浸透させている様な大手HMとは異なり、県民共済住宅は決してかっこいいとかおしゃれというイメージは無いというか、むしろ県民共済住宅を知らない人からすれば名前から連想されるダサいイメージの方が強いと思うのと、主観ですが制約の多い県民共済住宅で外観が良い家を建てるのは非常に難しいと思うので自宅の外観でドヤりたい人には全く向いていないと思います。

また、営業がいない分施主がやることも多いので仕事が忙しすぎて家づくりに時間が割けない人にもあまりおすすめできません。

そして毎回打ち合わせには施主自ら県民共済住宅の事務所まで出向く必要があるので本店があるさいたま新都心や支店がある熊谷から遠い人は結構大変だと思います。

後は自由設計の注文住宅と言えども、実は県民共済住宅独自の制約が多くフルオーダーよりもセミオーダーに近い注文住宅なので、細かい所までとことんこだわって妥協できないタイプの人には向いているようで全く向いていません。

自由設計の注文住宅でもセミオーダー寄りなので一定の制約はある

県民共済住宅の仕様選定用紙(2021年9月契約)
県民共済住宅の仕様選定用紙(2021年9月契約)

県民共済住宅などのローコスト住宅メーカーは選べる建材の選択肢を絞る事で大量発注によるボリュームディスカウント効果と、仕様を共通化して設計の工数を削る事で安く家を建てているビジネスモデルだと思うので、注文住宅と言えども何でもかんでも施主の希望通りに自由に決められるわけではなく、選択肢がいくつか絞られた中で施主がその選択肢の中から希望する物を選んでいくような感じなので完全フルオーダーというよりはセミオーダーに近いフルオーダーと言えます。

自由設計とは言っても県民共済住宅の定めたルール内での自由設計なのでそこを履き違えないようにしましょう。

ただ、注文住宅の場合は全て自由に選べたとしても今度は逆に選択肢がありすぎて何を選べば良いかわからなくなるのが現実なので、ある程度選択肢が絞られているのは必ずしもマイナス面だけではなくプラスの面もあります。

もし「ここだけは絶対にこうしたい!」という拘りポイントがあるなら、県民共済住宅のショールームに見学に行った時に県民共済住宅で実現可能か聞くのを忘れないようにしましょう。

間取りは自由度がそれなりにある

県民共済住宅は自由設計ではありますが、設計には県民共済住宅独自のルールがあるので普通の間取りの家は建てられますが、スキップフロアは不可だったり半地下や地下室みたいなことは実現出来ません。

間取りは木造軸組構法の構造上問題なければ割と自由な間取りが作れます。

逆に県民共済住宅のルールに引っかかる間取りは木造建築の構造として成立していないとも言えるので、「ぼくのかんがえたさいきょうのまどり」にならなかった事に不満を抱くよりもむしろ耐震等級3が取れるレベルまで設計士さんが修正してくれたとプラスに捉えるべきです。

間取りを作る上でよく引っかかるのは柱のスパン(間隔)が最大2間(3,640mm)までというルールがあり、この制約があると広いLDKを実現できないと感じますが、木造軸組構法を採用する会社であれば大抵同じ様なルールがあると思います。

木造軸組構法で2間以上のスパンで建てている設計事務所もあると思いますが、そういう所は通常よりも梁を太くして構造上の問題に対処している(高額な材料を使っている)のでその分余計なコストがかかっていますが、県民共済住宅は効率良くコストダウンするためにそういう設計ルールを設けていると思います。

