
最近tp-linkからTL-WR1502Xという新しいトラベルルーターが発売されて、トラベルルーターにしては本体サイズがやや大きめではあるものの、その分WIFI6にも対応し、給電もUSB-Cで更にVPNもWireguardに対応しています。
トラベルルーターにVPNクライアント機能があるのは非常に画期的で、自宅にVPNサーバを用意した状態で外出先のホテルのネットワークに接続したトラベルルーターから自宅のVPNサーバにVPN接続すると簡単に拠点間VPN接続が出来るようになります。
この説明だけだと何が凄いのか分からない人も多いかと思いますが、海外のホテルのWIFIや有線LANにトラベルルーターをネットワーク接続し、トラベルルーターのVPNクライアント機能で海外のホテルから自宅のVPNサーバにVPN接続すると、海外のホテルからでも自宅のネットワークに入れる上、インターネットにアクセスする際のIPアドレスも海外のホテルのグローバルIPアドレスではなく自宅のグローバルIPアドレスになるのでDAZNやAmazon Primeの様な海外から視聴できない動画配信サービスの動画も海外に居ながら日本国内にいるのと同じ様に視聴できるようになります。
短期の海外旅行ではあまり必要性を感じないとは思いますが、リゾートホテルやアパートメントを借りてそれなりに長期滞在する時なんかはVPNクライアント機能のあるトラベルルーターのWIFIにFireTV Stickみたいな部屋のTVのHDMIポートに接続して動画配信サービスを見れる端末を接続するとスマホやタブレットの小さい画面ではなくテレビの大画面で動画が見れるため真価を発揮できます。
自宅にVPNサーバ機能のあるルーターを用意してVPNサーバを立てて、トラベルルーターからVPN接続するとなるとそれなりにネットワーク関連の知識やスキルが必要になるので誰にでも出来るわけではありませんが、わからないところはChatGPTに聞きながら設定すれば多分設定できると思います。
実際に私が購入して使っているトラベルルーター
私が普段使っているトラベルルーターは2023年4月頃にAmazonで売られていたGL.iNETという香港メーカーのBeryl AX(GL-MT3000)という機種を購入して使っています。
このトラベルルーターは実売価格が1万円をやや超えてトラベルルーターにしては高価で本体サイズもトラベルルーターにしては大きいという欠点はありますが、USB Type-Cでの電源供給が可能で2.5GbpsのWANポートに加えてWi-Fi6(2.5Ghz:574Mbps、5Ghz:2,402Mbps)というその辺の安価な家庭用ルーターよりもハイスペックで更にOpenVPNとWireguardのVPN接続に対応していて、更にOSがOpenWRTベースなので拡張性もあるという知る人ぞ知る超高機能なトラベルルーターです。
私は自宅と実家にそれぞれWireguardのVPNサーバを立てて拠点間VPN接続をしているのですが、旅先にGL-MT3000を持参して旅先のホテルからこのトラベルルーターのWireguardのVPNクライアント機能で自宅のVPNサーバに拠点間VPN接続をして旅先でも自宅のネットワークにアクセスして撮影した写真なんかを自宅のNASに転送したり、海外旅行の場合は日本国外からの視聴制限がある動画配信サービスもVPNで日本国内の自宅のIPアドレスからアクセス出来るので海外にいてもDAZNでJリーグの試合を見たりしています。
GL-MT3000はトラベルルーターとしてのスペックは申し分なし