構造や工法に関する仕様は変更不可

県民共済住宅では構造や工法などの基本的な部分については一切変更出来ません。

例えば木造軸組構法からツーバイフォーにするとか鉄骨造にするとか床断熱から基礎断熱にするとかは出来ません。

拘りが強い人は特に県民共済住宅だとかゆい所に手が届かない部分があるのでそういう部分を妥協出来ない場合は県民共済住宅をスパッと諦めて別の住宅会社を探しましょう。

設備の選択肢はそれなりに広いが種類によっては限定的

設備面での選べる仕様については県民共済住宅が指定する標準仕様でも大抵何パターンか選択肢があります。

標準仕様でも建材メーカーのショールームに行けばカスタマイズ出来たり、オプション設定がある物を入れることも出来ます。

それ以外にも県民共済住宅と取引があるメーカーの商品は大抵入れられるので設備の選択肢はそこそこ広いと思います。

ただ、県民共済住宅で取り扱いがないメーカーの物が入れられなかったり、設備の種類によっては県民共済住宅の取り扱いメーカーでも入れられない物もあるので制約もあります。

例えば2021年時点でキッチンはリクシル、クリナップ、タカラスタンダード、オプションでウッドワンの4社から選べますが、県民共済住宅でトイレやユニットバスの取り扱いがあるTOTOのキッチンは入れられないみたいな感じです。

また、床材は標準とオプションの選択肢にある物しか選べないので例えばウッドワンのピノアース以外のフローリングを入れたいとかは実現できません。

そういう制約がある建材も結構あるので選択肢が広く感じると思う人もいれば選択肢が狭いと感じる人もいるかと思います。

私が良いと思うのは特定の住設メーカーの物しか取り扱っていない工務店もある中で大体の設備は最低でも2社以上の選択肢があるのが県民共済住宅の素晴らしい所だと思います。

単に価格が安いからと言って聞いたことが無いメーカーの物ではなく、一流メーカーの設備ばかりなので設備に関しては金額の割に本当に良いラインナップだと思います。

外観デザインは残念気味

2回目の設計士さんとの打ち合わせ後に出てきた衝撃のパース図
2回目の設計士さんとの打ち合わせ後に出てきた衝撃のパース図

外観デザインについては選べる外壁や屋根の仕様がある程度決まっているので住宅関係のテレビ番組に出てくるような個性的なデザインや大手ハウスメーカーの様な邸宅感のあるデザインみたいにするのは施主のセンスが良くても難しいと思います。

工夫次第である程度それっぽく寄せることは出来ますが、雨樋や窓枠、破風や軒天とかの細かい点を拘ろうとすると県民ルールで不可みたいな事が良くあるので外観デザイン重視の人には相当物足りないと思います。

私見ですが県民共済住宅の設計士は施主の希望に沿うような間取りは重視するものの、外観はあまり拘りがないと言うか優先順位がかなり低いような印象です。

もしブログやSNS等でオシャレな外観の県民ハウスがあったらそれは県民共済住宅が凄いのではなくその施主さんが凄いのでどうやってオシャレな外観にしているかを良く研究してみてください。

外観デザインは家単体ではなく、外構との合わせ技で決まると思うので外観をどうしても諦めきれないなら、家の外観を考える時に外構のデザインも最初からセットで考えて、外構の予算を多く確保した上で金額が高くてもセンスが良い外構業者を選ぶと見栄えが良い家になると思います。

内装は施主次第でオシャレに出来る

県民共済住宅で作った私の家のホテルライクな寝室
県民共済住宅で作った私の家のホテルライクな寝室

外観と異なり内装はクロスの選択肢が豊富だったり、照明計画も自由に出来たりと意外と自由度があるので施主のセンス次第でオシャレにする事は可能です。

ただ、あくまでも「施主のセンス次第」です。

県民共済住宅にはインテリアコーディネーターやデザイナーみたいな役割の人がいないので全て自分で決めるか現場監督のアドバイスで決めていく感じになります。

一応建材メーカーのショールームでプランは作って貰えるのでセンスに自信がない人でもそれなりには出来ると思います。

家づくり終盤のクロス選びもそうですが、特に照明計画は同じ様な金額でも施主のセンス次第で出来栄えが大きく変わる部分だと思うのでしっかり勉強してみて下さい。

実際に他の方のブログやSNSでは「これ本当に県民共済住宅?」と思ってしまう様な素敵な内装の家をよく見かけるので内装に関しては諦める必要はありません。

県民共済住宅の凄い点

県民共済住宅で厳選された標準仕様は超お得

県民共済住宅が埼玉県内で圧倒的に支持されている理由は他のローコスト住宅メーカーと比べて標準仕様のグレードが高い所にあります。

例えばキッチンはタカラスタンダードのホーローキッチンのグランディア、クリナップのステディア、リクシルのリシェルSIが標準仕様で選べます。

追加費用がかからない標準仕様にも関わらずどのメーカーのキッチンも最上位もしくは上から2番目位のグレードで、その他の設備もキッチン同様に建材メーカーの上位グレードの物が設定されています。

ローコスト住宅メーカーの中には標準仕様のグレードをあからさまに下げる事で割高なオプションを入れさせてそれで儲けるみたいなビジネスモデルもあるかと思いますが、県民共済住宅はそういう事が全く無いと言うかむしろ大量発注のメリットが薄れるオプションはできるだけ入れさせたくないという方針みたいです。

県民共済住宅でコスパ最強を目指すならオプションはなるべく入れずに可能な限り標準仕様で建てましょう。

「標準仕様=しょぼい」という常識は県民共済住宅には当てはまりません。

見えない部分の建材のコストカットが無い

屋根瓦の下に引くルーフィングも良い物を使っています
屋根瓦の下に引くルーフィングも良い物を使っています

県民共済住宅では驚くべきことに施主が選べない見えない部分の仕様でもコストカットのために最低グレードを使ったりする事がありません。

例えば屋根のルーフィング(屋根瓦の下に引く防水用の建材)もメーカーの上から2番目のグレードの30年持つ改質アスファルトルーフィングが使われていたり、透湿防水シートや耐力面材なども地味に良い物が使われています。

表面的な仕様だけでなく地味ですが家の耐久性に関わる重要な部分にも高品質が建材を使われているのが県民共済住宅の凄いところです。

坪単価が安くても決して「安かろう悪かろう」ではないのが県民共済住宅の凄いところです。

施工事例がネット上に豊富

県民共済住宅は埼玉県内で年間1,000棟以上注文住宅を建てているだけあって施工事例が豊富です。

県民共済住宅のWEBサイトには施工事例が数件しか載っていませんが、「県民共済住宅 WEB内覧会」みたいなキーワードで検索すればWEB内覧会まで行った施主ブログが何件も出てきます。

私のような独自ドメインのブログはあまり多くはありませんが、アメブロの#県民共済住宅にはたくさんの施主ブロガーの記事があるので一読してみてください。

住宅メーカーのWEBサイトの施工事例では具体的な金額を見せないので本当の意味で参考にはなりませんが、施主ブログだと過去記事を追えば金額を出してくれている人も中にはいるので大雑把な予算感(金額は契約時期で変わるのであくまでも参考程度に)を把握するのに役立ちます。

また、幾つかの県民施主ブログの過去記事を追えば県民共済住宅の家づくりの大体の流れも把握出来ると思うのでこれからやるべき事が事前に把握できるのもメリットです。

県民共済住宅のイマイチな点

住宅の設計思想はやや古い

県民共済住宅が想定している標準的な住宅の設計思想はやや古いと思います。

一昔前の常識のまま最新の設備で家を建てるみたいな感じなので私のような先進的な高気密高断熱住宅を求める施主からすると物足りない部分はありました。

県民共済住宅の場合は黙っていても客が殺到して来るような状態なので常に住宅の最新トレンドを追っている訳ではなく、トレンドが落ち着いてきて定番になったような物を取り入れるような感じなので人によっては時代遅れと感じるかもしれません。