GL.iNETのGL-MT3000はトラベルルーターでは2025年時点でも最高レベルのスペックがあると言うか、下手な家庭用ルーターの3千円前後の廉価モデルよりもハイスペックです。
CPUはMT7981BでDual-coreの1.3GHz、メモリはDDR4 512MB、ストレージはNAND Flash 256MBと持ち運び可能なルーターにしてはかなりのハイスペックで、安いルーターにありがちなスペックがカツカツ過ぎて遅いみたいな事がありません。
GL-MT3000の対抗馬として有力なのがtp-linkのTL-WR1502Xでこちらはスペックや拡張性こそ若干劣るものの、実売価格は5千円前後とGL-MT3000の約半額でWireguardやWIFI6と言った新しいプロトコルにも対応しているので、OpenWRTでモジュールをインストールしてOpenconnectやIKEv2の様な別のVPNプロトコルにも対応したいみたいな事がなければTL-WR1502XでOKだと思います。
スペック比較
メーカー名 機種名 | GL.iNET GL-MT3000 | TP-Link TL-WR1502X |
---|---|---|
Wi-Fi規格 | Wi-Fi6 IEEE802.11ax/ac/n/a/g/b | Wi-Fi6 IEEE802.11ax/ac/n/a/g/b |
Wi-Fi速度 | 574Mbps (2.4GHz) 2,402Mbps (5GHz) | 300Mbps (2.4GHz) 1,201Mbps (5GHz) |
有線LAN | WAN:2.5Gbps x1、LAN:1,000Mbps x1 | WAN:1,000Mbps x1、LAN:1,000Mbps x1 |
USBポート | USB 3.0 x 1 | USB 2.0 x 1 |
電源 | USB Type-C(3A) | USB Type-C(1.5A) |
サイズ | 106 x 83 x 33mm | 105 x 90 x 28mm |
重量 | 196g | 不明 |
VPN | OpenVPN、Wireguard ※他のプロトコルもインストール可能 | PPTP、L2TP/IPSec、OpenVPN、Wireguard |
実売価格 | 13,000円前後 | 7,000円前後 |
仕様上のスペックはGL-MT3000の方が若干上ではありますが、TL-WR1502Xとの価格差が6,000円位あるので今買うならTL-WR1502Xの方がコスパが良いと思います。


GL-MT3000はOpenWRTのモジュールが追加出来るので中国のGFWにも規制されにくいと言われているOpenconnect等のVPNプロトコルに対応させることも出来るのが強みなのと、家庭用のルーターの中位機種並のスペックなので海外に長期で旅行や出張する際にネットワーク環境に妥協したくない時なんかはこちらの方が良いかもしれません。

管理画面の初期IPは192.168.8.1でUIは日本語にも対応しています。

2025年のGWに中国の雲南省を旅行したのですが、Wireguardの他にもOpenconnectのプロトコルをトラベルルーターにインストールして、自宅のサーバにCisco AnyConnect互換のOpenconnectをインストールして設定し、無事中国から自宅にVPN接続する事が出来ました。
注意点として中国からVPN接続する場合は時期(特に全人代の様な政治的なイベント期間)や地域によって規制が厳しかったりそうでもなかったり、最初は普通に使えても一定の通信量を超えたら規制されたり等もあるようなので今回はWireguardもOpenconnectも使えましたが、これらのVPNプロトコルが次回も使えるとは限りません。
最後に
正直最近はWIFIが当たり前の様に普及していて、昔のように有線LANがあってもWIFIが無いホテルでトラベルルーターを使うシチュエーションはもう無くなったので旅行にトラベルルーターを持参する必要性はかなり薄れています。
トラベルルーターがあって便利なシチュエーションは部屋のWIFIの電波が弱くて、部屋の中の一番電波の強い場所にトラベルルーターをWIFI中継機として設置して、部屋の奥までホテルのWIFIの電波を届くようにするというのが基本的な使い方になると思います。
ただ、自宅にVPNサーバがある場合(自分でVPNサーバを立てたり、家庭用ルーターのVPNサーバ機能を活用する場合)だとVPNクライアント機能のあるトラベルルーターがあると簡単に拠点間VPN接続が出来るので、そこに価値を感じるなら本記事で紹介したGL-MT3000やTL-WR1502Xを購入する価値はあると思います。
VPNの設定は初心者には極めて難易度が高いですが、ある程度のネットワーク関連の知識やスキルがあればわからない部分はChatGPT等の生成AIに聞けば何とかなると思います。