その辺は施主の努力や知識量、センス次第である程度どうにか出来る部分なので「おまかせ」で家づくりをせずに施主自ら勉強して積極的に家づくりに関わっていきましょう。

冷暖房計画は無策

県民共済住宅は特別高気密高断熱住宅に力を入れている訳ではないので、建物の断熱性能に応じた冷暖房計画みたいな提案は一切期待できません。

エアコン選びも「部屋の畳数=エアコンの畳数」みたいな古い常識のままなので、建物の断熱性能を無視した過大な能力のエアコンをお勧めされると思います。

また、全館空調のオプションもないので基本的にエアコンは各部屋1台設置で、私の家みたいなエアコン1台か2台で全館冷暖房を行うという発想自体がないので県民共済住宅で先進的な冷暖房計画を取り入れたいなら施主が自分で勉強して設計に反映させる必要があります。

気密性能はいまいち

私の家では自腹で気密測定業者を手配して現場監督と調整して中間気密測定を行ったのでC値1.02とそこそこ高気密な値が出ましたが、これは監督と大工さんが普段そこまでやらない部分まで頑張って気密処理をしてくれたおかげでもあります。

残念ながら県民共済住宅では気密測定を全く行わないので他の家のC値はもっと悪い可能性が高いです。

県民共済住宅でC値0.78に出来たブログ読者の方も実際にいるので、C値1以下は施主の頑張りと運次第で実現出来る可能性がありますが、0.2とか0.3みたいな数値は多分不可能だと思うので気密性能は期待しない方が良いと思います。

それでも気密性能を諦められないなら担当になった現場監督や大工さんに自分で気密測定業者を手配して気密測定を行いたいと早い段階で伝えれば配慮してくれて施工品質が上がる可能性がありますが、それでも超高気密とまでは行かないので気密性能を重視している施主さんは全棟気密測定を行っている工務店やハウスメーカーを探しましょう。

設計士とのやり取りは基本的に電話と郵送のみ

設計士さんとのやり取りは電話が基本でメールすら使えないので図面や画像データを送りたい時なんかは地味にめちゃくちゃ不便で困ります。

議事録みたいな物も無いので、毎回打ち合わせの後に送られてくる図面を施主が細かくチェックして要望が反映されているかと、前回までに決めた事も図面にきちんと反映されているか(勝手に変えられていないか)を毎回チェックする必要があります。

施主と設計士とのやり取りは超アナログで一切のIT化やシステム化がされていないので2020年代を生きる現代人からすると地味に不便で大変です。

この辺は県民共済住宅で施主と設計士や監督が使えるWEBベースの進捗管理ツールを導入するなり、せめてメールでのやり取りが出来るようにすれば画像データを添付したり、図面や見積をPDFで送って貰ったり出来るので相当便利になると思います。

最後に

埼玉県内で普通の注文住宅を安価に建てたいなら県民共済住宅は最有力候補だと思います。

良い意味で坪単価と標準仕様のグレードのバランスがおかしいのが県民共済住宅なので、オプションは入れずに標準仕様で安価に注文住宅を建てたい人には最適だと思います。

外観デザインこそオシャレなハウスメーカーや設計事務所と比べて明らかに見劣りしますが、内装や設備に関しては県民共済住宅より坪単価が高いハウスメーカーでも県民共済住宅未満のグレードの設備が普通に使われていることもあります。

県民共済住宅では営業がいないので相手からの提案なんかはあまり期待できませんが、良くも悪くも営業が間に入らずに設計士と直接やり取りできる分、設計に施主の意向を反映させやすいメリットもあるので自分主体で家づくりに関わっていく覚悟と時間があるなら県民共済住宅に申し込んでみましょう。

県民共済住宅で選べる仕様はある程度限定されているにも関わらず、ネット上の施主ブログやSNSを見ていると同じ時期に家を建てた人でも全然違う家になっているのが本当に面白いし興味深いです。

私はそんな県民共済住宅と契約して新築の家を手に入れましたが、ブログの過去記事を見ればわかるように県民共済住宅で建てた家には非常に満足しています。